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厚労省 16製品の適応追加など承認 イミフィンジが膀胱がんで国内初の周術期免疫療法に

公開日時 2025/09/22 04:50
厚生労働省は9月19日、16製品の適応追加や用法追加などを承認した。アストラゼネカのがん免疫療法薬・イミフィンジ点滴静注に「膀胱がんにおける術前・術後補助療法」の適応追加が含まれており、同剤は膀胱がんにおける国内初の周術期免疫療法となった。重篤な全身性のアレルギー反応であるアナフィラキシーに対し、鼻へのスプレーという簡便で迅速な投与ができるアルフレッサ ファーマのアドレナリン点鼻薬であるネフィー点鼻液も承認された。

◎バイオ後続品5製品が承認 ランマーク、シンポニー、アクテムラの初BSも

同日にはバイオ後続品(BS)5製品も承認された。この中にはランマーク、シンポニー、アクテムラでそれぞれ国内初となるBSが含まれる。

このうち、ランマークBSとシンポニーBSはいずれも富士製薬が承認を取得。さらに富士製薬は、国内2番手となるアイリーアBSの承認も取得した。富士製薬のこれら3製品は、アイスランドのAlvotech社との提携に基づくバイオシミラーパイプライン7製品の中の2~4製品目となる。なお、1製品目は23年9月に承認を取得し、24年5月から国内販売しているステラーラBSとなる。

アクテムラ初のBSは韓国セルトリオン社の日本法人が承認を取得した。

適応追加などが承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元)。投与経路順及び薬効分類順。

〈適応追加等 16製品〉
ドルミカムシロップ2mg/mL(ミダゾラム、丸石製薬):「麻酔前投薬」を効能・効果とする新投与経路医薬品。特定用途医薬品。再審査期間は、特定用途医薬品(再審査期間は4年以上6年未満と規定)のため5年10か月。薬効分類112。

ベンゾジアゼピン系薬剤。小児に対する麻酔前投薬を想定して経口投与のシロップ剤を開発したもの。用法・用量は、「通常、小児にはミダゾラムとして1回0.25~1.0mg/kg(最大用量20mg)を麻酔開始前に経口投与する」

フジケノン粒状錠125(ケノデオキシコール酸、藤本製薬):「脳腱黄色腫症」を効能・効果とする新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類399。

対象疾患の脳腱黄色腫症(CTX)は、一次胆汁酸合成の必須酵素であるCYP27A1の活性が低下する遺伝性疾患で、血清中のコレスタノール濃度等が上昇することで、コレスタノールが様々な臓器に沈着して障害を引き起こす。国の指定難病。用法・用量は成人と小児で設定される。

なお、ケノデオキシコール酸は「チノカプセル」の製品名で「外殻石灰化を認めないコレステロール系胆石の溶解」を適応として1984年4月から販売されている。

▽①セルセプトカプセル250mg、②同懸濁用散31.8%、③ミコフェノール酸モフェチルカプセル250mg「VTRS」(ミコフェノール酸モフェチル、①②中外製薬、③ヴィアトリス・ヘルスケア):「難治性のネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイド依存性を示す場合)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。薬効分類399。

事前評価済公知申請品目であり、保険適用済み。

今回追加された難治性ネフローゼ症候群に対する用法・用量は、「通常、ミコフェノール酸モフェチルとして1回500~600mg/m2を1日2回12時間毎に食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日2000mgを上限とする」。

ルマケラス錠120mg(ソトラシブ、アムジェン):「がん化学療法後に増悪したKRASG12C変異陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(令和14年1月19日まで)。薬効分類429。
ベクティビックス点滴静注100mg、同点滴静注400mg(パニツムマブ(遺伝子組換え)、武田薬品工業):「がん化学療法後に増悪したKRASG12C変異陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。薬効分類429。

ルマケラスはKRASG12C阻害剤、ベクティビックスは抗EGFR抗体。今回、がん化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸直腸がんに対する併用投与に関する効能と用量が承認された。結腸・直腸がん(CRC)患者の約3%がKRASG12C変異を有すると推定されている。

ジャイパーカ錠50mg、同錠100mg(ピルトブルチニブ、日本イーライリリー):「他のBTK阻害剤に抵抗性又は不耐容の再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は残余期間(令和14年6月23日まで)。薬効分類429。

