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イーライリリー 経口GLP-1受容体作動薬オルホルグリプロンで体重減少の維持確認 注射製剤から切換え

公開日時 2025/12/19 04:51
日本イーライリリーは12月18日、経口GLP-1受容体作動薬オルホルグリプロンを用いた第3相臨床試験「ATTAIN-MAINTAIN試験」の結果から、注射インクレチン製剤からの切換え後も体重減少の維持効果を実証したと発表した。セマグルチドまたはゼップバウンドによる治療で減量が確認された肥満症患者に、プラセボまたは経口オルホルグリプロン1日1回の投与機会を提供し、体重維持に関する主要評価項目および全ての副次評価項目を達成したというもの。米イーライリリー・アンド・カンパニーは試験結果について、「注射薬の最大耐用量での投与から経口投与への直接切換が可能になり、治療の選択肢が広がる」と強調した。

経口GLP-1受容体作動薬オルホルグリプロンは中外製薬の創製品で、2018年に米イーライリリーがライセンス供与を受け、全世界での開発権および販売権を保有している。すでに米FDAに対し、肥満または過体重の成人の治療薬として承認申請を提出している。

◎ATTAIN-MAINTAIN試験 経口1日1回投与の体重減少維持効果を検証

今回発表した「ATTAIN-MAINTAIN試験」は、52週間にわたる第3相無作為化二重盲検プラセボ対照試験。同試験に先駆けてゼップバウンドまたはセマグルチドで実施した「SURMOUNT-5試験」において、肥満または過体重で体重に関連する健康障害がある成人を対象に、経口オルホルグリプロン1日1回投与の体重減少維持効果を検証する目的で、プラセボとの無作為化で比較した。

試験デザインは、米国内の参加者376人を3:2の割合で無作為化し、オルホルグリプロンの最大耐用量(24 mgまたは36 mg)またはプラセボに割り付けた。主要評価項目はゼップバウンドまたはセマグルチドで体重減少がプラトーに達した参加者の体重減少の維持効果をみるもの。

◎ゼップバウンドからオルホルグリプロンへの切換え 体重減少を維持 差の平均5.0 kg

試験の結果、投与52週時の分析では、有効性estimandを用いた評価で、セマグルチドからオルホルグリプロンに切換えた参加者はそれまでに達成した体重減少を維持し、差の平均は0.9kg、ゼップバウンドからオルホルグリプロンに切換えた参加者はそれまでに達成した体重減少を維持し、差の平均は5.0 kgだった。一方で、プラセボ群の参加者でオルホルグリプロンによるレスキュー治療が開始可能となる投与24週時の事後解析では、同試験のベースライン時点からの体重変化は、セマグルチドからオルホルグリプロンに切換えた参加者ではマイナス0.1 kg、プラセボに切換えた参加者では9.4 kg。同様に、ゼップバウンドからオルホルグリプロンに切り換えた参加者ではベースラインからの体重の変化は 2.6 kg、プラセボに切換えた参加者では9.1 kgだった。

安全性と忍容性プロファイルは、最も高頻度に認められた有害事象は消化器系事象で、ほとんどが軽度~中等度だった。プラセボまたはオルホルグリプロンの投与中に有害事象により投与中止に至った参加者の割合は4.8%(セマグルチドからオルホルグリプロンへの切り替え)、7.6%(セマグルチドからプラセボへの切り替え)、7.2%(ゼップバウンドからオルホルグリプロンへの切り替え)、6.3%(ゼップバウンドからプラセボへの切り替え)だった。肝臓に関する安全性シグナルは認められなかった。

◎Kenneth Custer氏「長期的な健康維持のための使いやすい治療選択肢となる可能性」と強調

同社エグゼクティブ・バイスプレジデントのKenneth Custer氏は、「試験では1日1回投与する経口 GLP-1受容体作動薬オルホルグリプロンが、人々が努力して減らした体重を維持する一助となることが明らかになった」と強調。「現在市場にある注射薬の最大耐用量での投与からオルホルグリプロンの経口投与へと直接切り換えることができた。同剤が肥満治療薬として承認されれば、本剤は世界各地で肥満をもつ何百万人もの人々の長期的な健康維持のための使いやすい治療選択肢となる可能性がある」と強調した。
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