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【ESCOリポート】WAKE-UP Strokeのベストストラテジー構築に向け高まる議論

公開日時 2011/07/20 04:00

 

 

 

 

“WAKE-UP stroke”が注目を集めている。就寝中に発症することから、経過が十分に分からないために、抗血栓溶解療法の適応となるか、判断が難しく、十分な治療が行われているとは言い難いのが現状だ。5月27日に開かれたミニシンポジウム「Questions in thrombolytic therapy」で、フィンランド・Helsinki University Central HospitalのAtte Meretoja氏が報告した内容を紹介する。

 

 

 

冒頭で、これまでの疫学データによると、虚血性脳卒中のうち、15~25%が睡眠中に発症するとされている。一方で、クモ膜下出血の1/6が、睡眠中に起こるとのデータもあり、頭蓋内出血の発症率が、寝起き時に高いと指摘されている。
 

目覚めから3時間以内または、症状の発現から8時間以内の患者で、抗血栓薬・abciximabまたはプラセボで治療されている患者を対象に、Wake-Up stroke43例とそうでない患者758例の患者背景を比較したところ、症候性頭蓋内出血の発現頻度が有意な因子として浮かび上がってきており、Wake-Up strokeでは、より出血の発現頻度が高い可能性が認められた。
 

治療に際し、t-PAの静脈投与の有効性・安全性を検討した「HELSINKI」試験の結果でも、症候性頭蓋内出血の発現頻度が示されている。
 

一方で、約80%の患者がt-PAの静脈投与を行うには、発症から時間が経過しすぎていることも分かった。観察研究の結果、目覚めた直後に大脳卒中(major stroke)を発症していることも分かった。そのため、Meretoja氏は「再灌流療法に関して、起きた時間を発症時間ととらえることが妥当」との見解を示した上で、それを確認するために臨床試験を行うことの重要性を強調した。

 

 


 

WAKE-UP trialスタートへ 

 

睡眠時間中に発症する“Wake-Up Stroke”に対し、MRIに基づいた血栓溶解療法の有効性と安全性を検討するランダム化比較試験(RCT)の「WAKE-UP Trial」がスタートする。
 

試験は、睡眠中に急性脳卒中を発症し、発症から治療開始までの時間(time window)が明確に分からないために、早期の血栓溶解療法の適応となるか分からない患者を対象に、MRIを用いて、治療による効果が得られる患者を抽出することができるか検討することを目的に実施される。
 

対象は、MRIに基づき、Wake-Up Strokeと診断され、MRIでの画像診断の結果、拡散強調画像(DWI)とFLAIR法で、診断が異なる800症例。①アルテプラーゼ群400例②プラセボ群400例――の2群にランダムに割り付け、Stroek Unitで24時間観察を続ける。その後は、臨床的診断を24時間後、7日後、MRI画像を22~36時間後などに撮影する。
 

主要評価項目は、発症から90日後の良好な転帰の割合(modified Rankin Scale(mRS):0~1)。安全性評価項目は、症候性頭蓋内出血(SICH)、死亡率。
 

ベルギー、デンマーク、スペイン、フランス、イギリス、ドイツの6カ国で実施され、2011年末までに試験をスタートさせる方針。2017年には結果が公表される予定とされている。

 

 

 

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