医療機関での携帯電話の使用で指針 タブレットも医療機器から1m離れた使用を
公開日時 2014/08/21 03:52
電波環境協議会は8月19日、「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」を公表し、スマートフォンや携帯電話内臓のタブレットなど携帯電話端末の使用が許可された待合室やロビーであっても、医療機器から1m以上離しての使用を求めた。使用場所については、手術室や集中治療室(ICU)などを除き、原則として院内での携帯電話の使用を認めた。
指針では、第二世代の携帯電話サービスの廃止、医療機器の電磁的耐性に関する性能の向上などで状況が大きく変化してきていると指摘。その上で、医療機関での携帯電話などの積極的活用が医療の高度化・効率化、患者の利便性・生活の質(QOL)向上に効果が認められるとし、院内での携帯端末の使用を認めた。ただ、医療機器に密着して使用した場合には影響が出るおそれがあることから医療機器の上に携帯を置くことは禁止した。また目安として医療機器から1m程度離れて使用することを求めた。
その上で、エリアごとに使用ルールを設定することの重要性を指摘。医療機関には▽通話、メール・Webともに可能な“使用可能エリア”、通話は禁止だが、メールやWebが可能な“通話禁止エリア”、▽携帯電話Offエリア――などとわけ、院内に掲示や患者に文書で配布するなどして広く周知することを求めた。特に「医療従事者や関係業者については、率先してルールを遵守することが求められる」とし、医療機関側には特に周知徹底を図ることを求めた。
通話、メール・Webともに可能なエリアとしては、▽待合室、ロビー、食堂、廊下、エレベーターホール、▽携帯電話コーナー、携帯電話専用室など――を挙げた。医療機器からは隔離するほか、使用が制限されるエリアに隣接する場合には使用が制限されること、歩きながらの使用は控えることなどを求めた。
一方で、携帯電話Offエリアに該当するのが、手術室、ICU、検査室、治療室など。生命維持管理装置など影響が発生した場合のリスクが非常に大きい医療機器があることから、携帯電話の使用を禁止した。待ち受けの状態でも電波を発することがあるため、電源を切る、もしくは電波を発射しないモードにすることも求めた。
そのほか、病室は、原則通話禁止、メールやWebのみ可能とした。ただ、多人数病室で通話制限を行うなど、マナーの観点に留意する必要性を指摘した。診察室では、通話禁止としたが、電源を切る必要はないとした。
携帯に付属する録音、カメラ機能については「個人情報の保護、医療情報漏えい防止の観点から原則として控えられることが適切」とした。
一方で、医療従事者には十分な教育がなされたことを前提に、通話を含め、原則使用を認めた。ただし、私用携帯電話については、医療従事者しか立ち入れないナースステーションや医局などを除き、利用者と同じルールに従うことが適切とした。