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ビッグファーマ 第2四半期もEUでの苦悩続く-底はどこに?

公開日時 2012/09/11 04:00

特許切れ問題やジェネリック医薬品との競争からの圧力が、ビッグファーマの第2四半期業績に暗い影を落としている。

ビッグファーマのCEOは次々に欧州での第2四半期業績が思わしくないことを報告、各国政府医療保険緊縮政策や欧州の医療機関の支払い能力についての不安がその暗い影を一層濃くしている。欧州ビッグファーマの業績低迷は、並行輸入の増加や参照価格の引き下げなどによっても影響されている。そのため、欧州でのビジネス環境はますます悪化すると懸念され、大手製薬幹部らは欧州でのビジネスの縮小を計画している。

仏サノフィのHanspeter Spekグローバル・オペレーション責任者は、7月26日の第2四半期決算発表の席上、「欧州は、今日、最も課題の多い地域だ」と指摘した。サノフィの欧州での売上構成比は、1年前の28.5%から24%に減少している。同社は欧州での売上はノバルティスよりも10ポイント、グラクソスミスクライン(GSK)よりも4ポイント少ない。サノフィは、米国で売上全体の31.5%、新興国から31.8%、その他(日本、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)から12.7%を獲得している。

GSKの新興国ビジネスは、規模的に欧州ビジネスより大きくなりつつあり、同社はビジネスの合理化や組織の動機づけなどの点では新興国市場で行ったことを欧州市場で応用することを計画している。その観点から、GSKは、欧州のコマーシャル・オペレーションを新興国市場担当前プレジデントのAbbas Hussein氏のもとでの統合を試みている。GSKの2012年第2四半期のグローバルな売上構成比は、欧州24%、米国32%、新興国22.4%だった。2011年第2四半期は、欧州27%、米国31%、新興国16%で、欧州が減少、新興国は増加している。

GSKのAndrew Witty CEOは、「欧州が単一の意見を持つ時代は終焉した」と話し、欧州を別に地域とみなす考えに疑念を呈した。さらに、「今日、新薬アクセスが欧州で容易に出来るのは2-3か国に過ぎない。市場アクセスが問題なのが5-6か国ある」と指摘、欧州市場は問題を抱えているとの認識を示した。そのため、GSKは、グローバルなマーケティング力を新薬において特にビジネス機会のある5-6か国、ブラジル、中国、フランス、ドイツなどでのフランチャイズに統合再編している。

これとは対照的に、ロシュはポートフォリオに抗がん剤を多数もっているために他社のように欧州での薬価(参照価格)引き下げの影響が小さい。他社が5%-7%の引き下げ影響を受けているが、ロシュは2012年第2四半期は2%程度で済んでいる。

ロシュのSeverin Schwan CEOは、「環境が厳しく、価格への圧力が高まるとき、まず影響を受けるのは、価格が高いイノバティブな薬剤ではなく、差別化されていない薬剤だ」と話し、同社が差別化した薬剤を持ち、影響が少ないことを説明した。

しかし、ロシュは、ギリシャ、ポルトガル、イタリア、スペインなど南欧州での政府出資の医療機関に15億スイスフラン(154億ドル)の負債を持っている。現在、スペインとイタリアについては改善されてきているが、ギリシャ、ポルトガルについては負債が増え続けている。

欧州における売上減少は、メルクセローノによるジュネーブの本社の閉鎖、サノフィによるフランスのR&D施設の閉鎖など、多国籍企業が、欧州での施設の閉鎖や従業員解雇によって経費削減を目指すリスクも生んでいる。欧州での事業縮小の代わりに、製薬企業が新たな投資先を中国のような新興国に向け始めている。
 

以下は主要企業の第2四半期の欧州地域の業績である。

サノフィの売上は前年同期比11%減の21億ユーロ(26億ドル)。各国の緊縮財政、Taxotere(ドセタキセル)、Aprovel(イルベサルタン)、Plavix(クロピドグレル)などのジェネリック医薬品との競争やCopaxane(グラチラマー)ビジネスのイスラエル・テバ社への移管が影響した。

GSKの売上は前年同期比8%減の18億ポンド。8%減の内訳は、7%が薬価引き下げで、1%は売上数量の減少。医薬品売上はSeretideの売上が4%減少するなどの影響で9%減、ワクチン売上は各国政府の緊縮策による入札の遅れの影響を受けた。

ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の欧州売上は8.3%減の41億ドル。しかし、為替の影響を入れると1.6%増となる。J&Jは、南欧の負債については、第1四半期に比べて、イタリア、ギリシャの負債は増加しているもののスペインの負債は大きく改善され、全体として改善されてきているとしている」。

ファイザーの売上は17%減の35億ドル。同社Ian Read CEOは、欧州のビジネス環境は変わりつつあるが将来は見通せないとコメントしている。尿失禁治療薬Detrol(トルテロジン)は、2012年第2四半期に特許が切れる。

アストラゼネカの売上は、主力品の特許切れやジェネリック品との競争が響き20%減の16億ドル。Seroquel IR(クエチアピン)の特許が切れ、同剤の売上は61%減の5200万ドル、Nexium(エソメプラゾール)やAtacand(カンデサルタン)はジェネリックとの競争により、それぞれ37%減の1億1200万ドル、30%減の1億2000万ドルに留まった。

ロシュの2012年上半期の売上は前年同期比3%減となった。薬価引き下げの影響は2%。Cellcept(ミコフェノール酸モフェチル)やBonviva(イバンドロネート)がジェネリック品との競争で落ち込んだ。

ノバルティスの第2四半期の売上は、Diovan(バルサルタン)の特許切れなどで6%減の26億ドルとなった。同社の欧州での売上比率は、2011年第2四半期は37%だったが、今年同期は31%にダウンした。同社のジェネリック医薬品、ワクチン、消費者向け製品を加えた欧州売上は、49億ドルになるが、これも昨年同期に比べると2%減。売上全体に対する構成比でも2011年の37%にくらべ2012年は34%と3ポイント減少した。


The Pink Sheet  8月20日号
 
 
 
 

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