【資料】中央社会保険医療協議会の在り方の見直しについて(抜粋)
公開日時 2004/10/27 23:00
1.中医協の審議の透明性の確保について
(審議過程の一層の透明化について)
○現在、中医協における審議は、総会、各部会及び各小委員会ともすべて公開
で行われているが、審議の過程において、非公開で協議が行われることがあっ
た。
○具体的には、支払側委員及び診療側委員の意見の隔たりが大きいときに公益
委員が各側を別個に呼び込む場合や、中医協として意見書を取りまとめる際な
どに公益委員原案を各側に提示して意見を求める場合などがある。
○このような非公開の協議自体は、三者構成の下での合意形成過程として必要
なものであると考えるが、審議過程の一層の透明化を図る観点から、今後は、
このような非公開の協議を行った場合には、公益委員から、協議の経過につい
て、公開の場で報告することとする。
(客観的なデータに基づく議論の推進について)
○近年、中医協における審議においては、支払側委員及び診療側委員のそれぞ
れから客観的なデータが提出され、これに基づき議論が行われるなど、根拠
(エビデンス)に基づく議論が推進されてきている。
○さらに、平成15年には、中医協の審議に資するためにそれぞれ専門的な立場
から調査を実施する診療報酬調査専門組織が設置され、平成16年度から、本格
的にデータの収集に着手している。
○診療報酬調査専門組織はデータの収集を行うための組織であり、ここで収集
されたデータをも踏まえ、根拠(エビデンス)に基づく議論を行っていくのが
中医協の場であるという自覚を新たにしつつ、審議の透明性の確保を図る観点
からも、引き続き、客観的なデータに基づく議論の推進に努めることとする。
(診療報酬改定の結果の検証のための新たな部会の設置について)
○診療報酬改定の結果については、中医協の場において、医療費の動向の報告
等が行われてきたが、これまで、診療報酬改定にいたる取組と比べ、その取組
は不十分であったといわざるを得ない。審議の透明性の確保の観点からも、診
療報酬改定の結果の検証を行い、これをその後の議論に繋げていくことが必要
である。
○このため、中医協の中に、公益委員を中心として、診療報酬改定の結果の検
証のための新たな部会を設置することとし、その具体的な体制の在り方につい
て、平成16年度中に結論を得ることとする。
2.中医協委員の在り方について
(委員の構成について)
○中医協の委員構成については、社会保険医療協議会法により、
・保険者及び被保険者並びに事業主等を代表する委員 8人
・医師、歯科医師及び薬剤師を代表する委員 8人
・公益を代表する委員 4人
の合計20人で構成され、委員の任期は2年とされている。
○支払側委員と診療側委員とが保険契約の当事者として協議し、公益委員がこ
の両者を調整して合意を得るという三者構成については、これを堅持していく
べきであると考える。
○また、かねてより、委員に看護関係者の代表を加えるべきとの意見があるが、
平成15年12月から看護の専門家が専門委員に任命されている。中医協委員とし
てこれを加えるには法律改正が必要である。
○これら中医協の委員構成の問題については、長期的に幅広く制度の在り方に
ついて議論が必要な問題であると考える。
(委員の任命について)
○中医協委員の任命については、社会保険医療協議会法により、厚生労働大臣
がこれを行うが、支払側委員及び診療側委員については各関係団体の推薦によ
るものとされ、公益委員については両議院の同意を得なければならないことと
されている。
○このように、中医協委員の任命は厚生労働大臣の権限であるが、今回の中医
協を巡る贈収賄容疑事件を契機として寄せられた意見を踏まえ、また、中医協
を正常な形に復帰させ、診療報酬の在り方についての本格的な審議を再開させ
るに当たっては、現時点において生じている5人もの欠員を可能な限り早期に
充足させることが必要であるとの認識を共通にしていることを踏まえ、任命権
者たる厚生労働大臣及び委員の推薦団体に対して、以下のような提言を行いた
い。
○まず、支払側委員のうち被保険者を代表する委員については、これまで、厚
生労働省より連合に対し2名の委員の推薦依頼が行われ、これに基づき委員の
任命が行われてきた。これについては、連合の改善案において、今後、「被保
