診療報酬の見直しに関する1号側(支払側)の意見
公開日時 2003/11/19 23:00
11月19日の中医協・総会に支払い側委員が提出した「意見」(抜粋)は次の通
り。
現時点で、支払側の意見として特に指摘しておきたい事項は次のとおりである。
1.包括化・定額化等の拡大
(1)急性期入院医療については、DPCの民間病院等への拡大適用等、その包
括化を進める。
(2)慢性期の長期療養については、患者特性に応じた包括払いを検討する。
(3)高齢化の進展、急性期医療の質の向上等に伴い、医療機関相互の連携の
重要性が増してきており、外来診療、在宅医療、回復期医療などの充実とそれ
に見合った評価を検討する。
2.医療機関等の機能分担の明確化と適正評価
(1)病診間における機能分担の明確化と不合理な病診格差を是正する。
(2)一般病床、療養病床について(医療型、介護型のあり方の検討も含め)、
その位置づけの明確化と適正な評価を行う。
(3)医薬分業の実態や評価を踏まえ、必要な見直しを進める。
3.医療の質向上、事故防止等の視点に立った不合理の是正
(1)医療技術の普及・安定化等によるコスト低減を踏まえた適切な評価を進
める。
(2)小児医療についてシステム及び環境両面からの検討を進め、それに基づ
く適正な評価を行う。
(3)手術件数や医療従事者数等の施設基準関連の評価については厳正化を期
する。
(4)医療事故、診療報酬の不正請求等に対するペナルティの徹底、強化を図
る。
(5)平成16年度から義務化される医師臨床研修について、研修医が研修に専
念できるようにするという考え方は理解できる。診療報酬としての臨床研修指
定病院の評価は、保険医療の質の向上、被保険者及び患者の利益に資すること
が前提条件となるが、さらに具体的な資料の提供等をまって検討を続けたい。
4.診療報酬体系の簡素化とIT化の推進
(1)診療報酬項目の再編合理化(各種加算の合理化、不要項目の廃止を含む)
により体系の簡素化を図る。
(2)薬剤の「175円ルール」については、薬剤名の記載促進の現状に鑑み完
全撤廃をめざす。
(3)レセプト上における主傷病名の記載を義務付ける。
(4)以上の項目等を着実に実施してIT化の推進を図る。
5.患者中心の医療の実現と情報提供
(1)医療に関するデータベースの構築及び医療の標準的ガイドラインの設定
普及を図り、患者自身の適切な選択に資する医療機関情報の充実を図る。
(2)情報の標準化と共有化を促進し、過剰・重複検査等を是正する。
(3)医療機関に対し、内容のわかる領収書の発行を義務づける。
6.その他
(1)診療報酬と介護報酬の整合性の確保を図る。
(2)薬剤・保険医療材料については、現在、中医協において検討中のたたき
台の方向性に沿った検討を急ぐ。
(3)後発医薬品の使用促進に資するよう調剤報酬のあり方について検討する。
(4)前回改定及び再診料の見直しに際して、各側で合意した答申に付した意
見の具体化を図る。