【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

厚労省 新有効成分3製品、適応追加等9製品を承認 不眠症薬・ボルズィなど

公開日時 2025/08/26 04:50
厚生労働省は8月25日、新有効成分含有医薬品3製品、及び適応追加等9製品を承認した。承認された新有効成分は、大正製薬の不眠症に対するオレキシン受容体拮抗薬・ボルズィ錠(一般名:ボルノレキサント水和物)、帝人ファーマの副甲状腺機能低下症治療薬・ヨビパス皮下注(パロペグテリパラチド)、参天製薬の緑内障、高眼圧症治療薬・セタネオ点眼液(セペタプロスト)――となる。

◎ケサンラのARIA-Eの発現低減を目指した新用法なども承認

適応追加等の承認品目には、早期アルツハイマー病治療薬・ケサンラに副作用のアミロイド関連画像異常-浮腫/滲出液貯留(ARIA-E)の発現の低減を目指した用法・用量変更があるほか、MSI-Highを有する結腸・直腸がん(1次治療)に対するオプジーボとヤーボイの併用療法、抗体薬物複合体・エンハーツの化学療法未治療のHR陽性かつHER2低発現又は超低発現乳がんの適応追加などとなる。

〈新有効成分含有医薬品〉
承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元)、投与経路順及び薬効分類順。

ボルズィ錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg(ボルノレキサント水和物、大正製薬):「不眠症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類119。

オレキシン受容体(OX1およびOX2受容体)拮抗薬。不眠症に対するオレキシン受容体拮抗薬としては、ベルソムラ錠、デエビゴ錠、クービビック錠に続く4剤目となる。

用法・用量は「通常、成人には1日1回5mgを就寝直前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日1回10mgを超えないこととする」。

海外では2025年5月時点で承認されている国又は地域はない。

ヨビパス皮下注168 µgペン、同皮下注294 µgペン、同皮下注420µgペン(パロペグテリパラチド、帝人ファーマ):「副甲状腺機能低下症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類2439。

副甲状腺ホルモン(PTH)の徐放性プロドラッグ。用法・用量は「通常、成人には、PTH(1-34)として1回18μgを開始用量とし、1日1回、皮下注射する。以後、患者の血清カルシウム濃度の十分な管理のもとに、1日1回6~60μgの範囲で適宜用量を調整して皮下投与するが、増量又は減量は3μgずつ行うこと」。

1日1回皮下投与で、24時間にわたり血中PTH濃度を生理学的範囲に維持できる国内初の薬剤となり、根本的な治療薬として期待されている。対象疾患とする副甲状腺機能低下症は、体内のカルシウムとリン酸のバランスを調整するPTHの不足によって引き起こされる内分泌疾患。

デンマークのアセンディス・ファーマ社からの導入品。海外において、2023年11月に欧州で承認されて以降、25年5月現在、米国及び英国を含む31カ国で承認されている。

セタネオ点眼液0.002%(セペタプロスト、参天製薬):「緑内障、高眼圧症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類131。

FP受容体作動作用に加え、EP3受容体作動作用を有する新規メカニズムのプロスタグランジン系治療薬。既存のFP受容体作動薬を上回る眼圧下降作用を期待して開発された。

用法・用量は「1回1滴、1日1回点眼する」。2025年4月現在、海外において承認されている国又は地域はない。

〈適応追加等〉
▽①マグミット錠100mg、②同錠200mg、③同錠250mg、④同錠330mg、⑤同錠500mg、⑥同細粒83%(酸化マグネシウム、マグミット製薬):「便秘症」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間は4年。薬効分類235。

小児用量が追加された。100mg錠は新剤形。小児の用法・用量は「通常、1歳以上の小児には酸化マグネシウムとして、1日20~80mg/kgを食後の2回に分割経口投与する」。

ドプテレット錠20mg(アバトロンボパグマレイン酸塩、Swedish Orphan Biovitrum Japan):「持続性及び慢性免疫性血小板減少症」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(令和13年3月26日まで)。薬効分類339。

トロンボポエチン(TPO)受容体作動薬。これまでの適応は「待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善」であり、今回、免疫性血小板減少症(ITP)への適応拡大となる。

ITPは、後天性に血小板に対する自己抗体ができることで免疫的な機序によって血小板数が減少し、出血が起こりやすくなる疾患であり、日本においては、年間10万人あたり2.16人が新規に発症すると推計されているという。

持続性及び慢性ITPに対する用法・用量は「通常、成人には、初回投与量20mgを1日1回、食後に経口投与する。投与開始後、血小板数、症状に応じて用法・用量を適宜調節する。また、最高投与量は40mgを1日1回とする」。

国内で、慢性ITPの適応を持つTPO受容体作動薬には、レボレード錠、ロミプレート皮下注がある。

コセルゴカプセル10mg、同カプセル25mg(セルメチニブ硫酸塩、アレクシオンファーマ):「神経線維腫症1型における叢状神経線維腫」を効能・効果とする新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は残余(令和14年9月25日まで)。薬効分類429。

MEK1/2阻害薬。これまで小児に対して承認されており、今回、成人の用法・用量が追加された。

神経線維腫症1型(NF1)は希少な進行性の遺伝性疾患で、NF1遺伝子の遺伝的または自然な突然変異により発症する。NF1は、皮膚や皮下にできる柔らかいしこり(皮膚の神経線維腫)に加え、患者の30~50%にみられる神経鞘の腫瘍(叢状神経線維腫:PN)など様々な症状を伴う。PNは、外観上の変形、運動機能障害、疼痛、気道の障害、視力障害、膀胱や腸の機能障害などの病状を引き起こすことがある。PNは幼児期に発症し、その重症度はさまざまとされる。

