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20年度の国内医療用薬市場2.7%縮小 開業医市場で影響長期化 IQVIA

公開日時 2021/05/24 04:52
2020年度(20年4月~21年3月)の国内医療用医薬品市場が薬価ベースで10兆3475億円、前年度比2.7%減となった。IQVIAが5月20日に発表した。6年連続で10兆円を超えたが、前年度を額で2818億円余り下回った。20年度は四半期ベースで4期連続のマイナス成長を記録。病院、開業医、主に調剤薬局で構成する「薬局その他」の3市場とも縮小した。特に開業医市場は回復に時間がかかっており、市場規模は1兆9916億円(前年度比5.7%減)と2兆円台を下回った。IQVIAによると、2兆円割れは05年度以降で初めて。20年度薬価改定に加え、コロナ禍による全国的な受診抑制が特に開業医市場に大きな影響を与えている。

文末の「関連ファイル」に20年度の市場規模や売上上位10製品の売上データに加え、売上上位製品の四半期ごとの売上推移をまとめた資料を掲載しました(ミクスOnlineの有料会員のみ閲覧できます。2週間の無料トライアルはこちら)。

◎病院市場 21年1~3月にプラス成長に転じる

市場全体を四半期ベースでみると、20年4~6月は前年同期比2.5%減、7~9月は同5.1%減、10~12月は同1.9%減、21年1~3月は同1.0%減――と、市場全体では復調の兆しがみえる。これは100床以上の病院市場で21年1~3月に同1.6%増とプラス成長に転じたためだ。

一方で、100床未満の開業医市場は20年1~3月が同5.1%減、4~6月は同6.9%減、7~9月は6.0%減、10~12月は同5.1%減、21年1~3月は同4.8%減――と厳しい状況が長期化している。2回の緊急事態宣言の発令に加え、感染対策の徹底による感染症患者の減少、風邪などの比較的軽い疾患ではあまり受診しなくなったことが背景にあると思われる。

◎20年度の市場別影響額 病院646億円減 開業医1200億円減 薬局972億円減

市場別に市場規模をみると、病院市場は4兆7279億円(前年度比1.3%減)、開業医市場は1兆9916億円(5.7%減)、薬局その他市場は3兆6279億円(2.6%減)――となった。3市場ともマイナス成長は16年度以来となる。ちなみに16年度は、16年4月に実施された市場平均で6%強の薬価引下げや、売上のピークを過ぎた経口C型肝炎治療薬ハーボニーやソバルディの大幅減収が市場縮小に影響した年だった。

20年度に話を戻すと、病院市場のマイナス成長は16年度以来4年ぶり。薬局その他市場では2年ぶりとなる。額にすると、病院市場は646億円減、開業医市場は1200億円減、薬局その他市場は972億円減で、開業医市場での影響の大きさがわかる。

◎売上1000億円超 キイトルーダ、オプジーボ、タケキャブ、アバスチンの4製品

20年度の売上上位10製品をみると、1位のがん免疫療法薬キイトルーダ、2位のがん免疫療法薬オプジーボ、3位の抗潰瘍薬タケキャブ、4位の抗がん剤アバスチン――の4製品が売上1000億円を超えた。

キイトルーダは2年連続の1位で売上は1182億円だったが、前年度比12.9%減だった。非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療を中心に処方数量が伸びたものの、20年2月に特例拡大再算定で薬価が17.5%下がり、20年4月改定で2月の薬価からさらに20.9%下がったことが減収要因となる。

オプジーボは売上1128億円(14.7%増)だった。19年度は競合品キイトルーダとの売上差が373億円あったが、20年度は54億円に縮まった。オプジーボは19年10月の消費税改定により、20年4月以降の薬価が18年4月から1.85%上がった。一方のキイトルーダは前述の通り薬価が大幅に下がった。これが両剤の売上差が縮まった理由となる。オプジーボは消化器がんと、NSCLC1次治療に係る複数の併用療法を訴求してシェア拡大をはかる方針。

タケキャブは売上1008億円(14.4%増)で、2ケタ成長を続けている。アバスチンは20年4月改定で後発品参入に伴う新薬加算累積下げを受けて薬価が15.7%下がったが、それでも売上1005億円(14.7%減)とした。

