高血圧管理・治療ガイドライン改訂 治療アプリを推奨「患者と医療者がしっかり話し合って共同で降圧」
公開日時 2025/08/26 04:51

日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025」が6年ぶりに改訂され、推奨される治療に高血圧治療アプリが初めて掲載されることになった。8月25日開催のGL改訂メディア説明会で高血圧学会ガイドライン作成委員長の大屋祐輔氏(医師)は、治療アプリに関わる変更点を解説。「血圧管理を目的としたスマートフォンアプリによる介入を提案する」とGLに明記する一方で、長期間(6か月以降)の効果に関するエビデンスは不十分と指摘。改訂GLでは、「推奨の強さ2、エビデンスの強さA、合意率100%」になったと報告した。
◎デジタル技術活用の治療を明記
今回のGL改訂では、初めてデジタル技術を活用したスマートフォンアプリによる治療が推奨された。日本は欧米に先駆けて治療アプリのエビデンスが確立されたことが背景にある。これまで「非薬物治療」(生活習慣の改善など)と、「薬物治療」のみGLに掲載してきた「高血圧治療の基本」の項目に、新たに改訂版では「生活習慣の改善」と「共同意思決定(shared decision making:SDM)の推進」を追記し、「薬物治療」を加えた3つの項目を掲載した。
また、「スマートフォンアプリ」の記載を新たに設け、「血圧管理を目的としたスマートフォンアプリによる介入を提案する。ただし、長期間(6か月以降)の効果に関するエビデンスは不十分(推奨の強さ2、エビデンスの強さA、合意率100%)」を明文化した。さらに費用対効果についても、「デジタル治療の費用対効果は良い可能性がある」とし、HERB-DH1の結果から費用対効果の研究が行われ、費用対効果は良好だったと記している。
GL作成委員長の大屋氏(医師)は、「患者と医療者がしっかり話し合って共同で降圧を進めていくためのツールとしても、このスマートフォンアプリは有効」と評価し、医療経済的なメリットも強調した。
◎CureApp 佐竹社長「アプリ活用で患者さんと信頼関係を構築できるように」

日本では「CureApp HT」が高血圧治療アプリとして2022年に薬事承認を受けている。CureAppの佐竹晃太代表取締役社長(医師)はメディア説明会で、「新しい画期的なデジタル技術に関してガイドラインに載ったことは、歴史的にみても一つの節目ではないか」と期待を語った。また治療アプリの特徴について、「医師に見守られる中で生活習慣を変えていくというところがポイント」と説明。さらに「よく使われている降圧薬の、低容量・中容量と同じくらいの降圧効果がこのアプリで認められた」と紹介した。自身も医師として治療アプリを活用した診察に努めていると明かしながら、「患者さんが自分の生活習慣のことをすごく話してくれるようになり、信頼関係を構築できるような診察に変わった」と述べた。