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Dupilumab、至適コントロール得られない中等症から重症喘息で増悪抑制効果

公開日時 2013/06/09 00:00

酸球数が上昇している中等症から重症の持続型喘息において、ヒトモノクローナル抗体のDupilumabが有意に増悪を抑制することが、第IIa相の概念実証試験の結果から分かった。米ピッツバーグ大のSally Wenzel氏が報告した。

 

喘息患者の約10~20%は、グルココルチコイドや長時間作用型β2刺激薬(LABA)などの現行療法では、至適コントロールが得られない。喘息は複数の表現型から構成されるが、これまでの研究から、患者の約半数にTh2細胞に関連する炎症過程が見られ、好酸球の上昇を伴う喘息において、Th2サイトカインを標的とする治療法が有効であることが示唆されている。

Dupilumabはモノクローナル抗体で、IL-4受容体α鎖を阻害することにより、喘息やアトピー性疾患と深く関わるTh2サイトカインのIL-4とIL-13の信号をブロックするとされる。

試験は、2011年3月から2012年12月まで米国28カ所の医療施設で実施。喘息の診断から12カ月以上が経過する18〜65歳までの中等症から重症の患者104例が対象となった。血中好酸球数が300/μl、または喀痰中好酸球が3%以上、中用量から高用量の吸入ステロイド(ICS)+LABA併用下にあること、正常予測値に対する1秒量(FEV1)が≥50%、喘息管理質問票(ACQ5)が1.5以上3.0以下、過去2年間に1回以上の喘息増悪があること、などが参加条件となった。

被験者はDupilumab群(300mgを週1回皮下投与、52例)かプラセボ群(52例)に無作為化され、治療は12週間または増悪するまで継続した。最初の4週間は、フルチカゾン(250または500 μg、BID)とサルメテロール(50 μg、BID)の併用を継続し、4週目からサルメテロールを完全に中止、6週目からはフルチカゾンの用量を漸減した。9週目からは12週目まではフルチカゾンも完全に中止し、Dupilumabまたはプラセボによる単剤療法となった。
主要評価項目は、増悪の発生に設定。増悪は以下の項目のうち1つ以上が当てはまる場合と定義した。①2日間連続で朝のPEF値がベースラインから30%以上低下、②2日間連続で、24時間以内のリリーバー吸入(アルブテロールかレバルブテロール)がベースラインから6回以上増加、③喘息の悪化(全身グルココルチコステロイド治療、ICS用量が直近の用量から4倍以上に増加、または入院につながるほどの悪化、試験担当医が判断)。
副次評価項目には、FEV1とPEF(朝、晩)、ACQ5、喘息スコア(朝、晩)、夜間覚醒、アルブテロール/レバルブテロール吸入頻度におけるベースラインからの変化と、増悪までの期間に設定した。

患者背景は両群とも類似しており、平均年齢がDupilumab群37.8歳、プラセボ群41.6歳、男女比は両群とも50/50%、喘息罹患期間はDupilumab群が24.2年、プラセボ群26.9年、過去2年間での増悪回数は両群とも1.4回、高用量ICS/LABA利用患者の割合はDupilumab群が80.8%、プラセボ群78.8%だった。また喘息の各指標では、FEV1がDupilumab群2.47L、プラセボ群2.54L、FEV1%予測値は両群で72%、血中好酸球(x10-9/L)はDupilumab群0.55、プラセボ群0.47、ACQ5スコアは両群で2.1だった。

治療の結果、喘息の増悪はプラセボ群の44.2%(23例)に発生したのに対し、Dupilumab群では5.8%(3例)で、プラセボ群と比較して有意に87%抑制されていた(オッズ比0.08、95% CI:0.02-0.28、p<0.001)。

増悪までの期間では、Dupilumab群がプラセボ群と比べて有意に長かった(ハザード比0.10、95% CI:0.03-0.34、p<0.001)。FEV1値はDupilumab群が2週間目でベースラインから有意に上昇し、その後LABAを中止した5週目で若干落ち込んだものの、12週目までプラセボ群と比べて有意に高い値が維持された(p<0.001)。ACQ5スコアは両群で改善したものの、Dupilumab群がプラセボ群を有意に上回る改善を示した(p=0.001)。リリーバーの吸入頻度の変化においても、Dupilumab群はプラセボ群と比べて有意に減少していた(p<0.001)。一方、夜間覚醒は両群で有意差は示されなかった(p=0.052)。

また薬力学的指標である呼気一酸化窒素濃度(FeNO)では、プラセボ群が8週目まで安定的だったが、ICS投与中止とともに上昇したのに対し、Dupilumab群は4週目までに著しく低下した後、12週目までベースラインよりも低い数値を維持し、プラセボ群と比べて有意に改善した(p<0.001)。IgE値においても、Dupilumab群はプラセボ群と比べて有意に改善していた(p<0.001)。

治療中に発生した有害事象は、Dupilumab群が80.8%、プラセボ群は76.9%で群間差はなかった。重篤な有害事象は、Dupilumab群で1.9%、プラセボ群では5.8%、有害事象により治療を中止した割合は、両群とも5.8%だった。死亡例は両群とも0例だった。

最も高頻度に見られた有害事象は、注入部位の反応でDupilumab群が28.8%、プラセボ群9.6%、鼻咽頭炎がDupilumab群13.5%、プラセボ群3.8%、上気道感染がDupilumab群13.5%、プラセボ群17.3%、頭痛がDupilumab群11.5%、プラセボ群5.8%だった。

これらの結果からWenzel氏は、持続的に好酸球が増加している喘息患者に対してDupilumabは、プラセボと比べて、併用療法に追加した期間と単剤療法に切り替えた期間のどちらにおいても、臨床的に意義のある転帰改善を示したと結論した。総じて忍容性は良好であったとした上で、今後は、対象患者の選定や実臨床での増悪への影響、長期的な有効性と忍容性に関して、より詳しく調べる必要があるとの見解を示した。

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