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トリプルネガティブ乳がんに対する抗TROP2 ADC・トロデルビ承認へ 薬事審・第二部会が了承

公開日時 2024/09/13 04:51
厚生労働省の薬事審議会・医薬品第二部会は9月12日、ギリアド・サイエンシズのトリプルネガティブ乳がんに対する抗TROP2抗体薬物複合体(ADC)・トロデルビ点滴静注用200mg(一般名:サシツズマブ ゴビテカン(遺伝子組換え))の承認の可否を審議し、承認を了承した。トロデルビは優先審査された。

◎オミクロン株JN.1系統対応の新型コロナワクチン・コスタイベ承認へ

このほか、厚労省は、Meiji Seika ファルマの新型コロナワクチンでオミクロン株JN.1系統に対応したコスタイベ筋注用を一変承認する方針を報告し、了承された。

コスタイベに代表されるレプリコンワクチンについては日本看護倫理学会が、「レプリコンワクチンが『自己複製するmRNA』であるため、レプリコンワクチン自体が接種者から非接種者に感染(シェディング)するのではないかとの懸念がある」、「すなわちそれは望まない人にワクチンの成分が取り込まれてしまう倫理的問題をはらんでいる」などと指摘する緊急声明を8月7日付で発出している。

このシェディングの問題がこの日の部会で議論されたかについて、同省医薬局医薬品審査管理課の担当官は部会後の記者説明会で、「特に部会でそういった議論はなかった」と述べた。そして、「(コスタイベの)これまでの臨床試験、非臨床試験等から特にシェディングが起こることは確認されていない。科学的にもそういったことが起こることはまずないだろうという形で審査して、部会で報告した」と審査及び部会報告の経緯を説明した。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)

トロデルビ点滴静注用200mg(サシツズマブ ゴビテカン(遺伝子組換え)、ギリアド・サイエンシズ):「化学療法歴のあるホルモン受容体陰性かつHER2 陰性の手術不能又は再発乳がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。優先審査品目。

90%以上の乳がんを含む複数のがん種で高発現する細胞表面抗原であるTrop-2タンパクを標的とする抗TROP2抗体トポイソメラーゼ I阻害剤複合体(ADC)。Trop-2が発現したがん細胞に取り込まれると、トポイソメラーゼI阻害剤を直接届けるとともに、周辺のがん細胞のDNAにも作用し、がん細胞を死滅させる。

用法・用量は、「通常、成人には、サシツズマブ ゴビテカン(遺伝子組換え)として1回10mg/kg(体重)を、21日間を1サイクルとし、各サイクルの1日目及び8日目に点滴静注する。投与時間は3時間とし、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降は1~2時間に短縮できる。なお、患者の状態により適宜減量する」。

海外では24年5月時点で、手術不能又は再発のトリプルネガティブ乳がん(HR陰性/HER2陰性)に係る効能・効果で48の国又は地域で承認されている。

【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

コスタイベ筋注用(SARS-CoV-2(オミクロン株JN.1)のスパイクタンパク質をコードするmRNA、Meiji Seika ファルマ):「SARS-CoV-2による感染症の予防」を対象疾患とする新効能・新用量・その他の医薬品。再審査期間は残余(令和13年11月27日まで)。

自己増幅型mRNAワクチン。レプリコンワクチンと呼ばれるもので、接種後に抗原タンパクをコードするmRNAが細胞内で複製され、持続的に抗原タンパクがつくられる。接種量が少なく、ワクチンの効果が長く持続することが期待されている。

起源株対応ワクチンが23年11月に国内承認されており、今回、オミクロン株JN.1系統対応への変更となる。海外では24年8月末時点で、日本以外に承認又は使用許可されている国又は地域はない。
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