厚労省の国立身障者リハセンター 高次脳機能障害支援で中間報告
公開日時 2003/04/14 23:00
厚生労働省の国立身体障害者リハビリセンターは4月14日までに、「高次脳機能障害支援モデル事業」の中間報告を発表、診断について①原因疾患の急性期後に行う②神経心理学的検査の所見を参考にすることができる――などを内容とした基準案を示した。今後、基準案の実用性や妥当性などについて関係学会などの意見を聴き、改良や医療現場への周知を行うことを決めた。同障害は、外傷的脳損傷や脳血管障害で脳に損傷を受けたことによる後遺症で、知的障害、注意障害、社会的障害などの認知障害に陥るものを指す。会話がうまくかみ合わない、段取りをつけて物事を行うことができないなどの症状が挙げられるが、症状の認識は困難で一般のほか関係者の間でも十分な理解が得られていないとされる。同事業では、01年8月から03年1月の間に、同センターや地方拠点病院などの患者324人に対し、試行的に訓練や支援を実施して基礎データを収集。原因は外傷性脳損傷80%、脳血管障害14%で、前者は若者に、後者は中高年者に多かった。このうち、88%(重複あり)に記憶障害、78%に注意障害、74%に遂行機能障害、50%に社会的行動障害など認知障害に属する障害があった。期間中のリハビリテーションで注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害は5~10%の者の改善が見られたが、記憶障害に大きな改善はなかった。