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製薬企業に求められるこれからのオムニチャネルとは?  (2/2)

医師と製薬企業の対談を通してオムニチャネルを考える

公開日時 2022/09/12 00:00
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“これからのオムニチャネルとは”
情報の経路という問題提起がありましたが、宮本様はさまざまな形での情報提供をされている立場として、どのように対応をされていますでしょうか?

宮本:とても考えさせられる意見で、チャネルによって得られる情報が違う、あるいはデータが得られないなどの理由で、どうしても部分最適になってしまいがちだなと考えながら聞いていました。
その上で製薬企業としてどういう情報提供をしていくかですが、コロナ禍以降では病院に訪問することができない状況が続いているので、医師に選択肢を提供するのが直近の目的になっていると思います。ここはオムニチャネルに繋がる部分ですが、例えばユーザーがXという情報が欲しいとなれば、Yというものが出るといったGoogleに似たようなものをイメージしています。Googleはユーザーのフィードバックがあり、その解を出すという2方向のコミュニケーションですが、MRも同じ資質があるし、他のチャネルにおいても簡単にGoogleのようなものが提供できるところが我々の目指す次のステップです。

LINEの活用をされているのもそういった観点によるものでしょうか?

宮本:LINEに関してはそこまで達しておらず、基本はスマホに対してのアクセス目的で、1方向です。加えて検索してもらうとか、問い合わせに対して回答するチャット的なものを用意していますが、これはLINEの一機能を活用しただけに過ぎず、情報の双方向性という点ではまだまだ改善余地があると感じています。

先ほどスマホというワードが出てきました。スマホによってコミュニケーションの仕方が変わってきていると思いますが、医師においてはどうでしょうか?

山下:コミュニケーションの仕方という点では大きな変化はないと感じています。しかし、医師の業務にスマホが与える影響は大きいと思います。例えば、CTの所見をスマホに送って確認できるサービスでは、送られてきたものを家で医師が確認し、それをチャットでディスカッションすることができます。製薬企業の方を中心に、「医師が臨床現場でスマホを活用している姿がイメージできない」という声も聞きますが、スマホを臨床現場で一切使うことのない医師はほとんどいないのではないでしょうか。それぐらい医師のワークフローにスマホは深く組み込まれているのですが、意外と製薬企業のコンテンツなどは、PCにフォーカスしたものが多い印象で、その点で少しギャップがあると個人的には感じているところです。

こういう医師視点でのお話がありましたが、製薬企業はこの点についていかがでしょうか?

宮本:おそらくですが、どの製薬企業も自社のWebサイトなどのアクセスを見ると、まだPCのミックスが多い。だから、やっぱりまだ医局に戻ってからPCで情報を収集してらっしゃる先生が多いという見解になっていると思います。今、臨床現場ではそうではないという話を伺って、もしかすると我々製薬企業のWebサイトやコンテンツなどが取り残されていて、スマホで見られる他のメディアに移ってしまっている状態になっているかもしれないと思いながら聞かせていただきました。そうだとすると結構危機的な位置にいるかもしれません。

山下:製薬企業のコンテンツは情報量が多いのでPCの方が合っているというのも理解はできますが、ユーザーの真のニーズがPCにあるかというとまた別の話になってくると思います。例えばNetflixやYouTubeなどは、スマホの時代が来るから、それに合わせた情報をどう見せようか、どう最適化しようかとPDCAを高速に回しているはずです。ただ、この業界ではそういう動きが起きてこなかった。もちろん、プロモーションコードを考慮すると詳細の情報を見られるようにしないといけないという制約もありますし、コンテンツによってはPCの方がいいというのはあると思いますが、ユーザーエクスペリエンスとしてはもっと改善できる余地が残っているのではないかと感じます。

利用シーンなど挙げていただけますでしょうか?

山下:医薬品もスペシャリティ領域の時代に移ると、情報が複雑かつ量も多くなりますし、我々医師はそれらを全て覚えられないわけです。一方で、インターネットを使えばいろんな情報にアクセスできます。そうなった時に、どこでも使えるスマホで調べる、これがユースケースとして多くなってきていると思います。

ユーザーエクスペリエンスの部分が非常に重要になっているというお話ですが、製薬企業の立場では情報発信の仕方には影響は出てくるでしょうか?

宮本:もちろんそうだと思います。PCがデジタルの入口だったところが、今やモバイルに移行してきていて、動的に医師の行き先についていかなければならないようになっているということだと理解しています。また、オンライン診療が始まり、これからは電子処方箋が始まる。医師もオンラインで患者さんと会うように動きが変わっていくことは見えていて、我々はそれについていかないといけない。このように、これから社会全体が変わり、病院や医師も変わって、患者さんの行動も変わっていく中で、我々がその変化についていくことが必要だと考えております。

今日はオムニチャネルについてお話を進めてきましたが、大事なことは環境に適応していくことと考えております。今後さらに環境が変わっていくと思いますが、その中でのあり方について最後に一言ずつお伺いできますでしょうか?

山下:私は、ユーザーエクスペリエンスに対してのこだわりがますます重要になってくると思っています。
患者さんのニーズが変化し、デジタルネイティブの医師がどんどん増え、使えるチャネルも多様化してきた時に、医師の行動もこれまでとは大きく変わっていく可能性があります。
従って、従来の発想にとらわれず、「今はこうなっているよね、今後このように変化していくよね」とドクタージャーニーの解像度を高め、それぞれのニーズに合わせた情報を、複数のチャネルを統合しながら提供していくことが、オムニチャネルの肝になるのではないでしょうか。

宮本:お金、人、時間など、今まで投下していた様々なリソースをシフトしなければいけないので、とても大変なことだと感じています。一方で、マーケターの視点から見ると、これからしばらくは面白くなる一方だろうと思っています。自分も年を重ね、患者になりうる中で、その両方の立場から見て、オムニチャネルをさらに進化させていくというのは非常に楽しい作業ですし、イノベーターとしても、どんな新しいチャレンジができるのかと、やりがいを感じています。

-本日はありがとうございました。



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