未承認・未承認適応薬の承認支援で、PMDA審査体制に懸念相次ぐ
公開日時 2010/02/09 04:01
海外で使われているにもかかわらず、日本では承認や適応がなく使えない未承認薬・未承認適応薬の問題で厚生労働省は2月8日、医学や薬学などの専門家を集めた検討会議を設置し、承認に向けた検討を始めた。当面は、学会や患者らから承認の要望があった372の薬剤を対象に、医療上の必要性の高さなどを判断し、迅速に承認に結びつける検討を進める。承認を急ぐ必要がある薬剤は同省が、製薬会社に開発を要請する。
要望のあった372の薬剤のうち、285が特定の病気に使う適応を持ってない適応外薬。すでに海外では広く使われ、実績のある薬も少なくないとみられ、科学的根拠が十分である場合は、治験を行うことなく承認申請を認める公知申請の運用について関心が集まっている。8日は、従来どおりの運用では、承認へのハードルが高くなるため、「公知」の範囲を広げるといった対応も必要との指摘が複数の委員からあった。
しかし、審査の負担は比較的軽いとはいえ、1度にたくさん申請された場合、審査を担う医薬品医療機器総合機構の作業能力を越え、作業が遅れるのではないかとの懸念も相次いだ。それに対し厚労省医薬食品局の成田昌稔審査管理課長は、「通常の審査に影響しないよう総合機構と相談しながら進めたい」と述べるにとどまった。総合機構に通常審査以外にどの程度の作業能力があるかは明らかになっておらず、今回委員から挙がった懸念は、業界内や厚労省の中医協委員からも出ていた。
検討会議は今後、下部に総合機構の審査部と対応するように疾患領域ごとの専門家からなる作業班を設け、そこで要望のあった薬剤から医療上の必要性が高いものを選定する作業に入る。3月末から4月ごろまでに決め、その結果を踏まえて厚労省が製薬会社に開発を要請する。開発する会社が国内にない場合は、公知申請や申請に必要な試験などをまとめ、開発会社を募集する。
この検討会議の名称は「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で、未承認薬使用問題検討会議と小児薬物療法検討会議を統合し、設置したもの。座長には、未承認薬使用問題検討会議の座長だった堀田知光・国立病院機構名古屋医療センター院長が就任した。