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【ISCリポート】EVEREST Essen Stroke Risk Score 軽症非心原性脳梗塞患者の再発リスク評価に有用

公開日時 2011/02/12 00:01

 

 

 

外来通院中の日本人軽症非心原性脳梗塞患者の再発リスクを評価する上で、「Essen Stroke Risk Score(ESRS)」が有用――。大規模観察研究「虚血性脳卒中患者における血管イベントの発症率に関する前向き観察研究(EVEREST)」の結果から分かった。九州医療センター臨床研究センター長の岡田靖氏が2月9日、米国・ロサンゼルスで開催されている国際脳卒中学会(ISC)のポスターセッションで報告した。


研究は、軽症~中等症の日本人外来通院中の非心原性脳梗塞患者を対象に、再発リスク評価スケールであるEssen Stroke Risk Score(ESRS)を臨床で用いた際に、脳卒中の再発リスクを適切に予測できるか検討する目的で実施された。


ESRSは、①高齢(64~75歳:1点、75歳以上:2点)②高血圧の合併:1点③糖尿病:1点④心筋梗塞の既往:1点⑤心血管疾患の合併(心房細動、心筋梗塞を除く):1点⑥末梢動脈疾患の合併(PAD):1点⑦喫煙:1点⑧一過性脳虚血発作(TIA)または非心原性脳梗塞の既往:1点――からなる脳梗塞再発リスクを評価するスコア。


抗血小板薬・クロピドグレルとアスピリンの効果を直接比較した「CAPRIE」試験の脳血管障害患者のリスクに基づいて策定された。すでに、日本を含む世界44カ国で実施されている登録研究「REACH Registry」では、脳卒中の2次予防における治療ストラテジー策定に際しての同スコアの有用性が示されているものの、日本人に対して用いた際の評価はこれまで十分に検討されていなかった。


対象は、経口抗血小板薬を内服する45歳以上の外来虚血性脳血管障害患者(発症から2週間~6カ月、modified Rankin Scale(mRS)≦2)3452例。登録後約1年間(12±3カ月)追跡し、ESRSの値により、脳梗塞の再発リスクが異なるか検討した。登録期間は2007年1月~08年5月までで、2009年7月まで追跡した。


◎4点以上で脳梗塞の再発リスクが有意に上昇


1年後の脳梗塞の再発率は3.8%(157例)だった(95%CI:3.2~4.5)。Kaplan-Mier法を用いて解析したところ、ESRSの値により、非心原性脳梗塞再発リスクが有意に異なることが分かった(P値=0.018、Log-rank test)。なお、対象患者は1~7点に分布し、3点以下に6割が分布していた。


カットオフ値をESRS4点として、非心原性脳卒中の再発率をみると、4点以上の症例(1321例)で5.4%/年だったのに対し、3点未満の症例(1971例)では2.6%で、有意に4点以上の症例で再発リスクが高いことが分かった(P値=0.0003、Log-rank test)。また、1年後の心血管疾患の発症率も、4点以上の症例(1320例)の6.1%に対し、3点未満の症例(1970例)では2.8%で、4点以上で有意にリスク上昇がみられた(P値<0.0001、Log-rank test)。


そのほか、small-vessel occlusion(小血管疾患:ラクナ梗塞)では、4点以上の患者で非心原性脳梗塞、心血管疾患ともに再発が多い傾向がみられたが、有意差はみられなかった(P値=0.0879、P値=0.0800)。


結果を報告した岡田氏は、この結果を「REACH Registryと同様の傾向がみられた」とした上で、「ESRSは、日本人脳梗塞患者を対象にした非心原性脳梗塞の再発予測ツールとして有用」との見解を示した。

 

 

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