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25年4~6月国内医療用薬市場 上位10製品全て売上250億円超 「年間1000億円以上が期待される水準」

公開日時 2025/08/20 04:52
IQVIAは8月19日、2025年第2四半期(4~6月)の国内医療用医薬品市場データを発表した。4~6月の売上上位10製品の全てで、薬価ベースで売上250億円超を記録。IQVIAは「年間売上高1000億円以上が期待される水準の伸長を示した」と分析した。上位10製品の中には、今年8月に市場拡大再算定により薬価引下げを受けるジャディアンスやフォシーガがあり、さらにフォシーガは12月に後発品の参入も見込まれるが、高い成長率を背景に1000億円の大台超えもあり得るとの見方を示した格好だ。売上トップのキイトルーダは25年上期(1~6月)に売上1032億円となり、年間売上2000億円が視野に入ったことも確認できた。

文末の「関連ファイル」に、25年4~6月及び上期の製品売上などをまとめた資料を掲載しました(ミクスOnlineの有料会員のみ閲覧できます。無料トライアルはこちら)。

◎キイトルーダ 4~6月売上558億円、18.3%増 ハーボニー以来の年間売上2000億円へ

25年4~6月の製品売上をみると、1位はがん免疫療法薬・キイトルーダで前年同期比18.3%増の558億400万円だった。25年4月改定で新薬創出等加算品として薬価が維持できたことや、24年の胃がん、胆道がん、子宮体がんの適応追加も高成長に貢献した。

ミクスがIQVIA公表の四半期売上データをもとに25年上期売上を計算したところ、キイトルーダの上期売上は17.3%増の1032億円となった。これまでに年間売上2000億円を達成した製品はC型肝炎治療薬・ハーボニー(16年売上2960億円)のみで、キイトルーダは2剤目となる可能性がある。

◎リクシアナ 年間売上1500億円の可能性

25年4~6月の製品売上2位は経口抗凝固薬・リクシアナで9.5%増の415億6900万円だった。25年4月改定では新薬創出等加算品として薬価を維持した。25年上期売上は10.7%増の772億円で、年間売上1500億円を超える可能性がある。

◎オプジーボ 4~6月9.3%減収 胃がん1次治療の新規処方シェア改善などで再浮上目指す

3位はがん免疫療法薬・オプジーボで9.3%減の328億9800万円だった。25年1~3月は20.6%減の302億5500万円だったため、4~6月の減収率は緩和されたが、依然として厳しい状況が続いている。オプジーボの25年上期売上は15.1%減の631億円で、競合薬のキイトルーダに大きく差をつけられた。

オプジーボの厳しい状況の背景には、24年4月にバベンチオの共連れによる市場拡大再算定で薬価が15%引き下げられたことに加え、同剤にとって売上比率が最も高い胃がん領域(1次治療)で、競合参入により新規処方シェアが低下したことがある。同剤の製造販売元の小野薬品は、胃がん1次治療の新規処方シェアの改善を図りつつ、▽食道がん1次治療、▽肝細胞がん1次治療、▽8月中の正式承認が見込まれるMSI-High大腸がん1次治療――を含む消化器がん領域でのプレゼンスを高めて、オプジーボの再浮上につなげる戦略を立てている。

◎デュピクセント、フォシーガ、エンレスト、ジャディアンスで2ケタ成長

25年4~6月の製品売上の4位以下は、4位タケキャブ(売上322億8000万円、前年同期比5.8%増)、5位デュピクセント(318億3800万円、10.4%増)、6位タグリッソ(299億2200万円、3.8%増)、7位フォシーガ(286億7000万円、12.2%増)、8位エンレスト(278億600万円、38.6%増)、9位ジャディアンス(258億9200万円、31.6%増)、10位イミフィンジ(255億7800万円、11.0%減)――。2ケタ成長はキイトルーダ、デュピクセント、フォシーガ、エンレスト、ジャディアンスの5製品あった。

IQVIAによると、デュピクセントは23年に小児アトピー性皮膚炎、24年に慢性蕁麻疹の適応追加を取得して以降、「成長が加速」。25年3月のCOPDの適応追加も追い風となり、「引き続き成長が期待される」としている。デュピクセントの25年上期売上は13.3%増の606億円となった。

大きく伸長したエンレストについては、慢性心不全に対する小児用剤形の投入や、25年4月改定で新薬創出等加算に小児加算も適用されて薬価が10%引き上げられたことが「高成長に寄与した」。エンレストは25年1~3月に56.6%の増収、4~6月は38.6%の増収と大きく伸びている。

◎「SGLT2製剤の25年下期は成長が鈍化する見通し」

SGLT2阻害薬のフォシーガとジャディアンスは、特にCKD適応が売上伸長につながった。ただ、IQVIAは、▽ジャディアンスは8月に初の市場拡大再算定により12.1%の薬価引下げを受ける、▽フォシーガを含むほかのSGLT2阻害薬も共連れルールにより薬価が引き下げられる、▽フォシーガに25年中の後発品参入が見込まれる――ことを理由に、「SGLT2製剤の25年下期は成長が鈍化する見通し」だとしている。

なお、フォシーガの25年上期売上は13.0%増の538億円。ジャディアンスは25年4~6月に初めて売上トップ10入りしたため、上期売上は不明(IQVIAは10位圏外の売上データを開示していない)。

このほか、2ケタ減収のイミフィンジは、胆道がんや肝細胞がんの適応追加で成長が加速していたが、24年2月に市場拡大再算定で25%の薬価引下げ、同年8月に用法用量変化再算定で11%の薬価引下げを受けた影響が大きく出ている。ただ、四半期ごとの売上の伸び率は、24年4~6月5.3%増、7~9月14.6%減、10~12月26.5%減、25年1~3月19.2%減、4~6月11.0%減――と推移しており、減収幅は小さくなっている。

◎国内市場2.3%成長 病院、開業医、薬局の全市場でプラス成長

25年4~6月の国内市場は2.3%増の2兆8813億円(1億円未満切捨て)となった。内訳は、100床以上の病院市場は3.6%増の1兆3977億円、100床未満の開業医市場は0.7%増の4929億円、主に調剤薬局で構成する「薬局・その他」市場は1.2%増の9905億円だった。

病院市場は、主力の抗腫瘍剤が24年4~6月のプラス1%台の低成長から、25年4~6月はプラス6%台に勢いが回復し、これが病院市場の3%台の成長要因となった。開業医市場は新型コロナ関連製品のマイナス分を糖尿病治療薬やワクチン類の成長により相殺し、プラス成長に転じた。薬局その他市場は、好調な糖尿病治療薬にけん引された。

開業医市場や薬局その他市場の成長につながった糖尿病治療薬は、SGLT2阻害薬のCKD適応による「緩やかな市場拡大の継続」に加え、「今期はGLP-1作動薬の躍進が貢献した」としている。
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