厚労省 マンジャロなど販売する日本リリー・ノボに対策要請 適応外の副作用報告「美容目的」など記載
公開日時 2026/06/17 04:53
上野賢一郎厚労相は6月16日、2型糖尿病治療薬マンジャロなどGLP-1受容体作動薬を製造販売する日本イーライリリー、ノボ ノルディスクファーマに対し、医療機関や薬局への注意喚起の徹底や安全性情報の収集協力など具体的な対策を講じるよう要請した。厚労省はまた、「GLP-1受容体作動薬及びGIP/ GLP-1受容体作動薬の適正使用」と題する通知を都道府県や関係学会などに同日発出した。通知では一部の医療機関・薬局で美容・痩身目的で当該薬剤を使用する実態があると指摘。国内未承認や適応外の医薬品等を用いた自由診療の広告は原則禁止されていると注意喚起した。また、副作用等報告時に「適応外」で使用されていることが判明した場合は、「使用理由」として「適応外使用(美容目的)」等と報告様式に記載するよう要請した。
◎上野厚労相 製薬企業、医師・薬剤師、医療機関・薬局、関係学会に具体的な対応策を指示
厚労省は、マンジャロを含むGLP-1受容体作動薬等の自由診療での美容・痩身目的を含む適応外使用に対し、当該メーカー、医師・薬剤師、医療機関・薬局、関係学会に具体的な対応策を指示した。一般生活者に対しても同日、SNSやXを通じ、「マンジャロは2型糖尿病のみを効能・効果として承認されており、臨床試験ではダイエットなどの効果は証明されておらず、本来の目的以外で使用した場合、思わぬ健康被害が生じる可能性がある」と注意を促した。上野厚労相はこの日の閣議後会見で、「本来の目的以外で使用した場合、思わぬ健康被害が生じる可能性がある。お使いになる方には正しく理解して適正に使用いただくことが必要だ」と強調。医療者に対して、リスクについて十分な説明を改めてお願いしたいと要請した。
◎GLP-1受容体作動薬等の使用時「リスク説明」必須 肥満症患者への使用は最適使用GLの要件留意
厚労省の通知では、医療者に対し、「承認された効能・効果に則って使用した際であっても、重大な副作用として低血糖症状や急性膵炎が起こり得る」と指摘。比較的頻度の高い副作用として、悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛などの消化器症状が認められていると説明した。マンジャロを含むGLP-1受容体作動薬等の使用にあたっては、「使用者へのリスク説明」を必須とした。
2型糖尿病患者への使用は、薬事承認に従い、食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮する。肥満症患者への使用は、製造販売承認の際に策定された「最適使用推進ガイドライン」の要件・考え方に留意するよう医療関係者に徹底を求めた。
◎美容・痩身目的の使用実態踏まえ「真に必要とする患者への供給滞ることないように」と医療者に警鐘
このほか、一部の医療機関・薬局において美容・痩身目的に使用されている実態があることから、「真に必要とする患者への供給が滞ることがない」よう適正使用の対応を医療関係者に求めた。
◎医療広告 国内未承認や適応外の医薬品等を用いた自由診療に関する広告は原則禁止
通知では医療広告にも触れた。現状では、患者等の利用者保護の観点から、「広告可能事項以外の国内未承認や適応外の医薬品等を用いた自由診療に関する広告は原則禁止されている」と強調。ウェブサイト等での広告については、「例外として広告を可能としている」としたが、「その場合であっても、問い合わせ先を明示した上で、通常必要とされる治療等の内容、費用、リスク、副作用等に関する事項について情報提供することが必要」と指摘した。さらに、①一般人が広告内容から認識する「印象」や「期待感」と実際の内容との間に相違があると言えるもの、②科学的な根拠が乏しい情報であるにもかかわらず、特定の手術や処置等の有効性を強調することにより、その手術等の実施へ誘導するもの-については、「誇大な広告として禁止されている」と注意喚起した。
◎適応外使用で生じる副作用報告 報告様式の「使用理由」に「適応外使用(美容目的)」等と記載
自由診療を含む適応外使用によって生じる副作用報告の留意点も通知に明記した。副作用等の報告時に「適応外」で使用されていることが明らかな場合は、医薬品副作用等報告の実施要領に基づき、報告様式の「使用理由」に、「適応外使用(美容目的)」等と記載するよう求めた。なお、薬機法第68条2の6第2項において、「医薬関係者等は、製造販売業者が行う医薬品等の適正な使用のために必要な情報の収集に協力するよう努めなければならない」と記載されている。今回の通知では製造販売業者(日本イーライリリー、ノボ ノルディスクファーマ)からの要請に基づく副作用情報の収集に医療関係者は協力するよう要請した。