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DPP-4阻害薬シタグリプチン α-GI上乗せで有意な血糖降下作用

公開日時 2010/06/28 04:00

DPP-4阻害薬のシタグリプチンを、αグルコシダーゼ阻害薬に上乗せすると、体重増加や低血糖の発現頻度をみせずに、有意な血糖降下作用を示すことが分かった。日本人を対象にしたシタグリプチンのフェーズ3試験の結果から明らかになった。東京慈恵医科大学糖尿病・内分泌内科学の田嶼尚子氏らが第70回米国糖尿病学会議(ADA)で6月26日のポスター発表で報告した。 (6月26日 米国・オーランド発 望月英梨)


試験は、1日1回投与されているボグリボースに、シタグリプチンを上乗せすることの有効性・安全性を検討することが目的。単剤で十分な血糖コントロールが得られず、併用療法を考慮するケースもある中、日本をはじめとしたアジアで使用頻度が高いα‐グルコシダーゼ阻害剤とシタグリプチンの併用療法を検討した試験が行われていなかったことから実施された。


対象は、ボグリボース単剤と食事・運動療法を行っても十分な血糖コントロールが得られていない20歳以上の日本人2型糖尿病患者133人。食事・運動療法、一定のボグリボース投与に加え、▽プラセボ投与群63人▽シタグリプチン50mg1日1回投与群――の2群に分け、12週間投与し、治療効果を比較した。主要評価項目は12週間後のHbA1c変化率。


その結果、投与開始12週後のHbA1c変化率をみると、シタグリプチン群では0.76%減少したのに対し、プラセボ群では0.16%増加した。シタグリプチン群ではプラセボ群に比べて、HbA1c値は-0.9%低下した(P値<0.001)。食後2時間血糖値はシタグリプチン群で55.3mg/dL減少したのに対し、プラセボ群では4.0mg/dL減少したにとどまり、シタグリプチン群で有意に51.3mg/dL減少した(P値<0.001)。空腹時血糖もシタグリプチン群で22.6mg/dL減少したのに対し、プラセボ群は0.1mg/dL減少したにとどまり、シタグリプチン群で有意に22.5mg/dL有意に低下した(P値<0.001)。


また、HbA1c<7.0%に到達したのがシタグリプチン群で75.4%なのに対し、プラセボ群では27.0%。HbA1c<6.5%に到達したのがシタグリプチン群で44.9%なのに対し、プラセボ群で11.1%だった。そのほか、活性型GLP-1濃度は、シタグリプチン群でプラセボ群の2.5倍に上昇した。


一方、安全性については、薬剤に関連性があるとみられる有害事象は、プラセボ群で4.8%(3例)、シタグリプチン50mg群で8.6%(6例)で両群間に有意差はみられなかった(オッズ比:3.8[95%CI:-5.7~13.2])。


低血糖については、プラセボ群で発現せず、シタグリプチン群でも1.4%(1例)に発現するにとどまった。また、ボグリボースで指摘される胃腸障害についても、プラセボ群で1.6%(1例)、シタグリプチン群で1.4%(1例)で有意差はみられなかった。さらに、体重増加もみられなかったとしている。


これらの結果から、田嶼氏は、「ボグリボース単剤で血糖コントロールが不十分な患者に、シタグリプチンを追加投与することで、血糖値がコントロールされる。加えて、低血糖や胃腸障害もプラセボと同程度で、忍容性も高い」としている。

 
 

 

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