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【esc特別版】メタ解析 虚血性脳卒中発症3時間以内にrt-PA療法開始で予後良好に

公開日時 2012/05/25 06:54

IST-3 を含む12試験、7012例の虚血性脳卒中患者を対象としたシステマティックレビューとメタ解析の結果、6時間以内にrt-PAを用いて抗血栓薬の静注療法は、転帰良好な生存患者と、自立した生存患者を増加させることが分かった。ただし、治療開始が3時間以内であれば、さらに転帰が良好であることも示された。5月22日から、ポルトガル・リスボンで開催されている第21回欧州脳卒中学会議で、23日に開かれた「Large Clinical Trials(RCTs)」セッションで、J.M.Wardlaw氏が報告した。(5月23日リスボン発・望月英梨)


抗血栓療法をめぐるシステマティックレビューは、11試験、3977例を対象に、2009年に最後にアップデートされている。今回の解析では、新たに結果が明らかになったIST-3試験を加えた12試験を対象にレビューが行われた。対象は、rt-PA療法施行群2807例、コントロール群2728例。


modified Rankin Scaleで0[全く症状なし]~2[ 軽微な障害]点で、自立した生存者の割合は、rt-PA療法群で42.1%(1434例/3404例)、コントロール群で46.3%(1611例/3483例)で、rt-PA療法群で有意に良好な結果となった(オッズ比:1.17、95%CI:1.06-1.29、p=0.001)。rt-PA療法の施行により、自立した生存者の割合を1000人につき、絶対値で42[95%CI:19-66]増加させた。また、転帰が良好となった患者は、55/1000人[95%CI:33-77]増加させている。

この効果は、rt-PA療法が3時間以内に施行された患者で最も高く、自立した生存者は、rt-PA療法群の40.7%(365例/896例)に対し、コントロール群では31.7%(280例/883例)で(オッズ比:1.53[1.26-1.86]、p<0.0001)、ベネフィットは1000人につき90[46-135]が得た。

治療開始7日後までの死亡はrt-PA療法群で8.9%(250例/2807例)、コントロール群で6.4%(174例/2728例)で増加するものの(オッズ比1.44、1.18-1.76、p=0.0003)、最終フォローアップでの死亡は、rt-PA療法群で19.1%(679例/3548例)、コントロール群で18.5%(640例/3464例)で、両群間に有意差はみられなかった(1.06、0.94-1.20、p=0.33)。


Wardlaw氏は、「IST-3が広範の患者を含んでいたにもかかわらず、非常に一貫した効果を示した」と結論付けた。その上で、頭蓋内出血は、治療開始早期の死亡や転帰悪化の1つの大きな原因であると指摘。rt-PA療法群で7.7%(272例/3548例)、コントロール群で1.8%(63例/3463例)で、rt-PA療法群で有意に多い(3.72、2.98-4.64、p<0.0001)ことも示した。


治療開始時間については、6時間を経過しても効果を示す症例がいるとした上で、早期治療の重要性を強調。また、年齢に分けた解析でも、80歳以上の高齢者と若年者の間に、治療によって得られるベネフィットが、発症から3時間以内であれば変わらない(80歳以上:96[35-157]、80歳未満:95[35-155])とした。Wardlaw氏は、「治療開始は早ければ早いほどよい」と述べ、早期治療の重要性を強調した。

同日開かれたプレスセミナーに登壇したWardlaw氏は、弊誌の取材に対し、日本で実施された2試験がシステマティックレビューに含まれていると説明。日本では、rt-PAが低用量で投与されているが、「人種差ではなく、体格差の影響」との見解を示し、今回の解析が一貫した結果であることを強調した。

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