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米FDA 多発性骨髄腫治療薬・パノビノスタットを承認

公開日時 2015/02/27 03:50

米食品医薬品局(FDA)は2月23日、多発性骨髄腫治療薬Farydak(一般名:パノビノスタット)を承認した。適応は、再発または難治性多発性骨髄腫患者。ボルテゾミブおよびデキサメタゾンとの併用下で用いることが条件とされている。


同剤は、多発性骨髄腫患者における骨髄の形質細胞の過剰な増殖を促すヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の働きを阻害する初の薬剤。多発性骨髄腫では、HDACの活性化により、腫瘍の形成・増殖などが導かれる。


ラベルには、臨床試験で報告された重篤な下痢や重篤かつ致命的な心イベント、不整脈および心電図異常についての黒枠警告が記載された。このため、同剤については、製薬企業にREMS(リスク評価・緩和戦略)の策定が義務付けられた。同剤の主な副作用は、下痢、疲労感、悪心、脚および腕の腫脹、食欲不振、発熱、嘔吐など。生化学的検査の異常では、低リン血症、低カリウム血症、低ナトリウム血症、血小板減少症、白血球減少症、貧血など。このほか、消化管および肺の出血、および肝毒性についても注意が喚起されている。


安全性および有効性は、ボルテゾミブおよびデキサメタゾンとの併用下で、少なくともボルテゾミブおよび免疫調整剤を含む2つの標準治療の受療歴のある多発性骨髄腫患者193例を対象に実施された臨床試験で検討された。Farydak、ボルテゾミブおよびデキサメタゾンとの3剤併用群とボルテゾミブおよびデキサメタゾンとの2剤併用群に無作為に割り付けられた。

その結果、ボルテゾミブおよびデキサメタゾンとの2剤併用群では、無増悪生存期間(PFS)が5.8か月だったが、Farydak、ボルテゾミブおよびデキサメタゾンとの3剤併用群では、10.6か月だった。また、3剤併用群では奏効率は59%、2剤併用群では41%だった。

なお、FDAは、Farydakに対して、優先審査、迅速審査および希少疾病薬指定を行った。

同剤は、スイス・ノバルティスの米法人Novartis Pharmaceuticals(本社:ニュージャージー州イーストハノーバー)が販売する。

FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur血液・腫瘍製品部長は、「Farydakは、MMに対する既存薬とは異なった新規作用機序を持っており、MM治療薬として魅力的な薬剤候補だ」と評価しながら、「同剤の投与により、MMの進行を遅らせることが示されたことから、今回の承認は特に重要である」と話した。
 

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