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【ATS特別版】重症喘息における高頻度の増悪  特有の関連リスク因子が存在

公開日時 2012/05/23 05:00

「重症の喘息患者における高頻度の増悪には、喀痰中好酸球や喘息コントロール、QOL、喫煙、FEV1のリスク要因が関連する可能性が高い」―。スウェーデンKarolinska InstitutetのMacjek Kupczyk氏は5月20日、米国サンフランシスコで開催中の米国胸部学会(ATS)年次学会(米国カリフォルニア州サンフランシスコで5月18~23日開催)のオーラルセッションで報告した。(医療ジャーナリスト 森永知美)


研究グループは、高頻度に増悪する喘息患者(増悪イベント頻度が年間2回または3回以上と定義)の特徴と潜在リスク因子を探るため、ヨーロッパの重症喘息患者93例と軽症から中等症の喘息患者76例の計169例を1年間追跡した。追跡では、毎日の肺機能(PEFとFEV1)と日中・夜間症状、活動の制限、短時間作用性β刺激薬(SABA)の使用頻度を記録させるほか、3カ月毎に医師のもとで計測を行った。


重症喘息は、高用量の吸入ステロイド薬により、専門医による治療を受けているにも関わらず、試験参加前の1年間で最低1回増悪しているものと定義した。


重症喘息患者は軽症から中等症の患者と比べ、平均年齢(50.0歳 vs 42.2歳)とBMI(28.5 vs 25.0)が高く、QOL(SGRQ 45.9 vs 22.5)とFEV1正常予測値(70.4% vs 88.7%)が悪化しており、有意差が見られた。またC反応性タンパク(6.1 mg/L vs 3.5 mg/L)と喀痰中好酸球(16.7% vs 5.79%)も重症の患者のほうが有意に高かった。
追跡期間中に発生した増悪は、重症患者の55.9%(52例)で104イベント、軽症から中等症患者の22.2%(16例)で18イベント。平均増悪率は、重症患者で1.1イベント/患者・年、軽症から中等症の患者で0.2イベント/患者・年だった。高頻度の増悪は重症患者でしか見られなかった。


高頻度の増悪患者では、増悪頻度が低い患者と比べ、吸入ステロイド薬の吸入量が多く、喘息コントロールが悪化しており(JuniperのACQスコア)、有意差が見られた。またC反応性タンパクと喀痰中好酸球も高頻度増悪患者で有意に高かった(いずれもp<0.05)。


分析の結果、高頻度の増悪に関連するリスク因子は、喀痰中好酸球と喘息コントロール、QOL、喫煙、FEV1≤70%であることがわかった。


これらの結果からKupczyk氏は、高頻度の増悪は喘息の予後不良と考えられ、死亡リスクの上昇や健康状態の悪化、QOLの低下、医療コストの上昇を招くとした上で、リスク因子を特定することで、高頻度増悪患者における日常ケアの向上に繋がると結論し、研究成果の重要性を強調した。

 

 


 

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