再生医療等製品2製品が承認へ 半月板切除術適応の半月板損傷の治療用製品など 薬事審・部会が了承
公開日時 2026/04/21 04:50
厚生労働省の薬事審再生医療等製品・生物由来技術部会は4月20日、富士フイルム富山化学の「半月板切除術が適応となる半月板損傷」を効能、効果又は性能とするセイビスカス注など再生医療等製品2製品の承認の可否を審議し、承認することを了承した。半月板損傷に対して半月板切除術が行われると、膝への衝撃を吸収するクッションがなくなり、変形性膝関節症に至るリスクが高くなる。セイビスカスは半月板を切らずに温存するコンセプトに基づき開発された。
このほか、フェリング・ファーマのBCG不応性の高リスク筋層非浸潤性膀胱がん(NMIBC)に対する遺伝子治療薬・エドスチラドリン膀胱内注入液を承認することが了承された。BCG療法が奏功しなかった次の治療選択肢が膀胱の完全切除となるなか、エドスチラドリンが承認されると、BCGが奏功しない高リスクNMIBC患者に膀胱を温存する治療選択肢を提供することになる。
【審議品目】(カッコ内は一般的名称、申請企業名)
▽セイビスカス注(ヒト(自己)滑膜由来間葉系幹細胞、富士フイルム富山化学):「半月板切除術が適応となる半月板損傷」を効能、効果又は性能とする再生医療等製品。条件及び期限付承認への該当性は「非該当」。再審査期間は8年。
患者自身の膝の内部から採取した滑膜組織を処理、培養増殖させて得られた自家滑膜由来間葉系幹細胞懸濁液。半月板損傷部を縫い合わせて整形した後に本品を損傷部に投与することで、損傷部の癒合と損傷に伴う症状の改善を期待する。
承認の根拠のひとつの国内第3相試験(JP301試験、19人投与)では、半月板切除術が適応となる半月板損傷の中で特に複雑かつ難治性のフラップ断裂を有すると診断された患者(15人)を有効性評価の主たる患者集団とした。主要評価項目であるリスホルムスコア(膝の状態を示す100点満点の指標)の変化量の平均値は、スクリーニング時の38.1点から投与52週後には91.6点へと上昇して変化量は53.5点[95%CI:48.7-58.2]となり、95%CIの下限値(48.7点)が既存治療に基づく事前に設定した閾値22点を上回った。なお、フラップ断裂を有さない患者でも、同様の改善傾向が認められた。
承認条件として、▽一定数の症例データ(予定症例数600例)が蓄積されるまでの間の、全症例を対象とした使用成績調査の実施、▽医師要件・施設要件を遵守して本品を用いるよう、関連学会との協力により作成された適正使用指針の周知、講習の実施等必要な措置を講じること――を課すことも了承された。
海外で承認されている国・地域はない。
重度の半月板損傷に対する治療法は、症状の原因となっている半月板損傷部分を切除する手術(半月板切除術)が多く行われる。しかし、半月板切除術では、症状が改善する一方で、変形性膝関節症の進行リスクが高まる問題が指摘されており、新たな治療法の確立が期待されている。
▽エドスチラドリン膀胱内注入液(一般名:ナドファラゲン フィラデノベク、フェリング・ファーマ):「BCG膀胱内注入療法後に残存・再発した上皮内がんを有する高リスク筋層非浸潤性膀胱がん」を効能、効果又は性能とする再生医療等製品。条件及び期限付承認への該当性は「非該当」。希少疾病用再生医療等製品。再審査期間は10年。
非複製型アデノウイルスベクターを用いた遺伝子治療法。インターフェロン・アルファ2b遺伝子を含み、カテーテルを用いて3カ月に1回、膀胱内に直接投与する。化学療法とは異なり、患者自身の膀胱上皮細胞をインターフェロン産生工場へと変換する新しい治療アプローチとなる。インターフェロン・アルファ2bタンパク質を局所的に高濃度かつ一過性に発現させることで、体の自然な抗がん力を強化し、再発を抑えたり、残存した腫瘍に対する抗腫瘍効果を持つ。
用法・用量は、「通常、成人には1回あたり75mL(3×1011vp/mL)を3カ月間隔で膀胱内投与する」。
承認の根拠は、米国、日本それぞれで実施された第3相試験結果となる。米国P3では、BCG不応性高グレード筋層非浸潤性膀胱がん(NMIBC)患者157例を対象に実施した。CIS(上皮内がん)併発ありの患者103例において、本品の初回投与後3カ月時点の完全奏効率[95%CI]は53.4%[43.3、63.3](55/103例)で、事前に規定した閾値27%を上回った。
日本人BCG不応性高グレードNMIBC患者25例を対象としたP3では、データカットオフ時点において、CIS併発ありの患者20例で本品の初回投与後3カ月時点の完全奏効率[95%CI]は75.0%[50.9、91.3](15/20例)で、事前に規定した閾値2%を上回った。厚労省の担当官は部会後の記者説明会で、閾値を2%と設定した理由について、「日本に同じラインの薬がないので、少しでも改善したら良いということで2%と閾値を設定した」と説明した。
承認条件として、▽一定数の症例データが蓄積されるまでの間の、全症例を対象とした使用成績調査の実施、▽医師要件や施設要件、「効能、効果又は性能」や「用法及び用量又は使用方法」を遵守して本品を用いるよう、必要な措置を講じること、▽カルタヘナ法遵守のため必要な措置を講じること――を課すことも同部会で了承された。
なお、海外では米国で2022年に、イスラエルで25年に承認されている。
BCG療法が奏功しなかった場合の次の治療選択肢が膀胱の完全切除となるなか、エドスチラドリンが承認された場合、BCGが奏功しないNMIBC患者に膀胱を温存する治療選択肢を提供することになる。日本では承認取得後、日本化薬と共同販促し、販売はフェリングが担当する予定。