JMDCは7月12日の取締役会で、リアルワールドデータ社の株式を取得し、子会社化することを決議した。これにより医療機関由来の電子カルテデータ（225施設）のうち約2440 万人分のデータアセットを拡充することができる。特にリアルワールドデータ社が大規模病院の診療情報データベースを有していることから、製薬企業側のニーズが高い、がん領域等のデータを豊富に利活用することで、臨床試験の患者リクルーティングや臨床試験に伴う院内業務の効率化、さらには臨床試験のコスト削減や期間短縮などに寄与すると期待している。

2015 年に創業したリアルワールドデータ社は、一般社団法人健康・医療・教育情報評価推進機構（HCEI：京都市中京区）と連携し、自治体から学校健診情報や乳幼児健診情報を集積。医療機関からは医学的な信頼性の高い診療情報を集積し、経年での疾患の因果を明らかにするなど、疫学的アプローチで医療の進歩につなげる「ライフコースデータベース」を構築し、実績をあげてきた。なお、2022年３月末時点で、データホルダーであるHCEIの保有する医療機関225施設、自治体数162のデータにアクセスが可能となっている。

今回の子会社化について同社は、「例えば医療機関における診療データ分析や論文化・バリデーション、ＰＭＳ（製造販売後調査）といった活用が想起される」と指摘。加えて、リアルワールドデータ社が有する 162 の自治体との強固なネットワークは、「データにより医療の進歩を支援するというJMDCの描く未来の実現に大きな力となると考えている」と強調した。

JMDCグループにおける潜在的な収益機会については、医療機関データ分析で100億円程度、論文化・バリデーションで30億円程度、PMS で10億円程度を見込んでいる。取得株式数は1556株、議決権所有割合は92.67％。株式譲渡実行日は7月29日を予定する。