厚労省・安全性情報 ホルモン補充療法で脳卒中リスク
公開日時 2004/01/29 23:00
厚生労働省は1月29日に発表した「医薬品・医療用具等安全性情報No.197」で、
卵胞ホルモン製剤「結合型エストロゲン」(一般名)など5品目について、黄
体ホルモンとの配合剤によるホルモン補充療法(HRT)で脳卒中や乳がんなど
のリスクが高くなるとして、添付文書の改訂を明らかにした。動脈性の血栓塞
栓疾患患者を禁忌、乳腺症患者などを慎重投与とした。
改訂添付文書の「その他の注意」によると、米国の試験では、プラセボ群と比
較しハザード比1.24倍。英国の調査では、卵黄ホルモン剤と黄体ホルモン剤の
併用服用で、乳がんリスクは対照群の2倍に上った。また、米国の試験では、
冠動脈性心疾患(ハザード比1.81倍)、脳卒中(1.31倍)、痴ほう(2.05倍)
などの危険性も高いことが分かった。
米国の国立研究所が実施した配合剤の臨床試験で乳がんの発生頻度が高いこと
が判明。厚労省は02年10月の安全性情報で情報提供したが、その後の調査で、
乳がん以外の疾患も危険性の高いことが分かった。国内では配合剤、補充療法
とも適応がなく、どの程度の症例があるか不明という。