東京都・小池都知事が緊急会見 新型コロナの感染者数 過去最多の534人 警戒レベル最高位に引上げ
公開日時 2020/11/20 04:50
東京都の新型コロナウイルス感染症の感染者数が1日では過去最多の534人となった。小池百合子都知事は11月19日の緊急記者会見で、「新規陽性者、接触歴等不明数が大幅に増加しており、感染拡大の重大な局面を迎えた」と述べ、都の定める感染状況の警戒レベルを4段階の最高ランクに引き上げたことを明らかにした。一方、医療提供体制は、「重症患者数の増加が続けば、予定手術等の制限をせざるを得なくなり、通常の医療の維持と重症患者のための病床確保の両立が困難になる」とし、警戒レベルを4段階の上から2番目の「体制強化が必要」とした。
この日は、小池都知事出席のもと第4回東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議が開かれ、都内の感染状況と医療提供体制について報告があった。会議に出席した国立国際医療研究センターの大曲貴夫氏(国際感染症センター長)は終了後の記者会見で、「高齢者の増加を非常に危惧している。重症化リスクの高い高齢者の発症が増えており、感染機会をあらゆる場面で減らすことが求められる」と述べ、警戒レベルを最高ランクに引き上げる根拠を説明した。
◎大曲氏 増加比133%、今後4週間持続で「新規陽性者数は1日1020人」と推計
感染状況について大曲氏は、「1日当たり新規陽性者数の7日間平均をみると、前週の約244人に対し、今週(18日時点)は約326人に大幅に増加した」と説明。11月4日時点の165人から並べると、「この2週間で2倍に増加している」と指摘した。また増加比も前週の148%に対し、今週(18日時点)は133%と、「10月末から100%を超えた状態が続いている」と述べ、週単位の新規陽性者数が2000人超に拡大していることに強い警戒感を示した。大曲氏はまた、「現在の増加比133%が今後4週間持続すると新規陽性者は3.1倍、一日当たり陽性者数は1020人となる」と述べ、「これは極めて深刻な状況だ」と警鐘を鳴らした。
その上で都民に対しては、「新規陽性者の早期発見と拡大防止が重要だ。発熱、咳、たん、全身がだるいという症状がある場合は、かかりつけ医に相談する。もし、そういう医師がいない場合は、東京都の発熱相談センターに電話相談して欲しい」と呼びかけた。東京都に対しては、都民が円滑に医療機関を受診できるように啓発することが大切だと訴えた。
◎東京都医・猪口副会長 入院の長期化で医療機関の負担はさらに強まる
東京都医師会の猪口正孝副会長は会見で、都内の医療提供体制について報告し、「7日間平均のPCR検査の陽性率が前週の5.0%から今週(18日時点)で5.8%に上昇した」と報告した。一方、入院患者数は前週の1076人から18日時点で1354人と大幅に増加した。猪口副会長は、「入院患者が大幅に増加しており、入院の長期化で医療機関への負担がさらに強まるものと思われる。入院が必要な患者の急増にも耐えられる病床の確保が急務だ」と述べ、都を通じて医療機関に対し、患者を確実に受け入れるための診療体制の確保を依頼したと説明した。
◎重症患者数は前週比1人増の39人 今後の推移を警戒
一方、重症患者数は、前週の38人から今週(18日時点)は39人と1人増えた。重症患者の内訳をみると、新たに人工呼吸器を装着した患者が23人、逆に人工呼吸器を離脱した患者は11人、人工呼吸器使用中の死亡は4人となった。この状況に猪口副会長は、「数字だけでは分からない部分がある」と慎重な見方をしながらも、「重症患者の増加が続けば、予定された手術や救急の受け入れ制限など、通常の医療や病床の確保が非常に困難になる」と指摘。「今後の推移と通常の医療体制への影響に警戒が必要だ」と強調した。
◎小池都知事 医療提供体制も予断を許さない「厳重な警戒が必要だ」
小池都知事は会見で、「2か月ぶりに東京都の警戒レベルに「赤」が灯ったことになる。1日の新規陽性者数は非常に高い水準で推移しており、特に重症化リスクの高い高齢者が増加している。医療提供体制についても予断を許さない。厳重な警戒が必要だ」と述べた。また、「これから忘年会、クリスマスシーズンを迎える。都民、事業者、行政が一体となって気を緩めないで感染防止対策を改めて徹底して欲しい」と呼びかけた。