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佐世保市立総合病院

公開日時 2007/08/31 00:00

相川 康博
技局長兼薬剤科長

病院data

・病床数594床
・1日患者数
  初診 100.5人
  再来 902.2人
  入院 512人
・院外処方率 76.8%
・採用品目数 1613品
 うち後発品採用率
  品目ベース 6.3%
  金額ベース 4.2%
・平均在院日数 15.6日
・紹介率 39%

MR総会を開催し、薬剤部との
円滑なコミュニケーションを図る

 

 ●電子カルテ導入で院外処方増

 佐世保市立総合病院薬剤部は14人体制で全てが正職員。病床数600床規模の施設にしては人員を大幅に抑制している。「市は財政上の理由から公務員の5%削減を標榜していることもあり、増員は厳しいものがある」という。薬剤科は技局の下部組織に位置し、薬剤科長が技局長を兼務する。その他に、技局内には中央放射線室、中央検査室、リハビリテーション室、臨床工学室がある。
 院外処方は99年から一部の希望する患者に開始。4.4%だったものが、02年の電子カルテの導入で処方チェックが効率化され、78.9%に拡大した。「電子カルテのシステムが本格稼働してから、処方動向などが把握しやすくなり、病棟業務の充実化を推進する契機につながった」という。ただ院外処方率76.8%は「ほぼ上限の数値」という。
 「他病院で医師引き上げにより診療科の閉鎖が相次ぎ、夜間救急などが増加する傾向にあります。基本的に夜間救急は院内処方になりますから、この部分の数字を含めると現在の状況が上限といえます」
 服薬指導は調剤業務担当と病棟専任薬剤師をシフト化し、ICUなどを除く11病棟中8病棟に病棟薬剤師を配置している。病棟専任は4人、そのうち1人はがん専門薬剤師を目指している。病棟専任薬剤師の服薬指導件数は月平均で402.8件(236.8人)、「500件以上を目標に掲げているが、達成はできていない」という。同件数の伸長は、調剤業務の効率化を一層推進していくことが求められる。だが、調剤業務はリスク管理などへの対応から「トリプルチェック(3人チェック体制)」を導入しているため、この体制を崩すことは難しい。このため、今後は呼吸器、消化器など服薬指導で実績のある診療科で取り組みの徹底を図っていく考えだ。

 

●緩和ケアにも貢献

 チーム医療については院内の各プロジェクトに積極的に薬剤師が関与して、薬剤のエキスパートとしての役割を果たしている。この5月からは緩和ケアチームに薬剤師が加わり、オピオイドの的確な使用についてチーム全体のスキルアップを意識した取り組みをしている。
 「緩和ケアが現場で注目されはじめたのはここ2~3年のことです。疼痛緩和は『麻薬』を用いることから、患者や医療従事者間に『麻薬中毒になる』『命を縮める』などの誤解も少なくないようです。正しい薬剤知識を持って使用すれば、心配するような事態を引き起こすことはありません。患者も『麻薬を用いた疼痛緩和』への不安から痛みが激しくなっても、我慢して申告しないことも見受けられ、薬剤師が専門知識を駆使していくことでこのようなことが防げると思います」
 また、NSTや感染制御チームにも薬剤師が積極的に加わって、薬剤の適正使用の推進に取り組んでいる。

 

●GEは将来200品目へ拡大 

 採用品目は1613品目。「1500品目程度が適正水準」との認識で、今後品目数は絞り込んでいく方針。「電子カルテが導入された結果、各薬剤の動向をリアルタイムに把握することが可能となり、削除対象品目を抽出しやすくなった」と話す。
 削除のプロセスは、薬剤の1年間の動きを薬剤科で調べてリストを薬事委員会に提出し、審議にかける。昨年度はシメチジンなど36品目(注射21、内服15、外用0)を削除した。一方、採用は82品目(注射38、内服37、外用7)で、46品目増となった。
 採用は1増・1減が基本で、年3回開催する薬事委員会で決定する。同メンバーは院長、副院長、各科の診療科長、看護部長、事務局、薬剤科長と同補佐で30人ほどの大所帯だ。院内宣伝は薬価収載時点で許可され、「近日中」「発売予定」の段階では宣伝許可は下りない。現在のところ、診療科長でなくても採用申請をできるが、「今後は診療科長からの申請に切り替える検討が必要」としている。採用が決まると本採用となるため、仮採用制度は導入していない。
 一方、抗生物質の絞込みも採用品目の削減に大きく貢献するが、それについては次のように語っている。「抗生物質の品目数を絞り込むのもひとつの案です。品目数を減らして処方抗生物質をローテーションすれば、耐性菌対策はたてやすくなります。ただ、院内の感染制御システムを充実する必要があり、現状では難しいでしょう」
 ジェネリック(GE)品の導入については昨年6月にDPC施設に認定されたことから、「今後の拡大は趨勢」とするものの、代替調剤可の処方せんを見ても「大きな切り替えにまでは至っていない」とし、緩やかな切り替えを予想している。また、院内では金額的に大きい造影剤の切り替えが完了し、抗がん剤などの高額医薬品についても順次切り替えを検討していく予定だ。ただ、ドクター間にも添加剤などを含めた同一性や、「安定供給」「情報提供」「品質」の3点に戸惑いも見られることから、院内の意見を集約して慎重に進めていく考え。将来的には、200品目、金額ベースで8%台の目標を念頭に置いている。

 

●在庫は7000万円

リスク管理のためトリプルチェック体制を導入する

 納入卸は9社。市内全卸と毎日取引をしている。在庫は平均で4日間分をストック。「急配は1時間以内に届けられるので、在庫が3~4日ほどでも大きな問題はない」という。在庫額は期末で4600万円程度、通常月で7000万円となっている。
 一方、MRの訪問は午後のみ訪問が可能で、「基本的にアポがあることが条件」とされる。医局は製薬メーカー側で午前中は立ち入りを自主的に規制している。
 その他に、同薬剤科とメーカー側が共同して「MR総会」を年1回開催する。同総会では薬剤科長がMRの情報提供の基本スタンスについて講演し、その後の懇談会で薬剤部とMRのコミュニケーションを円滑にする目的で情報交換などを実施している。
 「プロパーの時代は売り込みに主眼を置いた活動でしたが、MRでは『情報提供』が主目的になります。その部分の確認と1年間の総括として毎年開催しています」
 同科長は多忙時の訪問では10秒でメッセージを伝えることをMRに要求している。「やってみると、意外にできるものなのです」と、事前にどのような内容を伝えるのか、準備と整理の大切さを指摘する。

 

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