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新型コロナの特定臨床研究 無症候者・軽症者へのアビガン投与によるウイルス低減は有意差見られず

公開日時 2020/07/13 04:52
藤田医科大学は7月10日、新型コロナウイルス感染の無症状や軽症患者に対し、アビガン(一般名:ファビピラビル)を投与することでウイルス量を低減できるか検討した特定臨床研究の暫定結果を公表した。研究では感染初日からアビガンを投与し、累積ウイルス消失率を検討したが、ウイルス消失や解熱に至りやすい傾向が見られたものの、統計的有意差は認められなかった。同剤をめぐっては富士フイルム富山化学が治験を実施中。治験は、同研究とは試験の目的や対象患者が異なり、結果が待たれている。

研究は、無症状や軽症の新型コロナウイルス患者89人を対象に、アビガンを投与することで、ウイルス量を低減できるか検討する目的で実施された。アビガンを感染初日から投与する群(通常治療群)44例、感染6日目から投与する群(遅延投与群)45例にわけ、有効性・安全性を比較した。主要評価項目は、6日目までの累積ウイルス消失率。6日目時点では遅延投与群はまだ投与を開始されておらず、この時点で有意差が認められればアビガンに新型コロナウイルス低減効果があることになる。研究は全国47施設で実施し、3月上旬から5月中旬まで患者登録がなされた。なお、解析は研究参加時点でウイルスが消失していた症例などを除外し、通常治療群36例、遅延投与群33例を対象に行った。

◎ウイルス低減効果 傾向示すにとどまる

その結果、主要評価項目の6日目までの累積ウイルス消失率は、通常投与群66.7%、遅延投与群56.1%で、調整後ハザード比は1.42(95%CI:0.76-2.62、P値=0.269)で、統計学的有意差は認められなかった。副次評価項目に据えた、6日目までのウイルス量対数値50%減少割合は通常投与群94.4%、遅延投与群78.8%で、調整後オッズ比は4.75(95%CI:0.88-25.76、P値=0.071)。探索的評価項目である、37.5℃未満への解熱までの平均時間は通常投与群2.1日、遅延投与群3.2日で、調整後ハザード比は1.88(95%CI:0.81-4.35、P値=0.141)で、いずれも統計学的有意差は認められなかった。

◎死亡例や重症化例は認められず 血中尿酸値上昇は84.1%も内服終了後には回復

研究中の死亡・重症化例は認められなかった。アビガンに関連する有害事象として、血中尿酸値の上昇が84.1%、血中トリグリセリド値の上昇が11.0%、ALT値上昇が8.5%、AST値上昇が4.9%だった。これらの異常値は、内服終了後に多くの患者が平常値まで回復した。また、通風を発症した患者はいなかった。

なお、富士フイルム富山化学が進める治験は、非重篤な肺炎を有する新型コロナウイルス患者が対象で、肺炎の標準治療にアビガンを追加投与することの有用性を検討することを目的としている。

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