このほか、上位10製品の中で2ケタ成長したのは抗がん剤タグリッソで、売上は950億円、前年度比10.8%増だった。売上ランキングは5位で、今回3つ順位を上げた。同剤もNSCLCの1次治療に使えることが主な成長理由となる。

◎上位10薬効 1位は抗腫瘍薬 2位は糖尿病薬 3位は免疫抑制剤

売上上位10薬効をみると、前年度とランキングが全く同じだった。IQVIAによると、2年連続前年同一ランキングは07年度以来13年ぶりとなる。20年度はリアル面談の実施が困難だったことで新薬の新規の採用・処方が想定ほど進まなかったといわれており、この新薬の市場浸透の遅れもランキング自体が動かなかった理由かもしれない。

1位の抗腫瘍薬市場は1兆5186億円(5.1%増)、2位の糖尿病治療薬市場は6105億円(4.4%増)、3位の免疫抑制剤市場は4786億円(3.4%増)――と上位3薬効は成長した。4位は抗血栓症薬市場4199億円(5.1%減)、5位は眼科用剤市場3595億円(1.3%増)、6位は制酸剤、鼓腸及び潰瘍治療薬(以下、潰瘍治療薬)市場3471億円(1.4%減)、7位はレニン-アンジオテンシン(RA)系作用薬市場2934億円(6.0%減)、8位はその他の中枢神経系用剤市場2897億円(6.1%減)、9位は脂質調整剤及び動脈硬化用剤市場2721億円(11.0%減)、10位は喘息及びCOPD治療薬市場2637億円(12.5%減)――だった。

◎免疫抑制剤、潰瘍薬、中枢神経系用薬、喘息・COPD薬の4市場でトップ製品交代

上位10薬効のうち薬効内トップ製品が交代したのは免疫抑制剤、潰瘍治療薬、その他の中枢神経系用剤、喘息及びCOPD治療薬の4市場となる。

免疫抑制剤市場はレミケードに代わってヒュミラがトップにたった。潰瘍治療薬市場はネキシウムからタケキャブに交代。その他の中枢神経系用剤市場は、20年6月に後発品が参入したメマリーから、TTR型アミロイドーシス治療薬ビンダケルにトップが入れ替わった。喘息及びCOPD治療薬はシムビコートに代わってレルベアがトップとなった。

このほかの市場の薬効内トップ製品は、抗腫瘍薬市場はキイトルーダ、糖尿病治療薬市場はジャヌビア、抗血栓症薬市場はリクシアナ、眼科用剤市場はアイリーア、RA系作用薬はアジルバ、脂質調整剤及び動脈硬化用剤市場はロトリガとなる。

◎販売会社ベース、販促会社ベースとも売上1位は武田薬品

企業別の売上ランキング上位20社を見てみる。医薬品卸に製品を販売し、その代金を回収する機能を持つ「販売会社」ベースのトップ3は、1位が武田薬品(7304億円、1.6%増)、2位が第一三共(6234億円、6.6%減)、3位がファイザー(5025億円、3.2%減)――で、前年度と同じランキングだった。

上位20社のうちプラス成長したのは、1位の武田薬品、12位の小野薬品(4.3%増)、14位のヤンセンファーマ(21.1%増)、17位の日本ベーリンガーインゲルハイム(NBI、16.1%増)、19位の大日本住友製薬(12.4%増)、20位の参天製薬(6.3%増)――の6社で、14社は減収だった。NBIと大日本住友が今回上位20社に入った。

販促会社が2社以上の場合、製造販売を持っているなどオリジネーターにより近い企業に売上を計上する「販促会社」ベースでのランキングは、前年1位のファイザーが20年11月の分社化により、売上2743億円で11位となった。分社化したヴィアトリス製薬は今回、売上2241億円で15位にランクインした。なお、ファイザーの伸び率は0.2%減、ヴィアトリスは22.7%減で、これらは継続事業の前年売上と比較したものとなる。

この結果、販促会社ベースでも1位は武田薬品(5162億円、2.9%増)となった。IQVIAによると、武田薬品が販促会社ベースで1位となるのは10年度以来10年ぶりとなる。前年は3位だった。2位は前年に引き続き中外製薬(4755億円、7.7%減)、3位は前年4位の第一三共(3865億円、12.3%減)だった。
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