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米国発 教材は自分の遺伝子

公開日時 2013/06/21 05:00

スタンフォード大学医学部に新たに開設された講義科目”Genetics210”が、遺伝学にまったく新しいアプローチをとっているとして、注目されている。Stuart Kim教授(生物学)が教えるこのクラスでは、学生は、教科書ではなく、自分自身のDNA解析結果を題材にして遺伝学を勉強する。”Genetics210”は、新しい医学のトレンド(遺伝子解析に基づく医療のカスタマイズ)に対応する新たな教科目として開設されたものだ。


もちろん解析するのは遺伝子の一部であり、それだけですべてがわかる訳ではない。だが、遺伝子解析の何たるかを学生が理解するには十分だ。クラスは遺伝子解析を専門とする会社”23andMe”のディスカウント・サービスを受けている(同社はアイオワ大学、テキサス大学、デューク大学にも同様のサービスを提供している)。


2013年度のクラスを履修している学生の中には「運動でアキレス腱を傷めるリスクが高いことがわかった」学生もいれば、糖尿病や腎臓病にかかるリスクが高いことがわかった学生もおり、また、「実際にはブルネット(ダークカラーの髪)であるにもかかわらず遺伝的にはブロンド(金髪)になる可能性の方がはるかに高かった」とわかった学生もいた。だが、中には「18年間『実の親』と信じてきた父親と生物学的な親子関係がないことがわかった」という学生までいたという。このような事実を知ることは、果たして「遺伝学」の学習の枠内におさまるのだろうか?


実は、スタンフォード大学内部にも反対論があった。”Genetics210”の開設にあたって(2010年),学内の29名の教授(医学、法学、倫理学、哲学など)から成るタスクフォースが強い懸念と反対意見を表明したのだ。理由は「生の事実をそのまま学生に知らせることで、学生を傷つける可能性があり、またそれを教材とすることで学生のプライバシーガ侵害されるおそれがある」であった。


タスクフォースの見解を尊重し、スタンフォード大学は講座開設と同時に学内に「遺伝子カウンセリング」サービスを開設。学生が精神科医や心理カウンセラーに相談できる体制が整えられた。また、クラスで学生の遺伝子解析を実施するにあたっては、事前に丁寧なインフォームド・コンセントが1度ならず実施されている。


 

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