険者・患者代表」として委員を推薦するとされていることを踏まえ、引き続き、
連合に対して2名の委員の推薦依頼を行うこととし、推薦依頼を受けた連合が、
1名は患者一般の声を適切に反映できるような委員の推薦を行うこととする。
なお、当該委員の推薦に当たっては、連合において、当該患者一般の声をより
適切に反映できるような委員の推薦に当たっての基本的な考え方を取りまとめ
ることが求められるので、それまでの間は、連合に対し1名の委員の推薦依頼
を行うこととする。
○次に、診療側委員のうち歯科医師を代表する委員については、これまで、厚
生労働省より日歯に対し2名の委員の推薦依頼が行われ、これに基づき委員の
任命が行われてきた。これについては、日歯の改善策において、日歯及び日本
歯科医学会が推薦委員をサポートする体制が報告されたことを踏まえ、引き続
き、日歯に対して2名の委員の推薦依頼を行うこととするものの、推薦依頼を
受けた日歯が、1名は日本歯科医学会の会員から委員の推薦を行うこととする。
なお、日歯については、他の委員を巻き込む形で今回の事件を引き起こしてし
まった当事者団体であるので、日本歯科医学会の会員から推薦を行う委員を除
き、日歯改革検討委員会における改善案の報告を踏まえて委員の推薦依頼を行
うこととし、その間は、日歯への推薦依頼を留保することとする。
○このほか、中医協委員に病院団体の代表の参加を求める意見もあるが、既に、
医師を代表する5名の診療側委員のうち1名は日本医師会の推薦に基づく病院
団体の代表である。引き続き、日本医師会が病院団体の代表を推薦する形によ
る病院団体の代表の参加を要望する。
(委員の推薦に当たっての基本的な考え方等について)
○今回の事件に関与した委員の推薦団体である健保連、連合及び日歯の改善案
において、今後の委員の推薦に当たっての基本的考え方や推薦委員のサポート
体制にかかる検討状況が報告された。
○今後とも、各関係団体において、委員の推薦に当たっての基本的な考え方を
明確にするとともに、推薦委員のサポート体制を構築することとする。
(委員の在任期間について)
○中医協委員の任期については、社会保険医療協議会法により、1期が2年と
されており、また、各種審議会に共通のルールとして、閣議決定により10年を
超える任命は行わないこととされている。
○今回の事件に関与した委員の推薦団体である健保連、連合及び日歯の改善案
において、3期6年を上限とする考え方が示されたことを踏まえ、支払側委員
及び診療側委員の在任期間については、各関係団体において、任期が6年を超
えてからの新たな推薦は行わないことを基本として、厚生労働大臣に対し推薦
を行うこととする。
(委員に公務員である旨の自覚を促すための対策について)
○中医協委員のうち、公益委員の身分は非常勤の特別職国家公務員であり、公
益委員以外の委員は非常勤の一般職国家公務員であるが、これまでは、委員に
そのような自覚が希薄であったと言わざるを得ない。
○今後は、委員に新しく就任した者は、自らが国家公務員であり、高い倫理を
保って行動する旨を宣誓することとする。
○なお、事務局に対しては、委員を新しく委嘱する際には、中医協委員が国家
公務員である旨を必ず説明するとともに、関係法規を資料として提示して、国
家公務員法上の禁止規定の説明等を行うよう要請する。
3.その他
(国民への分かりやすい説明について)
○現在、中医協における審議は、総会、各部会及び各小委員会ともすべて公開
で行われているが、その議事録については、概要を厚生労働省ホームページで
公開するのみであり、必ずしも公開が徹底しているとは言えない。
○ついては、中央社会医療協議会議事規則の改正を行い、今後は、議事録につ
いて、事前に各委員の了解を得た上で、厚生労働省ホームページで公開するこ
ととする。
○なお、事務局に対しては、中医協における配布資料を速やかに厚生労働省ホ
ームページに掲載するほか、診療報酬改定の内容を同ホームページ上で分かり
やすく説明するなど、引き続き、国民への分かりやすい説明に努めるよう要請
する。
(国民の意見を聴く機会の設定について)
○診療報酬改定に国民の声をより適切に反映させるため、中医協委員が国民の
意見を聴く機会の設定の在り方について検討し、平成16年度中に結論を得るこ
ととする。