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骨太方針2025原案 歳出改革27年度まで継続 経済・物価動向は「自然増」 医薬品業界は構造改革を

公開日時 2025/06/09 05:30
政府は6月6日、経済財政運営と改革の基本方針2025(骨太方針2025)の原案を提示した。原案では、予算編成において「2027年度までの間、骨太方針2024で示された歳出改革努力を継続」することを明記した。高齢化や高度化等による増加分に加え、「経済・物価動向等を踏まえた対応による増加分」を自然増に含めた。25年度予算編成からすでにこの対応が取られており、この方針を踏襲する考え。物価が上昇するなかで、「医療・介護・保育・福祉等の人材確保に向けて、保険料負担の抑制努力を継続しつつ、公定価格の引上げを始めとする処遇改善を進める」と明記。医薬品関連では、「医薬品業界の構造改革を進める」ことを明記している。

原案では、「予算編成においては、2027年度までの間、骨太方針2024で示された歳出改革努力を継続しつつ、日本経済が新たなステージに移行しつつあることが明確になる中で、経済・物価動向等を踏まえ、各年度の予算編成において適切に反映する」とした。

社会保障関係費をめぐっては欄外に「高齢化や高度化等による増加分に、こうした経済・物価動向等を踏まえた対応による増加分を加えた、いわゆる自然増から、これまでの歳出改革努力を継続する」と明記した。“経済・物価動向等を踏まえた対応による増加分”をいわゆる自然増に加えた。

ただ、25年度予算編成では骨太方針2024に「経済・物価動向等に配慮しながら」との文言が加わったことを踏まえて、すでに経済・物価動向等に配慮した予算編成が行われている。日本医師会など医療関係団体は骨太方針2024の文言は「全く不十分」として、「賃金上昇や物価高騰下での逼迫した経営状況、さらには技術革新等に対応し得るように目安対応を抜本的に改めた文言とする」ことを求めている。

◎「経営の安定や幅広い職種の賃上げに確実につながる的確な対応行う」 24年度改定を検証

26年度診療報酬改定を控える中で、原案には「医療・介護・障害福祉等の公定価格の分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保がしっかり図られるよう、コストカット型からの転換を明確に図る必要がある」と指摘。「これまでの歳出改革を通じた保険料負担の抑制努力も継続しつつ、次期報酬改定を始めとした必要な対応策について、25年春季労使交渉における力強い賃上げの実現や昨今の物価上昇による影響等を踏まえながら、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう、的確な対応を行う」と明記された。このため、「24年度診療報酬改定による処遇改善・経営状況等の実態を把握・検証し、25年末までに結論が得られるよう検討する」とした。

このほか、かかりつけ医機能の発揮される制度整備や適切なオンライン診療の推進なども明記した。

◎リフィル処方箋の普及・定着、保険外併用療養費の対象範囲拡大、民間保険の開発促す

医療保険制度については、「給付と負担のバランスや現役世代の負担上昇の抑制を図りつつ、給付と負担の見直し等の総合的な検討を進める」と明記。「リフィル処方箋の普及・定着や多剤重複投薬や重複検査の適正化を進めるとともに、保険外併用療養費制度の対象範囲の拡大や保険外診療部分を広くカバーし、公的保険を補完する民間保険の開発を促す」ことも盛り込んだ。

◎国民負担の軽減と創薬イノベーションを両立する薬価上の適切な評価の実施

医薬品関連では、「創薬力の強化とイノベーションの推進」の項目を設け、「医薬品業界の構造改革を進めるとともに、健康・医療戦略に基づき、創薬エコシステムの発展や創薬力の基盤強化に向け、政府全体として一体的に政策を実現する」と明記した。新規ファースト・イン・ヒューマン試験実施施設など、国際水準の治験・臨床試験実施体制を整備することのほか、革新的医薬品等実用化支援基金の対象を拡充することを検討し、創薬シーズの実用化を支援することを盛り込んだ。薬価については、「国民負担の軽減と創薬イノベーションを両立する薬価上の適切な評価の実施」を明記した。

◎費用対効果「薬価制度上の活用や診療上の活用の方策検討」 地域フォーミュラリの普及も

費用対効果評価については、「イノベーションの推進や現役世代の保険料負担への配慮の観点から、費用対効果評価の更なる活用に向け、対象範囲の拡大や実施体制の強化、適切な評価手法の検討と併せ、薬価制度上の活用や診療上の活用等の方策を検討する」ことを盛り込んだ。「標準的な薬物治療の確立に向け、休薬・減薬を含む効果的・効率的な治療に関する調査研究を進め、診療ガイドラインに反映していく」ことも盛り込んだ。

地域フォーミュラリについても言及。「医薬品の適正使用や後発医薬品の使用促進のみならず、医療費適正化の観点から、地域フォーミュラリを普及する」とした。

医薬品・検査薬の更なるスイッチOTC化も明記。「当初の医師の診断や処方に基づき症状の安定している患者が定期的に服用する医薬品や、低侵襲性検体である穿刺血を用いる検査薬を含む」としている。

民間議員からは、「日本の競争力を高めるためには投資拡大が不可欠であり、そのためには予見可能性が重要。現在の評価は基準が不明瞭で、基準を定めた後の改定の不透明性が高く、日本メーカーの投資が二の足を踏みかねない状況にある。この分野は専門性が高く、分かりにくい。関係者が、非常に多いということもあるため、一堂に関して意見を述べる場を設けることも重要だと考える。フェアで予見性が高い費用対効果性評価が行われ、我が国において画期的な新薬の研究開発が進むような方向性を打ち出していただきたい」との意見があった。




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