患者を「○○様」と呼ぶのは少数派 医師調査で
公開日時 2010/04/08 04:01
医療機関で「患者様」と耳にするようになって久しいが、医師は個々の患者をどう呼んでいるのだろう。医師コミュニティサイト「MedPeer」を運営するメディカル・オブリージュは、サイト会員医師を対象に調査を行ったところ、86%が「○○様」と呼ばないと回答し、実際は「○○さん」と呼んでいた。
有効回答は2249人。さん付けで呼ぶ理由では、院内での患者対象のアンケートで様付けは違和感があるとの声があったことを挙げる意見のほか、以下のようなものが寄せられた。
「『様』と呼ぶ時点で、すでに医師-患者関係にバリアを張っており良好な関係が築けない」(30代麻酔科)。
「患者と医師は病気に向かう共同者。両者が協力して病気を治していくのです。医師は患者がより効率よく治るように助ける役目です。責任は両者に等しくあります。今は『○○様』と呼ぶことで、医療行為はデパートの商品のような関係と勘違いされ、責任は売り手、つまり医師だけにあると多くの人が勘違いしています」(50代循環器外科)
「『○○様』と呼んでいた時期があったが、妙な患者意識の変化があり、クレーマーが非常に増えた敬意がある」(40代一般内科)
「患者は我々の利益のためにわざわざ病気になってくれたわけではなく、例えば『ご来院有難うございます」とか、『またお越しください』と言ったら違和感があるように、対等な社会人の関係であって、お客様ではない」(40代産婦人科)
一方、外来などでマイクで呼ぶときのみ様づけというのが9.1%、診察や説明の場面でも様付けは1.0%だった。理由には「病人とはいえお客様だから。まずは丁寧な言葉が大事である。よって、『様』を付けることにより、サービス業であることが認識できる」(40代麻酔科)との意見もあるが、違和感を感じつつ様付けで呼んでいるとの意見も散見される。「ほか病院で様付けされておられることが多く、当院でさん付けでお呼びすると『むっ』とされ、受付に苦情を言われた方がおられたので」(30代一般内科)と、こぼす声もあった。
いずれの意見においても、「様」か「さん」かということより、接遇を丁寧に行うことが重要であるとの点では共通している。中には「良い雰囲気をかもすトーン、イントネーション、口調、相手に合わせたスピードなどで変えるべき、病院が、科が、医師が、院長が、事務長が、看護部長が決めることではない」(70代放射線科)との指摘もあった。