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新薬10製品が承認へ ノバルティスの前立腺がんRLT静注製剤・プルヴィクトなど 薬事審第二部会が了承

公開日時 2025/08/25 04:50
厚生労働省の薬事審議会・医薬品第二部会は8月22日、ノバルティスファーマの転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対するPSMAを標的とした放射性リガンド療法(RLT)・プルヴィクト静注(一般名:ルテチウムビピボチドテトラキセタン(177Lu))など新薬10製品の承認の可否を審議し、承認することを了承した。プルヴィクトはタキサン系化学療法の治療歴のない患者も投与対象となる。

審議され承認了承となった中には、日本ベーリンガーインゲルハイムのHER2遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんに対する経口HER2阻害剤・ヘルネクシオス錠(ゾンゲルチニブ)や、ヤンセンファーマのライブリバント点滴静注の皮下投与を可能としたリブロファズ配合皮下注(アミバンタマブ/ボルヒアルロニダーゼ アルファ)などが含まれる。

◎ランマーク、アクテムラ、シンポニーの初BSも

報告品目は11製品。ランマーク、アクテムラ、シンポニーのそれぞれ初のバイオ後続品(BS)の承認が了承された。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)

ゾフルーザ顆粒2%分包(バロキサビル マルボキシル、塩野義製薬):「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。再審査期間は4年。

キャップエンドヌクレアーゼ阻害剤。治療適応について、これまで12歳未満の小児の体重20kg未満に対する顆粒剤の用量が設定されていなかった。今回、10kg以上20kg未満は「顆粒1包」、10kg未満は「顆粒50mg/kg」を追加するもの。

ネフィー点鼻液1mg、同点鼻液2mg(アドレナリン、アルフレッサ ファーマ):「蜂毒、食物及び薬物等に起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療(アナフィラキシーの既往のある人またはアナフィラキシーを発現する危険性の高い人に限る)」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間は6年。

アドレナリン点鼻薬。重篤な全身性のアレルギー反応であるアナフィラキシーに対して広く使われているアドレナリン注射剤(エピペン)は、患者自身あるいは介護者による筋肉内への注射が必要となる。ネフィーは、鼻へのスプレーによる簡便で迅速な投与が可能となり、患者や介護者等の負担軽減が期待されている。

用法・用量は「通常、体重30kg未満の患者には、1回1mgを、体重30kg以上の患者には、1回2mgを鼻腔内に投与する」

海外では、2025年5月現在、米国において本剤1mg及び2mg製剤が、欧州において本剤2mg製剤がそれぞれ承認されている。

リブロファズ配合皮下注(アミバンタマブ(遺伝子組換え)/ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ):「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんおよびEGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とする新医療用配合剤。再審査期間はライブリバント点滴静注の残余期間(令和14年9月23日まで)。

抗EGFR/MET二重特異性抗体・アミバンタマブ(ライブリバント点滴静注)とrHuPH20製剤を組み合わせることで、皮下投与を可能としたもの。効能・効果は、ライブリバントと同じ。

海外では、2025年5月時点において、非小細胞肺がんに係る効能・効果で、2つの国又は地域で承認されている。

テセントリク点滴静注840mg、同点滴静注1200mg(アテゾリズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「再発又は難治性の節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。

抗PD-L1抗体。節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型(ENKL)に対して2次治療での使用が想定されている。

ENKLは、鼻腔に多く発症する悪性リンパ腫の一つ。日本では、悪性リンパ腫(年間発症数約3万6000人)の中で、約0.68%を占めるという。進行期では初回治療後約6割の患者が再発し、標準治療は確立されていない。

海外では、2025年5月時点において、再発又は難治性のENKLに係る効能・効果で承認されている国又は地域はない。

ボラニゴ錠10mg、同錠40mg(ボラシデニブクエン酸水和物、日本セルヴィエ):「IDH1又はIDH2遺伝子変異陽性の神経膠腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

変異型イソクエン酸脱水素酵素(IDH)1及び2を阻害する分子標的薬。適応とする神経膠腫(グリオーマ)は、悪性の脳腫瘍の一つ。

用法・用量は、「通常、成人には、40mgを1日1回、空腹時に経口投与する。通常、12歳以上の小児には、体重に応じて以下を1日1回、空腹時に経口投与する。40kg未満:20mg、40kg以上:40mg。なお、患者の状態により適宜減量する」。

