ヤンセンファーマ 膀胱がんに対するゲムシタビン膀胱内システム「TAR-200」を承認申請
公開日時 2025/09/09 04:49
ヤンセンファーマは9月8日、ゲムシタビン膀胱内システム「TAR-200」について、BCG不応性の上皮内がん(CIS)を有する高リスク筋層非浸潤性膀胱がん(HR-NMIBC)を対象疾患に承認申請したと発表した。厚労省から今回の対象疾患で希少疾病用医薬品に指定されている。同社はTAR-200が承認された場合、「国内で初めてかつ唯一の抗がん剤を膀胱内に局所送達できる膀胱内システムとなる可能性がある」としている。
TAR-200は、膀胱にゲムシタビンを持続的に局所送達するように設計された膀胱内システム。外来において医療従事者が、同梱される膀胱内挿入用カテーテルを使用して膀胱に挿入できる。
今回の承認申請は、国際共同第IIb相試験(SunRISe-1)のコホート2の結果に基づく。本コホートは、膀胱全摘除術を選択していない、又は不適格で、BCGの膀胱内注入療法に不応性のCISを有するHR-NMIBC患者を対象に、TAR-200の有効性および安全性を評価した。観察期間は20.2カ月。完全奏効率は82.4%(95%信頼区間:72.6-89.8)、奏効期間の中央値は25.8カ月(95%信頼区間:8.3-推定不能)だった。治療に関連のあるグレード3以上の重篤な有害事象の発現割合は12.9%、重篤な治療に関連のある有害事象の発現割合は5.9%、治療に関連する死亡例は認めらなかった。
J&J Innovative Medicine Japan のクリス・リーガー代表取締役社長は、「BCG不応性HR-NMIBC患者さんは、膀胱全摘除術など、生活の質に大きな影響を与え、侵襲性の高い外科的治療の選択を余儀なくされることがある」と、現在のBCG不応性HR-NMIBCの臨床課題を指摘した。その上で、「Johnson & Johnson は、革新的な医薬品と医療技術の専門知識を融合させることで、特定の種類の膀胱がんに対する日本国内で初めてかつ唯一となる膀胱内システムを提供し、膀胱がんの治療法に変革をもたらす」とコメントした。
HR-NMIBCはNMIBC(筋層非浸潤性膀胱がん)の一種で、低リスクのNMIBCと比較して、再発したり、尿路上皮と呼ばれる膀胱の内壁を超えて転移したり、筋層浸潤性膀胱がんに進行する可能性が高いがん。HR-NMIBCはNMIBC患者の15-44%を占める。
現在、BCG不応性のNMIBC患者には膀胱全摘出術が推奨されており、筋層浸潤性膀胱がんの進行前に実施した場合、がん特異的生存率は90%を超える。ただ、NMIBCは通常、高齢患者に発症するため、膀胱全摘除術を受けることを望まない、または不適格な患者が多い。再発率と進行率が高いため、これらの患者に重大な疾患負担と精神的苦痛が生じる可能性がある。