非共有結合型BTK阻害剤。既承認の「他のBTK阻害剤に抵抗性又は不耐容の再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫」に続く2つ目の適応となる。

国内では共有結合型BTK阻害剤のイムブルビカ、カルケンス、ブルキンザが慢性リンパ性白血病(CLL)の1次治療で承認されている。

▽①コセルゴ顆粒5mg、②同顆粒7.5mg、③同カプセル10mg、④同カプセル25mg(セルメチニブ硫酸塩、アレクシオンファーマ):「神経線維腫症1型における叢状神経線維腫」を効能・効果とする①②新用量・剤形追加に係る医薬品、③④新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は残余(令和14年9月25日まで)。薬効分類429。

MEK阻害剤。現在、空腹時に経口投与となっているが、今回、「空腹時」を削除した。顆粒剤は新剤形。

ゾフルーザ顆粒2%分包(バロキサビル マルボキシル、塩野義製薬):「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。再審査期間は4年。薬効分類625。

キャップエンドヌクレアーゼ阻害剤。治療適応について、これまで12歳未満の小児の体重20kg未満に対する顆粒剤の用量が設定されていなかった。今回、10kg以上20kg未満は「顆粒1包」、10kg未満は「顆粒50mg/kg」が追加された。

スピンラザ髄注28mg、同髄注50mg(ヌシネルセンナトリウム、バイオジェン・ジャパン):「脊髄性筋萎縮症」を効能・効果とする新用量・剤形追加に係る医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は残余(令和9年7月2日まで)。薬効分類119。

アンチセンス核酸医薬品。既承認の12mg製剤に今回、高用量の剤形(28mgと50mg製剤)と用量が追加された。追加する用法・用量は、「通常、ヌシネルセンとして、初回及び初回投与2週間後に50mgを投与し、以降4カ月の間隔で28mgの投与を行うこととし、いずれの場合も1~3分かけて髄腔内投与すること」。

テセントリク点滴静注840mg、同点滴静注1200mg(アテゾリズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「再発又は難治性の節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。薬効分類429。

抗PD-L1抗体。節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型(ENKL)に対して2次治療での使用が想定されている。

ENKLは、鼻腔に多く発症する悪性リンパ腫の一つ。日本では、悪性リンパ腫(年間発症数約3万6000人)の中で、約0.68%を占めるという。進行期では初回治療後約6割の患者が再発し、標準治療は確立されていない。

テセントリク点滴静注840mg、同点滴静注1200mg(アテゾリズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「〇切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、〇PD-L1陽性の非小細胞肺がんにおける術後補助療法、〇PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん、〇進展型小細胞肺がん」を効能・効果とする新用量医薬品。再審査期間は残余期間(令和8年1月18日又は令和11年8月21日まで)。薬効分類429。

抗PD-L1抗体。3週間隔投与に関して4週間隔投与が追加された。

リブタヨ点滴静注350mg(セミプリマブ(遺伝子組換え)、リジェネロン・ジャパン):「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は残余期間(令和12年12月22日まで)。薬効分類429。

抗PD-1抗体。リブタヨにとって非小細胞肺がんは、子宮頸がんに続く2つ目の適応となる。用法・用量は変更していない。

イミフィンジ点滴静注120mg、同点滴静注500mg(デュルバルマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ):「〇膀胱がんにおける術前・術後補助療法、〇非小細胞肺がんにおける術前・術後補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(令和8年7月1日まで)。薬効分類429。

抗PD-L1抗体。イミフィンジは国内初の膀胱がんにおける術前・術後補助療法の免疫療法薬となった。承認取得を受け、アストラゼネカの大津智子研究開発本部長は、「(承認の根拠となった)NIAGARA試験では、イミフィンジを含むレジメンによる治療を受けた患者さんの80%以上が2年後も生存していることが明らかとなった」とし、「イミフィンジは膀胱がんにおいて日本で初めての周術期免疫療法として、より良い治療法を求める患者さんの強いニーズに応え、今後の標準治療となる可能性を秘めている」とコメントしている。

非小細胞肺がんの周術期治療において、がん免疫療法薬では、テセントリクが「PD-L1陽性の非小細胞肺がんにおける術後補助療法」、オプジーボが「非小細胞肺がんにおける術前補助療法」、キイトルーダが「非小細胞肺がんにおける術前・術後補助療法」の適応を持っている。

