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STICH試験 左心室収縮機能障害のある冠動脈疾患患者へのCABG、全死は低下せず

公開日時 2011/05/22 22:59

左心室収縮機能障害のある冠動脈疾患患者において、薬物療法のみと薬物療法+冠動脈バイパス術(CABG)を比較検討した無作為化試験STICHの結果、全死のリスクは有意差がないことがわかった。しかしながら、心血管死亡率と、全死もしくは心血管疾患による入院の発生率については、薬物療法+CABG群が、有意に低いことも明らかになった。米デューク大医療センター、Eric J. Velazquez氏らの研究グループが、学術誌「NEJM」4月28日号で報告した。


2002年7月から2007年5月までの期間に、26ヶ国の医療施設127ヶ所において、駆出率35%以下の冠動脈疾患でCABGに適している患者1212人を対象に、薬物療法のみ(602人)か、薬物療法+CABG(610人)の被験者群に、無作為に割り付けた。


主要評価項目は全死率とし、副次評価項目を心血管死率と、全死もしくは心血管起因の入院の発生率などに設定した。追跡期間の中間値は56ヶ月。期間中、症状悪化や代償不全などの理由から、薬剤療法のみの被験者群のうち100人(17%)が、CABGを受けていた。


心室機能、冠動脈構造、使用薬剤などをはじめ、ベースラインの患者特性で両群間に差はなかった。年齢は、薬剤療法群が59歳、薬剤療法+CABG群が60歳であった(中間値)。追跡の結果、主要評価項目は薬物療法群の244人(41%)と薬物療法+CABG群の218人(36%)に発生し(ハザード比HR 0.86, 95% CI:0.72 – 1.04, p=0.12)、両群間で有意差はなかった。


しかし一方で、副次評価項目の心血管死率では、薬物療法群が201人(33%)、薬物療法+CABG群は168人(28%)で(HR 0.81, 95% CI:0.66 – 1.00, p=0.05)、全死もしくは心血管疾患による入院の発生率では、薬物療法群が411人(68%)だったのに対し、薬物療法+CABG群では351人(58%)で(HR 0.74, 95% CI:0.64 – 0.85, p<0.001)、薬物療法+CABG群が有意に低いことがわかった。この他、30日後の全死を除き、全ての副次評価項目において、薬物療法+CABG群に有利な結果が得られた。30日後の全死は、薬物療法群7人(1%)に対し薬物療法+CABG群22人(4%)で(オッズ比3.19、95% CI:0.1.35 – 7.52, p=0.008)、薬物療法+CABG群が有意に高かった。


また、割り付け後1年間にクロスオーバーしなかった被験者を対象とするper-protocol解析では(薬物療法群:537人、薬物療法+CABG群:555人)、主要評価項目において薬物療法+CABG群が有意に低い結果となった(HR 0.76, 95% CI:0.62 – 0.92, p=0.005)。


研究グループはこれらの結果から、薬物療法のみの治療と薬物療法+CABGの治療とでは、主要評価項目である全死において有意差がなかったとし、一方心血管死と、全死もしくは心血管疾患による入院では、薬物療法+CABGが低かったとまとめた。

 

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