アレクシオンファーマの濱村美砂子社長は、「NF1患者さんにおけるPNは、成人でも悩まされることが多いにもかかわらず、小児期を過ぎた患者さんの治療選択肢は限られてきた」とし、「成人を対象とする今回の承認は、NF1という生涯にわたる疾患をもつ幅広い年代の患者さんの治療に対する当社の取り組みを前進させるもの」とコメントしている。

カルケンス錠100mg(アカラブルチニブマレイン酸塩水和物、アストラゼネカ):「マントル細胞リンパ腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(令和11年1月21日まで)。薬効分類429。

ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤。今回追加されたマントル細胞リンパ腫(MCL)に対する用法・用量は、▽未治療の場合はベンダムスチン及びリツキシマブとの3剤併用、▽再発・難治性の場合は単剤――で使用し、未治療、再発・難治性ともに「通常、成人にはアカラブルチニブとして1回100mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。

これまでの適応は「慢性リンパ性白血病」。

海外では25年5月時点で、MCLに係る効能・効果で40以上の国又は地域で承認されている。米国で25年1月、欧州で同年5月にMCL1次治療の追加承認を取得している。国内でBTK阻害剤としては、イムブルビカ(イブルチニブ)がMCL1次治療の適応を持っている。

ケサンラ点滴静注液350mg(ドナネマブ(遺伝子組換え)、日本イーライリリー):「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」を効能・効果とする新用量医薬品。再審査期間は残余(令和14年9月23日まで)。薬効分類119。

抗N3pGアミロイドβ抗体。用法・用量について、漸増方法が一変承認された。これまでの用法・用量は、「通常、成人には1回700mgを4週間隔で3回、その後は1回1400mgを4週間隔で、少なくとも30分かけて点滴静注する」となっていたが、これを「初回は350mg、2回目は700mg、3回目は1050mg、その後は1回1400mgを4週間隔で、少なくとも30分かけて点滴静注する」に変更された。

この新しい投与スケジュールでは、初回の投与分から3回目の投与分に1バイアルを移し、より段階的に投与量を増やすことになる。なお、24週目までの合計投与量およびそれ以降に投与されるケサンラの量は変わらない。

日本イーライリリーは、「この変更に伴い、今後、新たにケサンラで治療を受ける方は、従来の投与スケジュールと比較し、アミロイド関連画像異常-浮腫/滲出液貯留(ARIA-E)の発現割合の低下が認められた新しい投与スケジュールで治療を受けることになる」としている。

オプジーボ点滴静注20mg、同点滴静注100mg、同点滴静注120mg、同点滴静注240mg(ニボルマブ(遺伝子組換え)、小野薬品):「治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類429。
ヤーボイ点滴静注液20mg、同点滴静注液50mg(イピリムマブ(遺伝子組換え)、ブリストル・マイヤーズスクイブ):「治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類429。

抗PD-1抗体と抗CTLA-4抗体。MSI-Highを有する結腸・直腸がん(1次治療)に対するオプジーボとヤーボイ併用療法が追加された。MSI-Highを有する結腸・直腸がんに対するオプジーボとヤーボイ併用療法はこれまで、がん化学療法後に増悪した患者(2次治療以降)に限定されていた。

海外では25年4月時点で、MSI-Highを有する結腸・直腸がんの1次治療に対するオプジーボとヤーボイ併用療法は6の国又は地域で承認されている。

エンハーツ点滴静注用100mg(トラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)、第一三共):「ホルモン受容体陽性かつHER2低発現又は超低発現の手術不能又は再発乳がん」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は残余期間(令和10年3月24日まで)。薬効分類429。

抗HER2抗体薬物複合体(ADC)。承認申請は、HR陽性かつHER2低発現(HER2超低発現を含む)の化学療法未治療の転移再発乳がん患者を対象としたグローバル第3相DESTINY-Breast06試験の結果に基づく。今回追加された適応の用法・用量は、既承認の▽化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳がん、▽化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳がん――と同様となる。

海外では、HER2低発現又は超低発現の手術不能又は再発乳がんに係る適応について、米国で25年1月、欧州で同年4月に承認されている。

シルガード9水性懸濁筋注シリンジ(組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(酵母由来)、MSD):「ヒトパピローマウイルス6、11、16、18、31、33、45、52及び58型の感染に起因する以下の疾患の予防・肛門がん(扁平上皮がん)及びその前駆病変(肛門上皮内腫瘍(AIN)1、2及び3)」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は4年。薬効分類631。

9価HPVワクチン。今回、肛門がんと尖圭コンジローマの予防のための男性への接種を可能にすること(以下、男性適応)、女性について新たに肛門がんの適応を追加すること――が承認された。

用法・用量は、男性適応及び女性の肛門がんの新適応ともに、既承認の尖圭コンジローマや子宮頸がんと同じ。ただし、用法・用量の「9歳以上の女性」や「9歳以上15歳未満の女性」との現在の記載は、男性適応の追加により、「9歳以上の者」、「9歳以上15歳未満の者」に変更された。

海外でシルガード9の男性適応は25年4月時点で、99の国又は地域で承認されている。
プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(3)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
ボタン追加
【MixOnline】記事ログ
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー