第Ⅹa因子阻害薬・リバーロキサバン 脳卒中二次予防、一次予防で一貫した安全性・有効性示す
公開日時 2012/08/03 04:00
J-ROCKET AF サブグループ解析
脳卒中二次予防一次予防における、第Ⅹa因子阻害薬・リバーロキサバン
の安全性・有効性は、有意な交互作用がみられず、一貫していることが分かった。ただし、一次予防においては、重大な出血+臨床上重大な出血は、リバーロキサバン群でワルファリン群よりも高値である傾向も示された。日本人1280例を対象に実施された、リバーロキサバンの臨床第3相試験「J-ROCKET AF」のサブグループ解析結果から分かった。埼玉医科大学国際医療センター副院長(埼玉医科大学神経内科教授)の棚橋紀夫氏が4月27日、報告した。
すでに報告されたJ-ROCKET AFの本解析では、リバーロキサバン15mg群(CLcr:30~49mL/minでは10mg1日1回)のワルファリン(INR目標域:70歳以上1.6~2.6、70歳未満:2.0~3.0)への安全性における非劣性が示されたほか、検出力が十分ではないものの、ワルファリンを上回る有効性が示唆されている。
今回報告されたサブ解析は、日本人非弁膜症性心房細動患者を脳卒中、一過性脳虚血発作(TIA)、全身性塞栓症の既往の有無に分け、リバーロキサバンの安全性・有効性を検討する目的で実施された。
対象は、①うっ血性心不全②高血圧症③年齢75歳以上④糖尿病――の危険因子のうち2つ以上を有する患者または、虚血性脳卒中、一過性脳虚血発作(TIA)、全身性塞栓症のうちいずれかを有するものとした。なお、虚血性脳卒中、TIAまたは全身性塞栓症の既往がなく、そのほかの危険因子が2つのみの被験者は、予定された被験者数の10%以下になるよう登録が制限された。
脳卒中やTIAの既往がある二次予防(リバーロキサバン群:408例、ワルファリン群:405例)と、既往のない、一次予防(リバーロキサバン群:231例、ワルファリン群:234例)に分け、安全性と治療効果を比較した。安全性主要評価項目は、重大な出血事象または、重大ではないが臨床的に問題となる出血事象の複合、有効性主要評価項目は、脳卒中または全身性塞栓症の複合とした。
一次予防リバーロキサバン群で出血率高く交互作用は認められず
その結果、安全性主要評価項目の発現率は、二次予防においては、リバーロキサバン群は17.02%/年、ワルファリン群は18.26%/年で、両群間に差はみられなかった(ハザード比(HR):0.95、(95%CI:0.70-1.29))。一方で、一次予防ではリバーロキサバン群の19.76%/年、ワルファリン群13.46%/年で、リバーロキサバン群で高い傾向がみられた(HR:1.48、(0.98-2.22))。ただし、有意な交互作用は認められなかった(p=0.090)。また、安全性主要評価項目の内訳を見ても、有意な交互作用は認められなかった。
臓器別に出血部位をみると、二次予防(813例)での頭蓋内出血はリバーロキサバン群3例、ワルファリン群8例で、リバーロキサバン群で少ない傾向を示した。
一方、有効性主要評価項目の発生率は、二次予防ではリバーロキサバン群1.66%/年に対し、ワルファリン群では3.25%/年で、リバーロキサバン群で少ない傾向がみられた(HR:0.51(0.23-1.14))。一次予防では、リバーロキサバン群で0.61%/年に対し、ワルファリン群で1.56%/年だった(HR:0.39(0.08-2.02))。ただし、有意な交互作用は認められなかった(P=0.776)。
これらの結果から、棚橋氏は、「リバーロキサバンの安全性と有効性は、用量調節ワルファリンとの比較において、脳卒中二次予防対象患者と一次予防対象患者との間でう一貫していることが示された」と結論付けている。