旭化成の蛭田史郎社長は６月４日に会見し、2010年度を最終年度とする中期経
営計画を見直し、売上高、営業利益ともに大幅に下方修正したことを発表した。
医薬品事業については、「スペシャリティファーマとしてのポジションを確実
にしつつ、新薬で収益力を高めていきたい」と説明。MR200人を増員し、800人
体制に拡充することも明らかにした。

計画の見直しは08年度の世界同時不況の影響を受け、減収、大幅減益となった
ことや、09年度の業績についても大幅な回復を見込めないことを折り込んだも
の。その中で医薬・医療事業については、当初計画より、08年度の業績が増益
となったことなどを踏まえ、10年度に売上高1300～1500億円（09年は1210億円）
、営業利益120～160億円（同90億円）となる見通し。

中計期間中は、抗血液凝固剤リコモジュリン（一般名：トロンボジュリン）や
帯状疱疹治療薬ファムビル（ファムシクロビル）といった新薬の発売（08年度）
の立ち上げと収益化を最優先としているが、蛭田社長は「収益への貢献は08年、
09年は出てこないが、11～12年にかけて大きくなると期待している」との見通
しを示した。リコモジュリンの海外臨床開発（ベンチャーとの共同で実施）の
取り組みも積極化する。

将来の拡大・成長に向け、15年度には営業利益の構成が「ケミカルズ・繊維」
事業を主軸（半分程度を占める）とするポートフォリオから、「エレクトロニ
クス」、「医薬・医療」事業が売上の半分以上を占め、「ホームズ建材」を含
めた４領域がほぼ均等になるポートフォリオへの転換を目指す。