中医協・薬価専門部会 業界団体ヒアリング、団結アピールで議論前進
公開日時 2009/06/03 23:00
中医協・薬価専門部会は6月3日、業界側が提案する薬価維持特例を含む新薬
価制度について業界団体のトップからのヒアリングを行った。今回は日米欧の
業界団体トップをはじめ、日本ジェネリック製薬協会、日本医薬品卸業連合会
も薬価維持特例について賛成する姿勢を示し、業界の足並みが揃った姿勢をア
ピール。厚労省も「丁寧な説明で、業界が考えるスキームや論拠は理解が進ん
だのではないか」との見解を示し、関係者がそれぞれに手ごたえを感じたヒア
リングとなったようだ。
ヒアリングは日本製薬団体連合会の竹中登一会長(アステラス製薬会長)と日
本製薬工業協会の庄田隆会長(第一三共社長)、GE薬協の澤井弘行会長(沢井
製薬会長)、PhRMAの関口康在日執行委員長(ヤンセンファーマ社長)、EFPIA
のマーク・デュノワイエ会長(グラクソ・スミスクライン社長)、卸連の別所
芳樹会長(スズケン会長)などが出席。薬価維持特例を中心に意見陳述を行っ
た。とくに維持特例の対象範囲を限定すべきとの指摘があることに対して、
「薬価収載時に薬剤の価値は決まらない。上市後に医薬品の価値が分かるもの
もある」(庄田会長)と説明、薬価維持特例の対象は全品目とし、市場で製品
の価値(革新性)を評価したほうが合理的と理解を求めた。今回の業界案は、
「大手のみではなく、研究開発を通じてアンメット・メディカルニーズに応え
ていきたい企業が活用するもので、そのような行動を取らない企業にはメリッ
トがない」(庄田会長)とも説明した。薬価維持特例については、GE薬協の澤
井会長は「先発品あってのジェネリック品」とし、ジェネリックの使用促進に
も協力していくとする卸連の別所会長とともに、賛成の姿勢を示した。
山本信夫委員(日本薬剤師会副会長)が先発企業に対して企業を挙げてジェネ
リックの使用促進に取り組むかを質したところ、長谷川閑史副会長(武田薬品
社長)は「ジェネリックへのスイッチに異論はないが、メーカー挙げての対応
はノー。我々の会社の存在に反する」と語気を強めた。山本委員は一定の理解
を示しつつ、「ジェネリックが進む方向にコミットして欲しい。せめて進まな
い方向でコミットはしてほしくない」と返す場面もあった。
製薬協を中心に進めていた未承認薬支援センターについては、庄田会長が5月
29日に登記したこと報告。山本信夫委員(日本薬剤師会副会長)は「業界が背
水の陣で望んでいるのが伝わっている」、対馬忠明委員(健保連専務理事)も
早急な対応に「敬意を示したい」と評価。厚労省側も「登記されたことで具体
性がありスキームをもって取り組んでいる」(磯部総一郎管理官)とし、「制
度説明も丁寧で、前向きな提案で理解を深めることになったのではないか」と
の見方を示した。