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ノボ・マイルヴァン社長 肥満症のサポートに注力 「持続可能な医療システムのパートナーとなる」

公開日時 2023/04/12 04:53
ノボ ノルディスク ファーマのキャスパー ブッカ マイルヴァン社長は4月11日、初の年次会見にのぞみ、日本でも「肥満」にフォーカスした予防から治療までの総体的なアプローチを展開していくと表明した。関連疾患の予防や合併症への進行抑制につなげることで、日本人の健康寿命の延伸と医療制度の持続可能性を高めることに貢献する。マイルヴァン社長は、本社を置くデンマークでの官民パートナーシップによる健康的な体重を目指すプロジェクトを参考に、特に代謝性疾患の予防などのためには「肥満症を持つ人々へのサポートがカギになる」と強調。日本版の官民パートナーシップの実現に意欲を示した。

「日本の患者さんの生活をより良くするために、予防の観点から、日本の持続可能な医療システムのパートナーとなることを目指す」――。2022年9月に日本法人社長に就任したマイルヴァン氏は、こう抱負を語った。グローバルで創立100周年を迎えたノボ ノルディスクは、代謝性疾患の予防・治療の研究を続けてきたとした上で、「肥満症を持つ人々をサポートすることでより多くの慢性疾患・代謝性疾患を予防できる。心血管疾患、NASH、CKDなどの予防にもつながる。今後こういった様々な領域に手を伸ばしていきたい」と話した。

デンマークでは、「デンマーク ライトハウス パートナーシップ」と呼称する戦略的な官民パートナーシップによって肥満の社会的変化を切り拓いたという。ヘルステック企業なども参加して革新的ソリューションを共創。自治体、職場、医療現場、年金基金など多様なステークホルダーが参加して社会的かつ多角的なアプローチが展開され、学校教育にも踏み込んだ取り組みが進められたと紹介した。

◎国内売上は過去最高に 成長ドライバーはリベルサス、オゼンピック2mg、ソグルーヤ

日本法人の22年業績は売上1196億円、前年比9.5%増だった。売上は過去最高を更新した。事業領域別売上は糖尿病69%、希少疾患31%。マイルヴァン社長は「健全な成長を遂げた」と語った。主な成長ドライバーは、2型糖尿治療薬の▽経口GLP-1受容体作動薬・リベルサス錠、▽週1回投与のGLP-1受容体作動薬・オゼンピック皮下注2mg――と、週1回の成人成長ホルモン分泌不全症治療薬・ソグルーヤ皮下注の3剤となる。

リベルサスはGLP-1受容体作動薬として初めてかつ唯一の経口薬。マイルヴァン社長は「イノベーションが過小評価されている」と指摘した上で、「経口投与という利便性により、2型糖尿病のより早期の段階から対処できるようになった」と述べ、合併症への進行抑制に対する貢献は大きいと強調した。

オゼンピックは当初上市した単回投与デバイスに供給問題が発生したため、複数回投与デバイス(2mg製剤)を22年5月に発売。「複数回投与デバイスを投入し、マーケットシェアを回復した。供給問題も出ておらず、嬉しく思っている」と話した。

◎糖尿病治療薬市場全体の売上シェアは13.9% 2ポイント上昇

なお、糖尿病治療薬市場全体における同社製品の売上シェアは22年に13.9%となり、前年から2ポイント上昇した。両剤が堅調に推移したほか、国内初の基礎インスリン(持効型)とGLP-1受容体作動薬との配合注射薬であるゾルトファイ配合注がシェア拡大したことも貢献した。ゾルトファイの持効型インスリン市場における売上シェアは22年に22.5%となり、前年から3.5ポイント上昇した。

ソグルーヤは、長時間作用型遺伝子組換えヒト成長ホルモン(hGH)アナログで、持効性インスリンなどに活用されるタンパク質工学技術を成長ホルモンに応用して開発されたもの。それまでの成長ホルモン製剤は週6~7回の皮下注射が必要だったが、ソグルーヤは週1回投与を実現。この利便性の向上がシェアアップの主因となる。

◎世界初の週1回皮下投与ベーサルインスリンアナログが第3相試験段階に

マイルヴァン社長はグローバルの開発パイプラインについて、「会社史上最も豊富で多様なパイプライン」を有しており、「次の100年間も数多くの治療領域で何世代にもわたって変革を推進し続けていく」と強調した。国内開発品は杉井寛副社長(開発本部長)が説明。糖尿病領域では、世界初の週1回皮下投与ベーサルインスリンアナログ「NN1436」(開発コード、一般名:インスリン イコデク)が第3相臨床試験段階にあるとした。同剤は1日1回投与のゾルトファイを週1回投与タイプにしたもので、「非常に簡便性、利便性に優れた製剤」と紹介した。

肥満症領域では、3月27日に承認を取得した肥満症治療薬・ウゴービ皮下注に続く肥満症治療薬になり得る開発品として、▽経口GLP-1アナログ「NN9932」(同セマグルチド)、▽長時間作用型アリミンアナログとGLP-1アナログの配合剤「NN9838」――がそれぞれ第3相試験を実施中。「肥満症における左室駆出率が保持された心不全」を対象疾患とする週1回皮下投与GLP-1アナログ「EX9536」も第3相試験段階にあるとした。

このほかの慢性疾患で第3相試験段階にあるプロジェクトには、▽非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を対象疾患とする週1回皮下投与GLP-1アナログ「NN9931」(同セマグルチド)、▽アテローム硬化性心血管疾患を対象疾患とする月1回皮下注射抗IL-6受容体モノクローナル抗体「NN6018/EX6018」(同Ziltivekimab)、▽アルツハイマー型軽度認知障害(MCI)を対象疾患とする経口GLP-1アナログ「NN6535」(同セマグルチド)――の3つがある。

希少内分泌疾患では、ソグルーヤの小児の成長ホルモン分泌不全症低身長症(GHD)が承認申請中で、第3相試験段階には▽ソグルーヤのSGA性低身長症、ターナー症候群における低身長症、ヌーナン症候群における低身長症、特発性低身長症の効能追加、▽原発性高シュウ酸尿症を対象疾患とする月1回皮下投与製剤のNedosiran――がある。
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