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中医協専門部会 2022年度費用対効果評価制度改革骨子案を了承 分析前協議充実で効率的に

公開日時 2021/12/02 04:51
中医協費用対効果評価専門部会は12月1日、2022年度費用対効果評価制度改革の骨子案を了承した。分析前協議については、企業と公的分析側らが合意すれば1回目から臨床の専門家等の参加を認めるなど、分析前協議を充実させることで、効率的で、かつ迅速に評価結果を反映できる分析プロセスとすることなどが柱となっている。骨子案には、保険収載の可否については盛り込まれなかったが、専門委員の赤名正臣氏(エーザイ常務執行役)が「費用対効果評価は新薬価値評価の補足的な手段で限定的に用いられる。薬価制度との整合性を前提に引き続き検討が必要と考えている」と述べるなど、日本型の費用対効果評価制度の構築を改めて求める声もあがった。

費用対効果評価制度は2019年4月から運用を開始。21年12月1日までに28品目が評価の対象となり、13品目の評価が終了しているが、実際に運用するなかで課題も見えてきた。今回の改革は、分析プロセスの見直しと、分析体制の充実に向けた対応を行い、できるだけ速やかに評価結果を反映できる仕組みとするよう見直す。

分析期間は、企業分析の期間は9か月(270日)以内、公的分析は6か月(180日)以内(企業分析の検証のみの場合は3か月(90日)以内)とするとされている。一方で、企業が事前に想定できない分析の枠組みとされた場合は、設定された期間で分析が終了しないことがあった。効率的な分析を行うためにも、企業と公的分析側が合意する分析前協議が重要になることが指摘されていた。

企業や国立保健医療科学院、公的分析班は中医協総会での品目指定後速やかに分析前協議を開始し、原則として品目指定から3か月後に開催される費用対効果評価専門組織に分析枠組み案を提出する。分析前協議については、「企業及び国立保健医療科学院並びに当該品目を担当する公的分析班の合意が得られた場合には、臨床の専門家等の参加を可能とする」ことを盛り込んだ。

◎対象品目に効能追加も含めて分析枠組みを決定


分析対象集団については、分析対象集団の規模が小さくなる場合については、「患者数や疾患の性質等を勘案しつつ、全体の評価への影響の程度について専門家の意見も伺いながら、その理由を明らかにした上で分析対象集団の一部を分析対象から除外できる」とした。分析された対象集団の一部が分析不能となった場合は、「引き続き、個別の事例ごとの検討を行いながら事例を収集しつつ、必要に応じて検討する」とした。

また、対象品目に効能追加がなされた場合は、「原則として、追加された効能を含めて分析枠組みを決定する」とした。ただし、これにより分析が大幅に遅延することが想定される場合は、「当該効能を含めずに分析を進めることとした上で、費用対効果評価案の決定後に、改めて、H3区分への該当性について、検証することとする」としている。

◎専門組織は2回の開催で総合的評価実施も

また、専門組織はこれまで、①分析前の枠組み決定、②企業分析および検証の確認、③総合的評価-の3回開催されてきたが、企業分析および検証の確認を行った時点で総合的評価が可能な場合は、会議の開催は2度とすることができるとした。また、企業から不服意見書が提出された場合には、専門組織を開催し、不服意見の聴取を行うことができるとした。

このほか、分析対象品目の増加に備え、人材育成プログラムの拡充など、分析体制強化にむけた取り組みを進める。

◎赤名専門委員「国立医療科学院と充実した協議を行いながら分析を進める」

診療・支払各側からは異論は出なかった。診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「保険収載の可否ではなく、薬価・材料価格制度を補完する日本型の費用対効果評価制度として個別事例を積み上げ、継続的に検討すべき。分析ガイドラインについても、我が国のあるべき制度を充実させるために継続的に改善を図っていただきたい」と要望した。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「一部の集団が分析不能になった場合の取り扱いなど、事例を集積しながら検討を継続するものや、分析体制の強化、人材育成など今後の課題もあるので、事務局と保健医療科学院で、引き続き制度の改善に向けた対応をお願いしたい」と述べた。

専門委員の赤名正臣氏(エーザイ常務執行役)は、「臨床的科学的に妥当であり、効率的な費用対効果分析を進めるために、特に分析前協議が重要であるという認識のうえで提案されていると理解している。企業としても国立医療科学院と充実した協議を行いながら分析を進めていくことが重要であると考えている。費用増加の取り扱い、ドミナントについては引き続き事例を収集しつつ、適切な価格調整のあり方について、議論すべきだ」と述べた。

このほか、支払側の間宮清委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は諸外国の例を引き合いに、費用対効果評価への患者の参画の必要性を強調。「患者の参画は、海外では差別を受けないようにとか、障がい者への配慮など、考慮の要素としてある。当事者の意見を広く吸い上げるというか、聞いた上で、評価できる体制にしていただきたいという想いだ」と訴えた。
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