HS財団 バイオジェネリック、欧州で承認申請が活発化
公開日時 2006/04/10 23:00
「オムニトロープの欧州での承認は、世界のタンパク質性後発医薬品の承認基
準に大きな影響を与える」。HS財団が4月7日に公表した報告書では、急速に
注目されつつあるタンパク質性医薬品の後発医薬品(バイオジェネリック)に
関する国内外の規制動向や開発動向が報告されるとともに、承認された場合の
市場での先発メーカーへの影響などを取り上げている。
同財団がまとめたのは規制動向調査報告書「先端医療の実現に向けて―バイオ
ロジクス、ファーマコゲノミクス、先端医療・診断機器の規制動向」と題する
報告書。報告書によると、バイオジェネリックの開発をめぐっては、スイス・
サンド社が、03年にEMEAに初の製剤「オムニトロープ」の簡易医薬申請をした。
ヒト成長ホルモン製剤で、先発品にはジェネンテックのヌトロピンやファイザ
ーのジェノトロピンがある。今年1月下旬にEMEAの科学委員会から承認の推薦
を獲得し、サンドでは2~3ヵ月後には承認を想定しているという。EMEAには、
ほかに3品目が承認申請されており、06年には8品目が承認申請される模様と
いう。
報告書では、「バイオジェネリックの出現は、化学合成医薬品の場合と同様、
先発のバイオテク企業の利益構造を弱体化することになる。特にタンパク質性
医薬品の高コスト構造がコスト削減の第一標的になりやすい」と懸念を示して
いる。世界のトップ56社のタンパク質性医薬品の売上高は04年に18.3%上昇し、
6.5兆円。このうちバイオジェネリックの脅威にさらされるインスリン、ヒト
成長ホルモン、エリスロポエチンなどの売上高は約2.3兆円だ。
製薬メーカーが注視する規制動向についても触れており、欧州は非臨床試験の
フルパッケージと、比較的小規模の臨床試験の組み合わせという妥協案が受け
入れられているという。米国では、依然として大手メーカーが厳しい安全面の
規制を求める論陣を張っており、承認は09年以降になると見られるという。日
本では独自の規制はなく、ガイドラインを応用しているのが現状。総合機構で
は担当官が不足しており、審査官の養成が大きな課題だと提言してる。