サンバイオ 再生細胞薬アクーゴ脳内移植用注の米国開発でFDAと試験デザインに合意
公開日時 2025/09/19 04:51
サンバイオの森敬太代表取締役社長は9月18日の2026年1月期第2四半期(中間期)決算説明会で、脳の再生細胞薬・アクーゴ脳内移植用注の米国開発について、FDAと慢性期の外傷性脳損傷(TBI)を対象とした第3相試験の試験デザインに合意したと発表した。日本においては、日米ウクライナで実施した第2相STEMTRA試験の結果に基づき24年7月に「TBIに伴う慢性期の運動麻痺の改善」の効能・効果で条件・期限付き承認を取得しており、その実績を基に、米FDAとP3試験の協議を再開させていた。その結果、試験デザイン合意にこぎ着けたもの。森社長は「今後、FDAと詳細を詰めていき、試験の準備をしていく。多くのKOLの先生方とネットワークがあるので、強力にP3試験を実行していきたい」と語った。
同社では、「再生医療のグローバルリーダー」を目指し、①日本のマザー拠点化②米国事業の再始動③脳梗塞への再チャレンジ―の三本柱で成長戦略を推進している。FDAとの慢性期TBIのP3試験デザイン合意により、米国事業の再始動が一歩前進した形だ。このP3試験実施には追加的な資金の確保が必要になるという。森社長は「研究助成金あるいは提携でしっかり資金を確保した上で開始していこうと考えている」と述べた。
◎承認取得時期「見込んだスケジュールから遅れないで済むだろう」 販売開始は27年1月期上半期に
一方、日本では、条件・期限付き承認取得時に課された、アクーゴの出荷解除に向けた一変申請を25年6月12日に実施しており、その承認取得見込み時期については、前回発表(25年6月25日)の26年1月期下半期(25年8月~26年1月)から変更はない。澤口和美執行役員信頼性保証・薬事本部長は「今のところ我々が見込んだスケジュールからは遅れないで済むだろうと思っている」と述べた。薬価収載・販売開始時期については、27年1月期上半期を想定している。
成長戦略の一つであるアクーゴの慢性期脳梗塞への再チャレンジについては、日本では、27年1月期上半期にPMDAとの臨床試験の協議開始を目指している。また、米国開発について森社長は「適切なタイミングで進捗させ、事業化をしていきたい」と述べた。
通期の連結業績予想は、9月12日の決算発表時に、アクーゴの在庫を早期に確保するための製造関連費用の増加を要因に各損益の下方修正を発表しており、営業損益が39.20億円の赤字、純損益が40.45億円の赤字を見込んでいる。角谷芳広執行役員管理本部長は「当初予想値を出すときには今後の製造計画が具体化していなかった。当局とのやり取りや一変承認が近づいてくるにしたがって計画が具体的になってきた中で、今回これを織り込んだ」と説明した。