中医協総会 パネル検査の保険適用はC-CATへの遺伝子情報提出が要件
公開日時 2019/04/25 03:50
中医協総会は4月24日、がん遺伝子パネル検査の保険適用について、検査の実施医療機関ががんゲノム情報管理センター(C-CAT)への遺伝子情報の提出を要件とすることで了承した。コンパニオン検査を目的に検査をした場合には、パネル検査として算定できないことも確認した。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「財政上のこと考えて、本当に必要な患者に限定することを望む」と述べた。
C-CATは、全国のゲノム医療の情報を集約・保管し、利活用を支援するためのプラットフォームで、国立がん研究センターに2018年6月設置された。情報は、11か所あるがんゲノム医療中核拠点病院や、156か所のがんゲノム医療連携病院などと連携して収集する。
この日の中医協総会は、遺伝子パネル検査の保険適用に関する取り扱いを議論。データの提出や二次利用については、それぞれ患者の同意が必要だとした。個人情報等の取り扱いは、関係する法令等を遵守し、患者の求めに応じて検査結果を患者に返却できる体制を整備することも要件とした。
一方、コンパニオン検査が行われた場合に、その検査結果は患者に返却しない。パネル検査では、多数の専門家からなるエキスパートパネル会議で検査結果を議論し、最適な治療を選択することが求められている。だがこうした場合、医学的解釈がエキスパートパネルによって適切に行われないまま患者に伝達される恐れがあるなどの理由から、検査結果の返却には慎重な姿勢が示されていた。
中医協総会では、個人情報保護に注意すべきという意見が相次いだ。診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「ゲノム検査の結果が、元データも含めてがんゲノム情報管理センターに適切に提出されるよう、医療保険上の取り扱いや必要な法整備等に取り組むよう強く要望する」と述べた。その上で「不適切な事例があればしかるべき部署に報告されるようにしてほしい」と求めた。
支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)も、「法律やルールによって、中立的な立場であるC-CATの位置づけを示してほしい」と指摘した。
遺伝子パネル検査をめぐっては、▽「FoundationOne CDxがんゲノムプロファイル」(中外製薬)と、▽「OncoGuide NCCオンコパネルシステム」(シスメックス)の2つの遺伝子パネル検査がすでに国内で承認を取得している。