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ノボ日本法人のベック社長 肥満症、CKD、CVD、NASHなど「深刻な慢性疾患」の克服に注力

公開日時 2021/04/13 04:51
ノボ ノルディスク ファーマのオーレ ムルスコウ ベック社長は4月12日に開いた年次記者会見で、2025年に向けて肥満症、慢性腎臓病(CKD)、心血管疾患(CVD)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)といった「深刻な慢性疾患領域」におけるプレゼンスを確立すると表明した。ベック社長は、「ノボ ノルディスクのパーパスは、変革を推進し、糖尿病やその他の深刻な慢性疾患を克服することだ」と強調。強みを持つ糖尿病領域のイノベーション水準をさらに引き上げるとともに、代謝系疾患の合併症であるCKDやCVDなどの慢性疾患の克服にも意欲をみせた。

同社は糖尿病、血友病、成長ホルモンを3本柱とした会社として知られている。今後4本目の柱として肥満症を位置づけ、メタボリックシンドロームにフォーカスして、臓器保護や合併症予防の領域にも注力する。同社の杉井寛開発本部長は会見で、「糖尿病と肥満症をベースとしたメタボリックシンドロームにフォーカスして、CKD、CVD、NASH、軽度認知障害などの脳疾患に新薬を投入するべく臨床試験を始めた」と述べた。

糖尿病を含む慢性疾患関係の日本での後期開発品をみると、GLP-1アナログのセマグルチドに関するプロジェクトが多い。

例えばセマグルチドの週1回皮下投与製剤では、▽2型糖尿病における慢性腎不全▽末梢動脈疾患を持つ2型糖尿病における間欠跛行の改善▽NASH――の3プロジェクトが、セマグルチドの1日1回経口投与製剤では▽2型糖尿病における心血管障害リスク軽減▽軽度認知障害――の2プロジェクトが、いずれもフェーズ3を実施している。なお、セマグルチドの週1回皮下注製剤は製品名オゼンピックとして、経口剤はリベルサスとして販売中だが、開発プロジェクトの最終的な承認区分が不明なため、製品名を用いていない。

週1回皮下投与のセマグルチド2.4mg製剤(Semaglutide Odesity)も、▽肥満症▽肥満症における心血管障害リスク軽減――でそれぞれフェーズ3段階にある。

週1回皮下投与アミリンアナログのCagrilintide(一般名、開発コード:NN9838)は、肥満症を対象疾患にフェーズ2を始めた。杉井氏はCagrilintideについて、セマグルチドとの配合剤がグローバルでフェーズ3段階にあると説明した上で、「日本もグローバル試験に参入すべく検討している」と明かした。

セマグルチド以外では、「初の週1回皮下投与ベーサルインスリンアナログ」(杉井氏)となる可能性があるInsulin icodec(開発コード:NN1436)は1型、2型糖尿病を対象疾患に2021年からフェーズ3を開始する予定。月1回投与の抗IL-6受容体モノクローナル抗体・Ziltivekimab(一般名、開発コード:NN6018)は、アテローム硬化性心血管疾患を対象疾患にフェーズ3の準備中だとしている。

■ES細胞によるパーキンソン病治療 2年後の治験開始で検討中

杉井氏は研究開発戦略に関して、新規作用機序かファーストインクラスの候補品のみ開発し、パイプラインの40%は外部機関から調達する戦略で取り組んでいると紹介した。また、ES細胞を用いたパーキンソン病治療に関する治験を日米英スウェーデンの4か国で2年後に行う計画も披露し、PMDAと協議していると報告した。

■20年国内売上 過去最高の978億円に 前年比10%増

同社日本法人の20年売上は過去最高の978億円で、前年比10.4%増だった。GLP-1アナログのビクトーザ及びオゼンピック、成長ホルモン製剤のノルディトロピンが主な成長要因となる。

国内の糖尿病治療薬市場のうちGLP-1受容体作動薬市場は17年以降、毎年約25%成長しており、同作動薬の市場規模は16年の198億円が20年は553億円に拡大した。市場拡大している中で、高用量製剤も投入したビクトーザは20年末に同阻害薬市場の中で35.2%のシェアを維持し、20年6月発売のオゼンピックは20年末に3.8%のシェアを獲得した。結果、同作動薬市場でノボ製品はシェア39.0%となった。

19年9月発売の持効型溶解インスリンアナログのインスリン デグルデクとGLP-1アナログのリラグルチドとの配合剤ゾルトファイも、20年10月の長期投与制限の解除をきっかけにシェアが拡大。同剤は20年末に、持効型インスリン市場での金額ベースのシェアは7.6%となった。

実は糖尿病治療薬市場におけるノボ製品の売上シェアは近年、右肩下がりで、16年のシェア11.8%が19年に10.1%まで落ちていた。20年はビクトーザや19年から20年に上市した新薬群の成長により、ノボ製品のシェアは10.7%に回復し、国内業績をけん引した。ノルディトロピンは成長ホルモン製剤市場で金額、数量ともにシェアが拡大し、金額ベースではシェア55.4%(前年比8.7ポイント増)に達した。

■取引卸「これ以上カットすることはない」 

ベック社長は、21年2月発売の世界初かつ唯一の経口GLP-1受容体作動薬リベルサス錠に関して、「医師への情報活動が重要だ」とし、「コロナ禍の中で簡単ではないが、適正使用に向けて情報提供・収集活動を行う重要性を感じている」と話した。MR訪問に加え、ウェブ講演会、リモート面談、メール利用、ウェブサイトなど様々なチャネルで医師にアプローチし、「適正使用及び有効性・安全性を医療従事者の方々へ伝えていく」とした。

杉井氏はリベルサスの処方患者像について、他の経口血糖降下薬で効果不十分な患者、進行または罹病期間の長い患者、何らかの理由で注射剤を使えない患者――を挙げた。

このほか、ベック社長は質疑応答で、19年に取引卸を削減したことに関連して、「(取引卸を)これ以上カットすることはない」と述べた。自然災害が発生してもノボ製品を安定供給できるかを慎重に検討した結果、「複数のサプライヤーを全国にきちんと担保できるかどうか。1社だけだと運用できないとなる。きちんと製品を患者に届けないといけないと考えたときに、複数の卸がいる」との結論に至ったとし、現在の取引卸との連携を密にして事業を進める考えを示した。
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