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【SABCSリポート】N-SAS BC03 日本人患者対象にタモキシフェンからアナストロゾールへの切り替えで良好な長期成績示す

公開日時 2012/12/20 05:00

 ホルモン感受性閉経後乳がんの日本人患者における、補助療法として、タモキシフェンからアナストロゾールへの切り替えは、タモキシフェンの継続投与に比べ、主要評価項目の無病生存(DFS)と無再発生存(RFS)で有意差はみられないものの、イベントの発生を抑制する傾向を示すことが分かった。臨床第3相ランダム化オープンラベル比較試験「N-SAS BC03」の長期追跡の結果から明らかになった。またアナストロゾールに切り替え後の有効性は、早期で顕著にみられることも分かった。12月5~8日まで、米国・サンアントニオで開催された、第35回サンアントニオ乳がんシンポジウムのポスターセッションで12月6日、杏林大学医学部外科(乳腺)教授の井本滋氏らの研究グループが発表した。


同試験の42カ月間時点での解析結果から、アナストロゾールに切り替えた群では高い有効性が示された一方で、タモキシフェン継続群では、健康関連のQOLが良好であることが報告されている。今回の解析は、追跡期間76.7カ月(中央値)のデータとした。登録期間は、2002年11月~05年12月まで。


対象は、ステージI~IIIB、エストロゲン(ER)またはプロゲステロン(PR)陽性で、手術後にタモキシフェンの補助療法を1~4年受けた患者706例。①タモキシフェン5年間継続群352例②アナストロゾールに切り替える群354例――に無作為に割り付けた。主要評価項目は、DFSと有害事象。


被験者は、60歳以上の症例がタモキシフェン継続群180例、アナストロゾール切り替え群178例、ステージIがタモキシフェン継続群154例、アナストロゾール切り替え群153例、IIAがタモキシフェン継続群134例、アナストロゾール切り替え群124例、リンパ節転移なしが両群ともに212例、3cm未満の腫瘍サイズがタモキシフェン継続群279例、アナストロゾール切り替え群282例だった。またホルモン受容体のステータスは、HER2 0-2+がタモキシフェン継続群165例、アナストロゾール切り替え群166例、HER2不明がタモキシフェン継続群173例、アナストロゾール切り替え群174例、ER陽性かつPR陽性はタモキシフェン継続群250例、アナストロゾール切り替え群253例、ER陰性PR陽性は両群とも26例だった。タモキシフェンの治療期間は、1~2年が両群とも171例、化学療法の前治療はタモキシフェン継続群161例と163例が受けていた。


DFS関連のイベント数はタモキシフェン継続群の59例に対し、アナストロゾール切り替え群は52例(ハザード比(HR):0.87、95% CI: 0.60 – 1.26、p=0.457)、RFS関連のイベント数は、タモキシフェン継続群が42例に対しアナストロゾール切り替え群は32例に留まっており(HR:0.77、95% CI: 0.49 – 1.22、p=0.266)、有意差はないものの、どちらの評価項目でもアナストロゾールでイベント数が少ない傾向がみられた。


追跡期間を一定の期間で区切り、それぞれの区間でDFSとRFSの推定HRを解析した結果も報告された。その結果、アナストロゾールの有効性は、タモキシフェンから切り替え後早期の段階が最も顕著で、時間経過とともにその差がなくなることも分かった。推定HRは、ランダム化から30カ月目までが、DFS 0.54(95%CI:0.30 – 0.98)、RFS 0.48(95% CI: 0.23 – 0.98)、42カ月目まではDFS 0.65(95%CI:0.40 – 1.06)、RFS 0.53(95% CI: 0.29 – 0.97)、54カ月目まではDFS 0.77(95%CI:0.50 – 1.19)、RFS 0.63(95% CI: 0.37 – 1.06)、66カ月目まではDFS 0.82(95%CI:0.55 – 1.24)、RFS 0.72(95% CI: 0.44 – 1.17)、78カ月までではDFS 0.83(95%CI:0.57 – 1.23)、RFS 0.73(95% CI: 0.46 – 1.17)だった。


また、ランダム化から36カ月目までと、36カ月目以降とで区分した場合のHRは、36カ月目までがDFS 0.72(95%CI:0.43 – 1.22)、RFS 0.58(95% CI: 0.30 – 1.12)、36カ月目以降がDFS 1.06(95%CI:0.62 – 1.81)、RFS 0.98(95% CI: 0.51 – 1.88)だった。


研究発表者の井本氏は、これらの結果から、タモキシフェンからアナストロゾールへの切り替えの有効性を強調。高リスク患者におけるAI剤の投与期間を今後の課題として指摘した。

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