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CureApp NASH治療アプリの国内第3相臨床治験開始 食事・運動療法を「アプリで強化」

公開日時 2024/02/21 04:50
 
CureAppは今年1月から、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の治療アプリの国内第3相臨床試験を開始した。NASHは進行すると肝がんなどのリスクがあり、食事・運動療法による早期介入の有用性が報告されているが、継続の難しさが指摘されていた。同社の佐竹晃太代表取締役社長は2月20日に開いた記者会見で、「生活習慣指導をアプリで強化することで新たな治療法確立を目指したい」と述べ、アプリによる介入の意義を強調。NASHでは医薬品による治療法が確立されていない現状に触れ、「その観点でも新たな試みであり、大きな意義がある」と挑戦する意義も強調した。

同社が開発を進めるNASHの治療アプリは、「患者アプリ」と「医師アプリ」から構成される。患者アプリでは、患者個々に応じた学習コンテンツを提供し、食事・運動療法の重要性を理解してもらう。さらに、体重などの変化も自身で知ることができる。一方、医師アプリは患者アプリとサーバー上で同期されており、体重測定値やプログラムの進捗、日々の記録を見ることができ、継続的に患者の状況を把握することが可能になる。また、アルゴリズムによって得られた情報により、個々の患者の状況に応じた治療や生活指導を行うことが可能になるとしている。

◎行動療法による48週間後のNASHが改善した割合を検証


臨床第3相試験では、NASHと診断された患者のうち、生活習慣指導により治療効果が期待できると医師が判断した患者346例が対象。①患者アプリを活用し、行動療法に取り組むとともに、医師が診療時に医師アプリの患者情報、指導を支援する情報を参照し、治療を行う群(介入群)、②医師による生活習慣指導・体重測定を実施する群(対照群)―にランダムに割り付け、有効性と安全性を検証する。主要評価項目は、登録後48週時点における、肝線維化の増悪を伴わないNASHが改善した患者の割合を据えた。治験実施施設は35施設。

治験統括アドバイザーを務める済生会吹田病院の岡上武名誉院長は同日の会見で、「体重を7%下げると肝線維化がワンランク下がることがわかっている。モチベーションを保ちながら体重を減らすためにアプリの役割は重要だ」との見解を示した。

◎サワイHD・澤井会長 「治療の間の”空白解消”」「個々の患者に合わせた指導」実現に期待

アプリをめぐっては22年にサワイグループホールディングスと国内第3相臨床試験の開始に向け、共同開発契約を締結している。同社の澤井光郎代表取締役会長兼社長は、「アンメットメディカルニーズが高いNASHに対して従来とは異なる行動変容というアプローチを用いたアプリは患者さんの有望な治療オプションになる」と述べた。「アプリによる患者への治療ガイダンスやサポートは通院と通院の間の期間でもリアルタイムで行え、治療空白の解消が期待できる。通院時にはアプリによる毎日の運動、食事、栄養や集積された体重データに基づき医師がそれぞれの患者に合わせた指導を行うことが可能になることも期待できる」と述べ、アプリの有用性に期待を込めた。
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