ライアットMIBG-I 131静注(3-ヨードベンジルグアニジン(131I)、PDRファーマ):「MIBG集積陽性の神経芽腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。再審査期間は残余期間(令和13年9月26日まで)。薬効分類430。

放射性治療薬。事前評価済公知申請であり、既に保険適用となっている。

ジビイ静注用500、同静注用1000、同静注用2000、同静注用3000(ダモクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え)、バイエル薬品):「血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。再審査期間は残余期間(令和8年9月20日まで)。薬効分類634。

ペグ化遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤。これまで12歳以上の用量が設定されており、今回、7歳以上12歳未満の用量が追加された。

ネフィー点鼻液1mg、同点鼻液2mg(アドレナリン、アルフレッサ ファーマ):「蜂毒、食物及び薬物等に起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療(アナフィラキシーの既往のある人またはアナフィラキシーを発現する危険性の高い人に限る)」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間は6年。薬効分類2451。

アドレナリン点鼻薬。重篤な全身性のアレルギー反応であるアナフィラキシーに対して広く使われているアドレナリン注射剤(エピペン)は、患者自身あるいは介護者による筋肉内への注射が必要となる。ネフィーは、鼻へのスプレーによる簡便で迅速な投与が可能となり、患者や介護者等の負担軽減が期待されている。なお、承認条件に基づき、ネフィ―の厳格な適正使用を推進するため、処方にあたっては医師の登録が必要となる。

用法・用量は「通常、体重30kg未満の患者には、1回1mgを、体重30kg以上の患者には、1回2mgを鼻腔内に投与する」。

〈バイオ後続品 5製品〉
アフリベルセプトBS硝子体内注射液40mg/mL「NIT」、同BS硝子体内注射用キット40mg/mL「NIT」(アフリベルセプト(遺伝子組換え)[アフリベルセプト後続2]、富士製薬):「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫、病的近視における脈絡膜新生血管、糖尿病黄斑浮腫」を効能・効果とするバイオ後続品。薬効分類131。

アフリベルセプトBS硝子体内注射液40mg/mL「SCD」、同BS硝子体内注射用キット40mg/mL「SCD」(アフリベルセプト(遺伝子組換え)[アフリベルセプト後続3]、SamChun Dang Pharm):「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫、病的近視における脈絡膜新生血管、糖尿病黄斑浮腫」を効能・効果とするバイオ後続品。薬効分類131。

眼科用VEGF阻害剤で、アイリーアで2番目、3番目のバイオ後続品(BS)。既承認のグローバルレギュラトリーパートナーズの1番目のBSは現在、「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性」の適応を持っていないが、いずれもこの適応が含まれている。

デノスマブBS皮下注120mgRM「F」(デノスマブ(遺伝子組換え)[デノスマブ後続1]、富士製薬):「多発性骨髄腫による骨病変及び固形がん骨転移による骨病変」を効能・効果とするバイオ後続品。薬効分類399。

抗RANKL抗体。ランマークの初のバイオ後続品(BS)となる。

ゴリムマブBS皮下注50mgシリンジ「F」(ゴリムマブ(遺伝子組換え)[ゴリムマブ後続1]、富士製薬):「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」を効能・効果とするバイオ後続品。薬効分類399。

抗TNFα抗体。シンポニーの初のバイオ後続品(BS)となる。

▽①トシリズマブBS点滴静注80mg「CT」、②同点滴静注200mg「CT」、③同点滴静注400mg「CT」、④同皮下注162mgシリンジ「CT」、⑤同皮下注162mgオートインジェクター「CT」(トシリズマブ(遺伝子組換え)[トシリズマブ後続1]、セルトリオン・ヘルスケア・ジャパン):「①②③、〇既存治療で効果不十分な下記疾患、関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、全身型若年性特発性関節炎―。〇キャッスルマン病に伴う諸症状及び検査所見(C反応性タンパク高値、フィブリノーゲン高値、赤血球沈降速度亢進、ヘモグロビン低値、アルブミン低値、全身倦怠感)の改善。ただし、リンパ節の摘除が適応とならない患者に限る。〇悪性腫瘍治療に伴うサイトカイン放出症候群、④⑤既存治療で効果不十分な下記疾患、関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」を効能・効果とするバイオ後続品。薬効分類639。

抗IL-6レセプター抗体。アクテムラの初のバイオ後続品(BS)となる。

9月19日付で承認された新有効成分含有医薬品12製品の記事はこちら
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