フェリング・ファーマ 患者向け膀胱がん情報サイトを開設 患者の“生の声”を紹介
公開日時 2025/09/03 04:50

フェリング・ファーマは9月2日、患者向けの膀胱がんに関する情報サイトを開設した。実際に治療を経験された患者さんの生の声を紹介しているのが特徴となっている。同社のジョン・プルバー代表取締役社長CEOは同日開いたメディアセミナーで、患者が情報にアクセスしづらい状況に触れ、「膀胱がんの患者に対する最初のステップとして使っていただけるように願っている」と述べた。
サイトには、筋層非浸潤性膀胱がん(NMIBC)や筋層浸潤膀胱がん(MIBC)など膀胱がんの基礎知識から診断、治療法、フォローアップを含む疾患情報などを網羅的に掲載している。さらに、男女を問わず、膀胱がん患者さんの声を掲載し、多様な患者さんの体験談と、患者や患者家族の治療や生活に役立ててもらいたい考え。
日本では膀胱がんに特化した患者会が存在せず、膀胱を全摘出した後に生活がどう変化するかなど、患者にとって情報を得にくい現状がある。プルバー氏は、「我々は泌尿器がんの分野で、新たなイノベーションを広げていきたい。その意味では、医療・専門的な知識も重要だが、日々の生活にあたっての患者さんの知識や経験などについても知識として知っていかなければいけない」と述べ、膀胱がん患者へ情報面でも貢献していく姿勢を示した。
◎患者代表の小出氏 「ストーマ装着後どうなるか情報がなかった」

セミナーでは、膀胱がんに関するコミュニケーションをテーマにトークセッションが行われた。膀胱がん患者として登壇した小出宗昭氏は、「ストーマをつけるとなった時に、スーツ姿がどうなるのか、情報を検索しても全く出てこなかった」と経験を語った。「全摘前の看護療法の際に専門のナースさんが来てくれ、ストーマの中に水を入れてベルトを締めたときにどうなるかシミュレーションをした。それがすごくスムーズに社会復帰できる要因の一つだったと思う」と振り返った。
これに対し、東京大大学院医学系研究科泌尿器外科学分野の久米春喜教授は、「医者の立場としては、患者の病気が今どうであるかが最初にやるべきことであるが、そのうえで膀胱全摘したあとなどは困りごとの話も細かいことが多い。それに対し一つ一つ丁寧に答えることが我々にできることだと思う」と述べた。