海外では、2025年6月時点において、IDH1又はIDH2遺伝子変異陽性の神経膠腫に係る効能・効果で8つの国又は地域で承認されている。

ヘルネクシオス錠60mg(ゾンゲルチニブ、日本ベーリンガーインゲルハイム):「がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

経口HER2特異的チロシンキナーゼ阻害剤。肺がんの約4%はHER2遺伝子異常によって引き起こされるという。国内では、エンハーツ点滴静注用が「がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の適応を持っているが、ヘルネクシオスは同適応を持つ初の経口薬となる。

用法・用量は「通常、成人には、1日1回120mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。

海外では、2025年8月に米国で承認されている。

イブトロジーカプセル200mg(タレトレクチニブアジピン酸塩、日本化薬):「ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

経口ROS1阻害剤。国内では、ROS1融合遺伝子陽性NSCLCに対して、ザーコリ、ロズリートレク、オータイロが承認されており、イブトロジーは4剤目となる。

用法・用量は「通常、成人には1日1回600mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。

米ニュベーション社からの導入品。海外では、2025年6月時点において、ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに係る効能・効果で2つの国又は地域で承認されている。

プルヴィクト静注(ルテチウムビピボチドテトラキセタン(177Lu)、ノバルティスファーマ):「PSMA陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

ロカメッツキット(ゴゼトチド、ノバルティスファーマ):「PSMA標的療法の前立腺がん患者への適応判定の補助」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。
ガリアファーム68Ge/68Gaジェネレータ(塩化ガリウム(68Ga)、Eckert Ziegler Radiopharma GmbH、選任外国製造医薬品製造販売業者:ノバルティスファーマ):「陽電子放出断層撮影(PET)イメージングのために承認された被標識用製剤のガリウム(68Ga)標識」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

プルヴィクトは、前立腺特異的膜抗原(PSMA)を標的とした放射性リガンド療法(radioligand therapeutic:RLT)。ロカメッツキットおよびガリアファームはPSMAの標識に用いる。

プルヴィクトの投与対象は、新規アンドロゲン受容体シグナル阻害薬(ARSI)及びタキサン系化学療法による治療歴のあるPSMA陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)およびARSIによる治療歴のある(タキサン系化学療法による治療歴のない)PSMA陽性のmCRPC。

用法・用量は「通常、成人には1回7.4GBqを6週間間隔で最大6回静脈内投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。

海外でプルヴィクトは、2025年5月時点において、ARSI及びタキサン系抗悪性腫瘍剤による治療歴のあるPSMA陽性のmCRPCに関する効能・効果で米国及び欧州を含む49の国又は地域で、ARSIによる治療歴のあるPSMA陽性のmCRPCに関する効能・効果で米国を含む3カ国で承認されている。

ノバルティスファーマにとって、国内でのRLTの承認取得は、ルタテラ静注(適応:ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍)に続き2製品目となる。

【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

リブタヨ点滴静注350mg(セミプリマブ(遺伝子組換え)、リジェネロン・ジャパン):「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は残余期間(令和12年12月22日まで)。

抗PD-1抗体。リブタヨにとって非小細胞肺がんは、子宮頸がんに続く2つ目の適応となる。用法・用量は変更していない。

海外では、2025年5月時点において、化学療法歴のないPD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対する単独投与は11の国又は地域、化学療法歴のない切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対する本薬/化学療法は9つの国又は地域で承認されている。

デノスマブBS皮下注120mgRM「F」(デノスマブ(遺伝子組換え)[デノスマブ後続1]、富士製薬工業):「多発性骨髄腫による骨病変及び固形がん骨転移による骨病変」を効能・効果とするバイオ後続品。

抗RANKL抗体。ランマークの初のバイオ後続品(BS)となる。

イミフィンジ点滴静注120mg、同点滴静注500mg(デュルバルマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ):「〇非小細胞肺がんにおける術前・術後補助療法〇膀胱がんにおける術前・術後補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(令和8年7月1日まで)。

抗PD-L1抗体。非小細胞肺がんの周術期治療において、がん免疫療法薬では、テセントリクが「PD-L1陽性の非小細胞肺がんにおける術後補助療法」、オプジーボが「非小細胞肺がんにおける術前補助療法」、キイトルーダが「非小細胞肺がんにおける術前・術後補助療法」の適応を持っている。

