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ネクサバール全例調査の中間解析 7割が減量を経験 減量と効果判断が課題

公開日時 2010/07/05 04:01

東京大学先端科学技術研究センターの赤座英之特任教授は7月1日、バイエル薬品が開いたプレスセミナーで腎細胞がん治療薬ネクサバール(一般名:ソラフェニブ)の特定使用成績調査の中間解析結果を発表し、安全性評価の対象となった859例のうち68.0%(584例)が主治医の判断(副作用を含む)で投与量の減量を経験していたことを明らかにした。同剤の1日投与量は800mgだが、859例の平均1日投与量は547.2mgで、うち1年間治療を継続できた患者(303例)の平均1日投与量は500mg前後だった。また、奏効に至るまでの平均1日投与量の中央値は682.8mgだったことなどを踏まえ、赤座教授は「減量と効果の判断が今後の重要な課題になる」と指摘した。


同剤は08年4月の発売から約2年が経過した。調査は未知の副作用や発生状況などを調べるため、発売直後から800症例(解析対象例は700例)の集積を目的に実施された。6月2日時点での登録症例は4366例にのぼり、中間解析は12カ月の観察期間を満了した868例(投与中止例含む)が対象となった。ほとんどの症例が登録開始後3カ月以内に登録された患者。1年以内に副作用などの理由から治療を中止した患者は64.7%(556例)で、継続できた患者は35.3%(303例)だった。奏効に至るまでの期間の中央値は85日、平均1日投与量は682.8mg、奏効期間は190日。


副作用の発現頻度は92.55%で国内治験(フェーズ2、131例、96.95%)と同等だった。特に注意が必要とされ、発現頻度の高い発疹(21.2%、うち重篤例は3.7%)、手足皮膚反応(57.5%、5.9%)、高血圧(37.0%、1.9%)などの発現率も治験の結果とほぼ変わりなかった。手足皮膚反応や高血圧は治療開始後ほとんどが1カ月以内に発症していたのが特徴。


一方で、治験で発症報告のなかった消化管出血関連事象(発現頻度は4.7%、うち重篤例2.8%)、消化管穿孔(0.6%、0.6%)、脳出血関連事象(0.4%、0.4%)が確認された。赤座氏は消化管出血が重篤になった患者は腹腔内に大きな転移があったと説明したうえで、「腹腔内に転移のある患者さんは十分に注意して消化管の状態を把握する必要がある」と解説。さらに「腸管粘膜が薬の影響で弱ってくる。消化器症状、下痢症状、便の潜血状態をみながら消化器外科と連携をとるべき」と注意喚起を行った。間質性肺炎など承認時には未知だった重篤な副作用(0.4%、うち重篤例0.2%)も報告され、「発症が確認されたときは重篤になる確率が高い」と注意を求めた。


一方、有効性評価が可能だった837例の奏効率は26.8%、不変以上は78.5%。無増悪生存期間(PFS)の中央値は29週、1年生存率は74.8%だった。



課題に挙げた投与量に関しては、「副作用を恐れて投与量を下げると効果が出ない可能性があるので、判断が必要になる」と話すとともに、「1日平均投与量の中央値は600mgを超えないとなかなか効果につながらないが、より低くても効いている症例もある。また、重篤な副作用の出方が年齢やPS(全身状態)、体重などの因子で、ある程度区別できそうなことがわかってきたし、今後は効果と副作用のバランスで副作用に偏る基準値がみえてくると思う」として、患者の背景因子によって用量の推奨ができるようになる可能性があるとの展望を示した。
 
 

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