医療機関への医療資格者の労働者派遣について議論していた厚生労働省の「医
療分野における規制改革に関する検討会」（座長・宮武剛埼玉県立大学教授）
は６月18日、「紹介予定派遣の場合には解禁しても差し支えない」とする報告
書をまとめた。医療の質や安全確保、患者に対する責任体制、派遣労働者の保
護のために、「必要に応じて適宜見直しを行う」ことも添えた。報告書をもと
に同省・労働政策審議会が政令改正に向けた検討に入る。

同会は第７回となった同日の会合で、前回会合で各委員から注文があった内容
を盛り込み報告書を完成。「患者、国民の視点に立って考えると専門的な知識・
技能を有する医療資格者が十分に配置されることが重要」「派遣元事業主は、
医療の質の確保という観点も踏まえ、医療分野における派遣労働者からの相談、
苦情に適切に対応できるよう専門的なスタッフを配置する」などの文言が新た
に加わった。

派遣による医療従事は、医療機関側が派遣労働者を特定できないことからチー
ム医療に支障が生じる恐れがあるなどとして、政令で労働者派遣事業の適用除
外となっている。改正労働者派遣法では、派遣就業開始前の面接が可能な「紹
介予定派遣」が実現。報告書は、「紹介予定派遣は直接雇用を実現させるため
に行われるので、派遣元事業主の意向だけで派遣労働者が入れ替わることは想
定されない」ことを解禁の理由に挙げた。