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日本脳卒中学会 東日本大震災を踏まえ脳卒中予防の体制整備で声明発表

公開日時 2011/08/01 04:02

日本脳卒中学会(理事長:小川彰氏・岩手医科大学学長)は7月31日、京都国際会館で開かれているSTROKE2011の中で、記者会見し、「東日本大震災にかかる日本脳卒中学会声明」を発表した。早ければきょう8月1日にも菅直人首相(官邸緊急災害対策本部長)に提出する。


声明では、被災者を取り巻く生活・健康環境が悪化しており、被災地住民の血圧が上昇していると指摘。血圧値の上昇と脳卒中の発症率との相関が示されていることから、脳卒中多発地域としても知られる東北地方の脳卒中発症の増加について警鐘を鳴らした。


その上で、「『日本の国民病』と称される脳卒中が被災地で増加することを看過することは出来ません」とし、政府に対し「速やかな『被災者の生活・健康環境の改善』と『強力で有効な脳卒中予防体制の整備』を強く要望する」とした。


日本脳卒中学会の小川彰理事長は、記者会見で、脳卒中の実態を把握する調査が必要とした上で、調査の実施には被災者の負担を伴うと指摘。「調査だけでは片手落ちなので、調査と同時に、脳卒中発症予防のための栄養や生活に対する介入、高血圧に対する治療、服薬指導、保健指導を含めた総合的な対策が必要であろう」と述べた。「避難所の環境は劣悪だが、仮設住宅に移っても解決しない問題もある。ちゃんとした生活ができるような介入を政府としてやっていただきたい」と政府に対策を求めた。


体制整備については、地域中核病院に全国からの人的支援を集中的に投入することが必要との考えを示した。これにより、「中核病院の医師に余裕ができ、被災地に行くことも、開業することもできる」と説明。地元の医師による“顔が見える”医療を実現することが、脳卒中の発症など“二次災害”を防ぐ上でも有用との見方を示した。


◎被災地での高血圧は6割に 求められる対策


被災地住民を対象にした観察研究により、震災後に血圧値の上昇がみられることも分かってきた。記者会見に先立って開催されたセッション「大震災と脳卒中」で、岩手医科大学医学部内科学講座神経内科・老年化分野教授の寺山靖夫氏が報告した。


研究では、40歳以上の被災地住民1453人(避難所入居者1040人、自宅入居者は395人)を対象に、岩手県三陸海岸沿岸の避難所を巡回し、問診、身体検査(血圧・体温測定)、血液検査(末梢血、血液生化学、血液凝固。HbA1cなど)を行った。期間は、3月23日~6月23日までの3カ月間。平均年齢は64.9±11.8歳。


その結果、収縮期血圧から高血圧と診断されたのは60%に上った。内訳は、Ⅰ度高血圧(140~159mmHg)が33%(458人)、Ⅱ度高血圧が20%(272人)、Ⅲ度高血圧(180mmHg以上)が7%(91人)。降圧薬を服用している患者でも、収縮期血圧値が140mmHg以上の人は74%(Ⅰ度高血圧:37%、Ⅱ度高血圧:27%、Ⅲ度高血圧:10%)を占め、「通常よりもかなり高い頻度」(寺山氏)だった。


また、収縮期血圧値、拡張期血圧値ともに3カ月間持続して高い値で推移しており、これが「3カ月以降の脳出血の患者の増加に非常に関係があるのではないか」と寺山氏は指摘した。


一方、D-Dimerについては、地震直後に高い値を示す一方で、時間とともに有意に減少した(2カ月後、3カ月後ともにp<0.001)。静脈血栓塞栓症(DVT)の有病者数も時間経過にしたがって減少していることから、D-Dimerは「閉塞性脳血管障害の良いマーカーとなる可能性がある」とした。


そのほか、LDL-C値が有意に増加していることなどから「避難所にいるすべての方が脳梗塞になりやすい傾向になっている」と指摘し、国をあげての観察研究の実施をはじめとした対策の必要性を強調した。
 

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