癌研究会有明病院・高橋氏 アレディアからゾメタへのシフトは必至
公開日時 2006/05/23 23:00
癌研究会化学療法科・血液腫瘍科の高橋俊二氏は5月22日、ノバルティスファ
ーマ主催のセミナーで講演し、4月に大幅に適応が拡大した骨吸収抑制剤ゾメ
タは、既存薬のアレディアよりも使い勝手が大幅に向上し、薬価が安い点(ア
レディアの約3分の2)を強調。「医療現場でゾメタへシフトが起こる可能性
が高い」との見解を示した。
ノバルティスは今年4月、ゾメタについて新たに多発性骨髄腫による骨病変及
び固形がん骨転移による骨病変の適応の承認を取得した。その効果を見ると、
乳がん骨転移患者で、ゾメタはアレディアより骨合併症(骨折、マヒなど)を
減少させるほか、他のビスホスホネートと比較しても、ゾメタが最もリスクを
減らす効果があるとした。使い勝手の面でも、アレディアが点滴で2時間要す
るのに対し、ゾメタは15分間と短時間ですみ、患者への負担が少ない。
一方、副作用は、投与間隔5分間では、腎機能低下(血清クレアチニンの上昇)
はゾメタ13.2%、アレディア6.7%。15分間隔では8.9%、8.2%で、投与間隔
を短くするとゾメタで腎機能が悪化する症例が多かった。
また、数年前から問題になっているビスホスホネート投与による顎骨壊死につ
いて、医学雑誌NEJM(ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン)
で歯科治療との関連による発症が報告されたという。発症率はゾメタ10%、ア
レディア4%。国内でも13例が報告されているといい、「危険因子を明らかに
する上でもプロスペクティブな研究が必要」と語った。