一方、膀胱がんの周術期治療において、がん免疫療法薬では、オプジーボが「尿路上皮がんにおける術後補助療法」の適応を持っている。

海外でイミフィンジは、2025年5月時点において、非小細胞肺がんにおける術前・術後補助療法に係る効能・効果で、29の国又は地域で承認されている。また、膀胱がんにおける術前・術後補助療法に係る効能・効果で5つの国又は地域で承認されている。

▽①トシリズマブBS点滴静注80mg「CT」、②同点滴静注200mg「CT」、③同点滴静注400mg「CT」、④同皮下注162mgシリンジ「CT」、⑤同皮下注162mgオートインジェクター「CT」(トシリズマブ(遺伝子組換え)[トシリズマブ後続1]、セルトリオン・ヘルスケア・ジャパン):「①②③、〇既存治療で効果不十分な下記疾患、関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、全身型若年性特発性関節炎―。〇キャッスルマン病に伴う諸症状及び検査所見(C反応性タンパク高値、フィブリノーゲン高値、赤血球沈降速度亢進、ヘモグロビン低値、アルブミン低値、全身倦怠感)の改善。ただし、リンパ節の摘除が適応とならない患者に限る。〇悪性腫瘍治療に伴うサイトカイン放出症候群、④⑤既存治療で効果不十分な下記疾患、関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」を効能・効果とするバイオ後続品。

抗IL-6レセプター抗体。アクテムラの初のバイオ後続品(BS)となる。

ジビイ静注用500、同静注用1000、同静注用2000、同静注用3000(ダモクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え)、バイエル薬品):「血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。再審査期間は残余期間(令和8年9月20日まで)。

ペグ化遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤。現在、12歳以上の用量が設定されており、今回、7歳以上12歳未満の用量を追加するもの。

テセントリク点滴静注840mg、同点滴静注1200mg(アテゾリズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「〇切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、〇PD-L1陽性の非小細胞肺がんにおける術後補助療法、〇PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん、〇進展型小細胞肺がん」を効能・効果とする新用量医薬品。再審査期間は残余期間(令和8年1月18日又は令和11年8月21日まで)。

抗PD-L1抗体。3週間隔投与に関して4週間隔投与を追加するもの。

ルマケラス錠120mg(ソトラシブ、アムジェン):「がん化学療法後に増悪したKRASG12C変異陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(令和14年1月19日まで)。
ベクティビックス点滴静注100mg、同点滴静注400mg(パニツムマブ(遺伝子組換え)、武田薬品工業):「がん化学療法後に増悪したKRASG12C変異陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

KRASG12C阻害剤および抗EGFR抗体。結腸・直腸がん(CRC)患者の約3%がKRASG12C変異を有すると推定されている。併用投与に関する効能と用量を追加するもの。

海外では、2025年5月時点において、KRAS G12C 変異陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん患者に対するソトラシブ960 mg/パニツムマブ投与は4つの国又は地域で承認されている。

ジャイパーカ錠50mg、同錠100mg(ピルトブルチニブ、日本イーライリリー):「他のBTK阻害剤に抵抗性又は不耐容の再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は残余期間(令和14年6月23日まで)。

非共有結合型BTK阻害剤。現在の「他のBTK阻害剤に抵抗性又は不耐容の再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫」に続く2つ目の適応となる。

国内では共有結合型BTK阻害剤のイムブルビカ、カルケンス、ブルキンザが慢性リンパ性白血病(CLL)の1次治療で承認されている。

海外でジャイパーカは、2025年4月時点において、BTK阻害剤を含む前治療歴を有する再発又は難治性のCLL(小リンパ球性リンパ腫を含む)に係る効能・効果で、米国及びEUを含む7つの国又は地域で承認されている。

ライアットMIBG-I 131静注(3-ヨードベンジルグアニジン(131I)、PDRファーマ):「MIBG集積陽性の神経芽腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。再審査期間は残余期間(令和13年9月26日まで)。

放射性治療薬。事前評価済公知申請であり、既に保険適用となっている。

ゴリムマブBS皮下注50mgシリンジ「F」(ゴリムマブ(遺伝子組換え)[ゴリムマブ後続1]、富士製薬工業):「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」を効能・効果とするバイオ後続品。

抗TNFα抗体。シンポニーの初のバイオ後続品(BS)となる。
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